ガリウム

ガリウムとは

ガリウム (英: Gallium) とは、銀白色をした無臭の柔らかい金属です。

ガリウムの元素記号は Gaで、原子番号は31番、CAS登録番号は7440-55-3です。1875年にフランスの化学者ポール・ボアボードランにより発見されました。ガリウムは自然界に広く分布しており、アルミニウム鉱石である、ボーキサイト、ゲルマナイトなどの鉱物に微量に含まれています。

ガリウムの使用用途

ガリウムは、ヒ素との化合物であるガリウムヒ素 (GaAs、通称ガリヒ素) として化合物半導体であるため、半導体材料として利用されます。ガリウムヒ素は、レーザープリンター、スーパーコンピューター、携帯電話などの電子製品に使われています。

また、ガリウムと窒素の化合物である、窒化ガリウム (GaN) は青色発光ダイオード (LED) に使用されています。青色LEDはブルーレイディスク、LED電球、新型の信号機などに使用されております。

ガリウムの性質

ガリウムは、融点が29.8℃、沸点が2,403℃であり、常温では固体または液体として存在し、固体状態での密度は5.91g/cm3です。金属のなかでは、融点が低いというのがガリウムの最も知られている特徴です。固体状態では反磁性ですが、液体状態では常磁性となり、40℃における磁化率は2.4×10−6です。

ガリウムの構造

ガリウムは他の金属と異なり、単純な結晶構造のいずれにおいても結晶化しません。常圧状態での安定相としては異なる条件下で形成されるα、β、γ、δ-ガリウムがあり、高圧状態において形成されるものとしては、 Ga-II、Ga-III、Ga-IV が存在します。

1. α-ガリウムの構造

α-ガリウムは、通常の状態下で存在するガリウムの多形で、単位格子に8つの原子が存在する斜方晶系の構造です。最も近い原子同士の距離は244pmで、6つの隣接する原子とはさらに39pm離れています。この不安定な対称性の低い構造が、ガリウムの融点の低さの原因となっていると考えられています。

2. その他の多形

他の結晶形のガリウムは、過冷却状態の液体ガリウムからの結晶化によって得ることができます。−16.3℃以上でガリウム原子がジグザグに並列した構造の単斜晶系β-ガリウムが形成され、−19.4℃以上では12個のガリウム原子が歪んだ形で配列した、α-ホウ素と同様の結晶構造の三方晶系δ-ガリウムが形成されます。−35.6℃では、7個のガリウム原子が環状に配列し、その中央に直鎖型に配列した原子が相互に接続したような構造の斜方晶系γ-ガリウムが形成されます。

ガリウムのその他情報

1. ガリウムの製法

ガリウムは、他の金属の鉱石の処理中の副産物としてのみ生産され、その主な原料は、アルミニウムの主要な鉱石であるボーキサイトですが、硫化亜鉛鉱石からも抽出できます。バイヤー法ではボーキサイトからアルミナへの処理中に、ガリウムは水酸化ナトリウム液に蓄積するため、イオン交換樹脂の使用後、電気分解によりガリウム金属が得ることができます。半導体用には、ゾーンメルト法や溶融物からの単結晶抽出によりさらに精製され、99.9999%といった非常に高い純度が日常的に達成され、市販されています。

2. 法規情報

ガリウムは、毒物及び劇物取締法、消防法、化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法) など、主要な法規制のいずれにも該当していません。

3. 取扱いおよび保管上の注意

取扱い及び保管上の注意は、下記の通りです。

  • 容器を密栓し、乾燥した冷暗所に保管する。
  • 屋外や換気の良い区域のみで使用する。
  • 酸、アルカリ、酸化剤、ハロゲンとの混合は避ける。
  • 金属、特にアルミニウムを腐食するため、接触の恐れのある部材に使用しない。
  • 使用時は保護手袋、保護眼鏡を着用する。
  • 取扱い後はよく手を洗浄する。
  • 皮膚に付着した場合は、速やかに水で洗い流す。
  • 眼に入った場合は、水で数分間注意深く洗う。

参考文献
http://www.furuchi.co.jp/info/MSDS_pdf/Ga_5A.pdf

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です