残圧排気弁

残圧排気弁とは

残圧排気弁 (英:Residual pressure exhaust valve) とは、流体系統内に残留する圧力を効果的に放出するバルブです。

一般に圧力容器や配管などの系統で使用される機械要素の1つで、残圧とは一般的には圧力や水圧などが残っている状態を指します。液体やガスの流体系において残圧がある場合、系内の液体やガスは流れ続ける場合があります。また、保守時の安全性などに影響を与える場合もあるため、残圧を抜くことは非常に重要です。

残圧排気弁を使用することで、系内の圧力を安全に開放することが可能です。したがって、安全に配慮する工場などでは多くの場合で採用されます。

ただし、残圧排気弁は正常に機能することが非常に重要です。閉塞などが発生した場合には残圧を抜き切らない場合があるため、定期的な点検と保守を行う必要があります。圧力計などと合わせて使用しつつ内圧を可視化することで、安全性が向上します。

残圧排気弁の使用用途

残圧排気弁は様々な産業分野で使用される重要な装置です。

1. 蒸気配管

蒸気配管はボイラーや加熱装置などで生成される蒸気は高圧で供給されます。したがって、プロセスを停止した場合にも、過剰な蒸気圧が配管内に残存する可能性があります。このような配管を保守する場合、残圧排気弁によって過剰な蒸気圧を排気して、システム内圧を大気圧程度に低下させることが多いです。これにより、装置やパイプラインの損傷を防ぎ、運転の安全性を確保します。

2. 油圧プレス

油圧プレスなどの油圧ユニットでは、作動終了後に油圧が残存することがあります。このまま配管などを開放した場合、高温の油が噴射して危険です。残圧排気弁は過剰な油圧を排気し、システムを安全な状態に戻すことが可能です。

3. 空圧配管

空圧システム内で運転されていた装置やアクチュエータが停止すると、空気が装置内に残存することがあります。これにより、停止したはずの機器が不意に動作する場合などがあるため注意が必要です。残圧排気弁を使用することで、運転終了後に装置内の圧力を安全に排気し、システムの運用を安定させます。

残圧排気弁の原理

残圧排気弁にはさまざまな種類がありますが、3ポート弁を使用される場合も多いです。弁本体、ハンドル、弁体などで構成されます。

弁本体は一般的に金属や合金で作られています。ねじ込みまたはフランジなどで配管と取り付けることができるように設計されています。配管一方の入口と2つの出口が配置されている構造です。

ハンドルは弁本体に取り付けられ、弁体を操作をする部品です。電動・空圧動の場合は電磁石やシリンダが取り付けられます。ハンドルを操作することで、弁体の位置を制御し、流体の排気を制御することが可能です。

弁体は流体の動作を制御する部品です。弁本体のシートなどと接触することでシールし、流体の漏れを発生させないようになっています。弁体の動作によって出口ポートが入口ポートと繋がるか、排気されるかが選択されます。

残圧排気弁の選び方

残圧排気弁を選ぶ際には、主に下記のの要因を考慮する必要があります。

1. 取付配管径

残圧排気弁のサイズは、取り付けたい配管の内径に適合している必要があります。配管径に合った弁を選ぶことで適切な流量を確保し、システムの効率性を向上させることが可能です。

2. 使用圧力範囲

弁が正常に動作するためには、最大圧力に耐える能力が必要です。最大使用圧力を超過した場合、機器が破損したり、流体が勢いよく漏れるため大変危険です。選定する残圧排気弁は、最大圧力範囲内で適切に動作できる製品である必要があります。

3. 材質

使用する流体の種類や化学的特性に応じて、適切な材質を選択することが重要です。腐食性のある流体を扱う場合は、耐腐食性の高い材質を選ぶ必要があります。一般的な材質にはステンレス鋼、黄銅、鉄などがあります。

4. 手動・自動

弁の操作方式は手動と自動の二つから選択することが必要です。手動操作の場合は人が操作して弁を開閉します。自動操作の場合は電動や空気圧、油圧アクチュエータなどを使用して自動制御されます。

5. 使用温度

扱う流体の温度によって適切な弁の選定が必要です。流体の温度が使用可能温度よりも高温である場合、動作不良の原因となります。特に蒸気などの高温流体を取り扱う場合は細心の注意が必要です。

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