チェーンカップリングとは
図1. チェーンカップリングの外観
チェーンカップリング (英: Chain Couplings) とは、2軸間をスプロケットとチェーンを使用して連結とする軸継手で、たわみ型軸継手 (カップリング) の1種です。
軸継手とは、2つの軸 (シャフト) を接合するための機械要素で、駆動軸の動力・回転を従動側へ伝達する役割を担っています。軸継手はジョイントやカップリングとも呼ばれています。
たわみ型軸継手は、2軸間の芯ずれを吸収可能で、軸取り付け誤差を緩和する特徴があります。
チェーンカップリングの使用用途
図2. チェーンカップリングの使用例
チェーンカップリングは、汎用的な一般産業用モータと機器や装置との連結に使用されている軸継手です。例えば、生産工場の設備では、電動モータとポンプの軸継手として使用されています。
電動モータの動力でポンプを駆動させて、冷却水が機器を循環することで機器を冷却します。チェーンカップリングは、特に汎用的な用途として使用されています。
軸外径はφ10~φ700mm、トルク範囲は100~700,000N・m (数値はあくまでも一例です) と、適用範囲が幅広いのが特徴です。また、機械を分解や移動させずに軸間の連結が外せるため、突発的な故障やメンテナンス時に工事が容易になります。
チェーンカップリングの原理
一般的に軸継手は、軸継手はトルクを伝える力と一定のミスアライメントの許容幅が求められます。軸継手で連結する機械軸間の芯出しが正確に施工できない場合は、芯ずれにより発生した振動で機械が損傷する可能性があります。
このような場合は、たわみ軸継手を使用し機械軸間の芯ずれを吸収し、モータなどの機械に負荷が掛からないようにします。チェーンカップリングは、たわみ軸継手の1つとして使用され、たわみ型軸継手の中でも伝達能力が高く構造も簡単です。
芯出しが容易で、チェーンとスプロケットの嚙み合いの遊びで、機械などを過大な負荷から保護します。また、ローラチェーンとスプロケットの歯に噛み合っていて、加わるトルクは複数のチェーンローラとスプロケット歯に分散されるため、耐久性に優れています。
チェーンカップリングの構造
図3. チェーンカップリングの構造
チェーンカップリングは、2個のスプロケット、2列のローラチェーンとカップリング全体を保護するカバーで構成されています。チェーンカップリングは他の軸継手と比較して、構造がシンプルで部品が少ないのが特徴です。
機械への取り付けは、2軸に取り付けた2個のスプロケットに2列のローラチェーンを巻き付け、チェーンの連結されていない端部にピンを差し込み連結します。分解する場合は、その逆の手順です。
また、専用カバーを取り付けて安全性を向上させ、チェーン部にグリースを塗布しても飛散させずに耐久性を向上させます。2分割のカバーは、パッキンを挟みボルトで組み立てられ、両端部にOリングが取り付けグリース漏洩を防止しています。高速回転する場合や粉塵が多い環境や腐食雰囲気で使用する場合は、ケースの取り付けが必須です。
チェーンカップリングのその他情報
1. チェーンカップリングのメリット・デメリット
チェーンカップリングには実用的なメリットもありますが、デメリットもあります。
メリット
- 比較的コストが安い
- トルク伝達能力が高い
- 許容が大きい芯ずれ
- 簡単な連結と分解
デメリット
- 大きなバックラッシュ
- グリースによる潤滑が必要
- チェーンとスプロケットの摩耗
2. チェーンカップリングの規格
チェーンカップリングという名称でのJIS規格はありませんが、同義語のローラチェーン軸継手 (英: Roller Chain Shaft Couplings) は、下記で規定されています。
- JIS B1456 ローラチェーン軸継手 Roller Chain Shaft Couplings
参考文献
https://www.tsubakimoto.jp/power-transmission/shaft-coupling/transmission/roller-chain/body/