電磁クラッチ

電磁クラッチとは

電磁クラッチ

電磁クラッチ (英: electromagnetic clutch) とは、コイルに発生した電磁力により軸同士を連結して動力を伝えたり、両軸を切り離して動力を遮断する機械です。

コイルへの通電により動力伝達の制御が容易なため、遠隔操作ができ、断続的に動力を伝達可能です。

電磁クラッチはトルクの発生方法により、摩擦形、かみあい形、空げき形、スプリング形などに分類されます。摩擦形は構造が単純で安価であり、制御性に優れているため最も使用されています。 

電磁クラッチの使用用途

電磁クラッチはエンジンの回転力を伝達する機械として使用されます。具体的には自動車機器などの発電機油圧ポンプの駆動力に使用可能です。

クラッチには作動原理により、機械、油圧、電磁力などの種類があります。軸同士の動力伝達を電磁力によって容易に制御できるため、産業用途として一般的に使われるのが電磁クラッチです。小型の電磁クラッチであれば事務機器や通信機器のトルク伝達に用いられます。 

ただしクラッチが噛み合うと電磁アクチュエータ内で熱が生じるため、過熱の危険性が高まります。したがって使用可能な温度は制限されており、初期コストも高いです。

電磁クラッチの原理

クラッチは勘合させた2つの物の固定や切り離しを行う機械です。クラッチを切ると動力が伝わっていない状態になり、クラッチを接続すると動力を伝えている状態になります。クラッチには電磁クラッチの他に、作動方式に応じて機械クラッチや油圧クラッチなどがあります。

電磁クラッチは電磁力により制御が容易なため、一般的に使用されるクラッチです。トルク発生方法によって以下の種類に分けられます。

1. かみあいクラッチ

従動軸と原動軸の爪を噛み合わせて、2軸の連結や切り離しを行います。爪同士の滑りがなく、動力の伝達が効率的です。回転中の噛み合わせで衝撃が発生するため、低速運転時に接合させます。

かみあいクラッチはドッグクラッチとも呼ばれます。工学の分野でドッグは相互に関連した構成要素2つをロックする道具や装置のことです。

2. 摩擦クラッチ

原動軸と従動軸に取り付けた摩擦板を接触させ、摩擦力によって動力を伝達します。摩擦板を押し付ける強度を変化できるため、軸の回転中でも衝撃を抑えた滑らかな接合を実現可能です。

摩擦クラッチはスリップクラッチやフリクションクラッチとも呼ばれ、具体例として円板クラッチやディスククラッチが挙げられます。

3. 自動クラッチ

軸の回転がある一定の条件を超えたときに、自動的に動力の伝達や遮断を行います。例えば遠心力を利用した遠心クラッチでは、ある回転速度を超えると原動側と従動側の摩擦板が自動的に接触し、摩擦面を通じて動力を伝達します。

電磁クラッチの選び方

電磁クラッチには様々な種類があるため、以下の特徴を考慮して選ぶ必要があります。

1. 摩擦型

通常の摩擦クラッチに電磁力を利用するタイプです。構造が簡単で、遠隔操作が容易です。

2. 磁粉式

駆動部と従動部の間に磁粉を封入し、励磁した磁粉の結合力で伝動するタイプです。透磁率が高くて残留磁気が小さい磁粉を用います。結合力は回転速度に影響せず、断続が滑らかです。

3. 非接触型

非接触型は、渦電流クラッチとヒステリシス型クラッチに大別されます。

渦電流クラッチは界磁が励磁されるとドラムに渦電流が生じて回転を伝えます。渦電流カップリングとも呼ばれ、200kWほどの伝動が可能です。

ヒステリシス型クラッチは小さいトルクに適しており、サーボ機構に利用されます。無段階の変速が可能なため、運転が滑らかです。比較的安価で、摩擦部分がなく、断続回数が多い場合に活用されます。

参考文献
https://www.gifu-daiichi.ed.jp/weblog/file/68223ede96a086415777118c2a4d94388e5d4ec8.pdf
https://www.mikipulley.co.jp/JP/Products/ElectoromagneticClutchesAndBrakes/about.html

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