防護服

防護服とは

防護服とは、環境上の影響から健康上の問題を防ぐために着用する特殊な服です。

作業者が通常の服や作業服で作業すると健康上の重大な問題が発生する場合に、その原因となっている影響を無くしたり緩和するために使用します。防護服には作業状の脅威となるそれぞれの原因に応じて、多種多様な種類があります。

最もよく知られた防護服は、消防士が火災現場で着用する消防用防火服です。防炎、防熱機能に優れたこのスーツは、熱や炎から身を守るために特別に設計されており、防火性の高い素材で作られています。消防用防火服は、ヘルメット、手袋、ブーツなどの防護具と一緒に着用して初めて十分な効果が得られます。

防護服には、他には、粉じんが発生する作業現場で着用する防じん服、有毒な化学薬品の取り扱い時に着用する化学防護服、医療現場でウイルスなどの感染を防ぐために着用する感染防止対策用の防護服など、いくつもの種類があります。

このように、防護服はそれぞれの目的に合致した専用の防護服を着用して初めて十分な効果を発揮するものであり、汎用の防護服は殆どありません。また、着用に際しては体全体を覆う必要があるのが一般的で、風防をはじめ、ヘルメット、防護メガネ、マスク、手袋、シューズなどとセットで着用することを前提に設計・生産されているものがほとんどです。

また、防護服は、洗濯や再利用に関しても特殊な扱いを必要とするものが多くあります。従って、防護服には再利用をしない、1回限りの使い捨て用のものもあります。

防護服の使用用途

防護服は、健康上の脅威となる対象ごとにそれぞれ専用の防護服を着用します。防護服の種類によっては、脅威となる対象が同じということで、多岐に渡る使用用途や着用現場をもつものがあります。

例えば、粉塵や汚れから身体を守るために着用する粉じん防護用の防護服は、機械や設備のメンテナンス、金属加工、清掃、ガラス繊維・炭素繊維・ロックウール等取り扱い、発泡ウレタン吹付工事、食品加工など幅広い作業で着用されます。

高圧洗浄用防護服は、高圧洗浄作業において、水の噴射によって発生する飛沫や泥汚れ、石こうなどの飛散物から身体を保護するための防護服です。高圧洗浄用防護服は、高圧洗浄作業以外にも、化学物質を取り扱う作業や危険な作業現場で使用されることがあります。

防護服の原理

防護服は、人間の健康を脅かす脅威となる原因を侵入させないための機能を持った生地を主材料として、着用者のために通気性、保温性、放熱性を確保する繊維を組み合せた多層構造の生地で作られています。

例えば、粉じん防護服であれば、塵やホコリそれに砂などを通さない生地が使われていて、それに通気性を保ちながら汗を吸収する生地を内側に使うなどして。ある程度の季語心地を確保しています。

同様に高圧洗浄用防護服は、水を通さないことと水の噴射で発生する飛沫から身体を防護する強靭さを生地に持たせています。

防護服は、それぞれの作業に応じて、その作業でさらされる脅威から身体を守ることを第一に考えています。そのために着心地や作業性はかなり犠牲になっているものもあります。このことに関しては、各メーカーで、より機能性と快適性に優れた防護服の開発が続けられています。

防護服の種類

その他の主な防護服には次のようなものがあります。

化学防護服は、危険物質に対して適切な防護性能を持つように設計されており、使用目的や危険物質の種類に応じて様々な種類があります。化学防護服は、全身を覆うタイプのものや、上下別々のタイプのもの、使い捨てのものや洗濯可能なものなどがあります。

放射線防護服は放射線から身を守るための防護服で、鉛や鉄などの重金属を使った生地でできています。袖や足首の隙間を密閉し、顔や手足もカバーする全身タイプのものが多いです。

電気絶縁防護服は電気ショックから身を守るための防護服で、電気絶縁性の高い素材でできています。一般的には、耐熱性、耐久性、防水性も必要とされます。

バイオハザード防護服は感染症などのバイオハザードから身を守るための防護服で、ウイルスや細菌などの侵入を防ぐ素材でできています。一般的には、風防が付いており、保護メガネやマスク、グローブやシューズと併せて完全に身体を覆うようにして使用します。

防護服の選び方

防護服を選択する際には、何よりも使用目的に合った種類の防護服を選ばなければなりません。さらに、防護服は種類によって脅威をほぼ完全に防ぐものもあれば、ある程度の影響は緩和できるけれども、制限された条件や時間内での使用を前提としたものがあります。

消防用防火服はある程度の熱に耐えられますが、限界があります。放射線防護服は透過力の強いγ線を完全に防御することは不可能であり、被ばく線量をモニタリングしながらの作業が前提となっています。

このように防護服は、作業者を様々な脅威から守ってくれる一方で、それには限界や制限があります。防護服の選択に当たっては、仕様をよく確認して適切な防護服を選ぶ必要があります。

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