赤外線センサー

赤外線センサーとは

赤外線センサー

赤外線センサーとは、赤外領域の光線を検出するセンサーです。光は、波長によって色や特徴が異なります。可視光線の波長は400nm~800nm程度とされ、それ以外の光は目に映りません。人間の目には、400nm付近の光線は紫色に映り、800nm付近の光線は赤色に映ります。

目に見えない光線を呼称する際、400nm以下の波長をもつ光線を紫外線と呼び、800nm以上の波長をもつ光線を赤外線と呼びます。赤外線センサーは、上記の赤外線を感知するセンサーです。赤外線を検出するだけでなく、赤外線を発光して反射波を検出する方式もあります。

赤外線センサーの使用用途

赤外線センサーは民生品にも様々な方法で使用されています。代表的な使用用途はテレビリモコンです。リモコンの操作信号をテレビの赤外線センサーで受信します。赤外光が目に見えない特性を利用した使用方法と言えます。

体温計にも赤外線センサーが使用されます。物質が高温になるほど赤外線を発光する特性を利用して温度検出しています。非接触で素早く検温可能なため、感染症が流行した際には重宝されました。産業用としては、宇宙開発や軍事などにも利用されており、赤外線センサーの使用用途は幅広いです。

赤外線センサーの種類

赤外線センサーの研究は盛んであり、材質の種類も様々です。原理は主に熱型と量子型に分けられます。赤外線の波長は近赤外、中赤外、遠赤外に分類され、センサーによって得意な領域があります。

1. 熱型赤外線センサー

熱型赤外線センサーの代表例は焦電型です。焦電型赤外線センサは強誘電体の焦電セラミックスが材料で、焦電効果を利用しています。センサーが赤外線によって温められると、焦電効果でセラミックス上の電荷量が変化します。変化した電荷量によって流れる電流を検知します。

人体から発せられるわずかな赤外線も検出することができます。サーモパイルセンサーも熱型の一種です。サーモパイルは複数の熱電対で構成され、赤外線の熱エネルギーを起電力へ変換する熱起電力型センサーです。

2. 量子型赤外線センサー

量子型赤外線センサーはバンドギャップエネルギーを電流として検出するセンサーです。仕組みは太陽光パネルと同じで、赤外線で発電する素子を材料に作られます。熱型より検出感度が100~1,000倍高い反面、センサ自体の発熱も感知してしまうので、十分に冷却する必要があります。

赤外線センサーのその他情報

1. 赤外線センサーの欠点

赤外線センサーは誤不動作や誤動作する場合があります。誤不動作するケースとしては、ガラスアクリルなどの遠赤外線を透過しない物体がセンサーを遮った時や、検出対象がほとんど動かない時などです。

自動ドアを例に説明します。自動ドアは、赤外線反射量の変化率で物体を検知します。その原理上、絨毯と同色の服を着たり、ゆるやかに自動ドアに近づくと、誤不動作します。

人体以外の熱源で誤動作する場合もあります。例えば、太陽光や白熱灯に反応して誤動作することがあります。冷暖房機器などの周辺で、温度が急変した場合にも誤動作します。

2. 赤外線センサーと自動車

夜間運転は視界が悪く、事故の発生確率が高くなります。夜間運転の問題を解決して安全性を高める、赤外線イメージセンサーが「新しい目」として注目を浴びています。

ナイトビジョンシステム
歩行者などを赤外線センサーで映像化してディスプレイに表示します。パッシブ型センサーを用いれば、遠赤外線の放射を直接検出するのでライト照明は不要です。アクティブ型は近赤外線ライトで前方を照射して、その反射光を赤外線カメラで撮影します。GMやホンダが遠赤外線方式を採用しており、トヨタは近赤外線式で実用化しています。

車両周囲モニター
車両の四方に赤外線カメラが装備し、死角にいる歩行者を検知します。歩行者がいると発進時に警報を発報し、発進を抑止するシステムが開発されています。

エアコンシステム
乗員から放射される遠赤外線によって表面温度を計測し、吹出口を切り換える空調制御が開発されています。

参考文献
https://www.nicera.co.jp/products/infrared-sensor
http://sensait.jp/10910/
https://www.sensor-sk.com/ichi/ichi02_sekigaisen.html
https://clicccar.com/2020/04/01/964613/

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