ダイヤフラムポンプ

ダイヤフラムポンプとは

ダイヤフラムポンプ

ダイヤフラムポンプは、ダイヤフラムと呼ばれる薄膜を動作させることによって、流体を流すポンプのことを言います。体積変化によって、流体を流す容積式のポンプになります。非常に微小な流体を正確に流すことに向いており、実験装置など高精度の溶液を使用する機器に使用されます。粘性の大きな流体や粉体流を流すことができるほか、構造上、漏れが発生せず、メンテナンス性が高いこと、脈動を起せることが特徴です。

ダイヤフラムポンプの使用用途

ダイヤフラムポンプは、化学製品、薬品、機械製品などの製造現場、人工心臓、実験装置などで使用されます。輸送する流体が漏れない構造から、危険性の高い薬品や化学物質、高いクリーン度が要求される現場で使用されます。また、粉体流を輸送することができるので、研磨剤の輸送や廃液の回収の用途でも使用されます。その他にも、正確に流量を調整できる特徴を利用して、人工心臓などの生体機器や、正確な流体を流すことが可能な実験器具のポンプとしても利用されています。

ダイヤフラムポンプの原理

ダイヤフラムポンプの動作原理を説明します。ダイヤフラムポンプは、吸い込み口と吐き出し口がついており、1面にダイヤフラムと呼ばれる伸縮性のある薄膜がついている容器と、吸い込み口と吐き出し口に逆流防止弁がついている構造になっています。

動作時は、吐き出し口側の逆流防止弁が閉じられ、ダイヤフラムが引っ張られ、容器の体積が大きくなり、容器内の圧力が低下します。圧力が低下すると、吸い込み口側から流体が容器内に吸い込まれます。ダイヤフラムが最大まで引っ張られると、吸い込み口側の逆流防止弁が閉じられ、吐き出し口側の逆流防止弁が解放されます。その後、ダイヤフラムが押し出され、容器内の体積が小さくなり、吐き出し口から流体が押し出されるように流れます。この動作をくりかえることによって、ポンプとして機能します。ダイヤフラムによる容器内の体積変化を調整すれば、容易に流量の調節を行うことができるほか、粘度が高い流体でも容積変化による輸送のため、対応しています。

ダイヤフラムポンプの寿命

ダイヤフラムポンプの寿命は使用流体、使用圧力、稼働率等により異なります。基本的には、ダイヤフラム自体が破れず消耗部品が摩耗し破損しなければ使用し続けることが可能です。ただし、電磁弁を採用しているダイヤフラムポンプの場合、電磁弁の作動回数による寿命も1つの要因として考慮する必要があります。

流体内に異物や固形物が混入する場合、ダイヤフラムに傷をつけ破損につながることが多いため、注意が必要です。逆に、それらが含まれない流体の場合は圧力や流体にもよりますが、常時稼働で3~4年ほどは持ちます。

実際の寿命はポンプの型式及び使用環境により変化するため、メーカーとの協議が必須となります。

ダイヤフラムポンプの脈動

ダイヤフラムポンプを含む往復運動を用いて流体を輸送するポンプでは「脈動」という現象が発生します。人間の心臓も圧縮と膨張を繰り返すことで血液を体中に送っていますが、ドクン、ドクンと脈を打つことが確認できるかと思います。これと同様の現象がポンプでも発生します。つまり、流体を送る→吸込む→送るを繰り返すことで流体が脈を打つように送液されることからこう呼ばれます。

この脈動を低減する方法としていくつかありますが、導入事例をいくつか紹介します。

1つはエアーチャンバーと呼ばれる機構をポンプ二次側(出口側)に設置します。ポンプ送液時の圧力変動をエアーで吸収することで、脈動を抑制し一定の流量を取り出すことが可能となります。ただし、エアーチャンバーは流体とエアーが同一の容器内に入ることとなるため、エアーが流体に溶け込むリスクが発生します。対策としてアキュムレータと呼ばれるエアーと流体をゴムなどの材質で仕切りを設けた部品も存在します。

異なる方法としては、1つのダイヤフラムポンプに複数ダイヤフラムを使用したポンプを採用します。これにより、片側のダイヤフラムが吸込みを行っている間にもう一方のダイヤフラムは送液を行い、交互に繰り返すことで吸込みと送液の差を限りなくなくすことで、脈動を低減することができます。

参考文献
https://www.tacmina.co.jp/library/coretech/128/
https://www.tacmina.co.jp/library/coretech/207/
https://www.iwakipumps.jp/blog/naruhodo/06/

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