湿度計

湿度計とは

湿度計

湿度計とは、空気中の湿度を計測して表示する機器のことです。

湿度を表す指標にはいくつかありますが、私たちが日常使っているものは相対湿度 (%RH) です。相対湿度とは、測定する空気中に含まれる水蒸気の量と、その温度の空気が含むことができる最大の水蒸気量との比率を指します。

相対湿度以外には、混合比 (kg/kg) 、絶対湿度 (g/m^3) 、水蒸気圧 (Pa) 、露点温度 (℃) 、モル分率 (mol/mol) などがあります。 湿度計は、アナログ式とデジタル式に大別されます。アナログ式は、乾湿式湿度計、毛髪湿度計、バイメタル式湿度計などがあり、古いものでは1500年頃から利用されています。基本的には電力を使用しません。誤差が出やすいので、メンテナンスや測定条件を整える必要があります。

デジタル式の電子式湿度計は、半導体を用いたセンサーで、温度センサーとセットで温湿度計になっている場合が多いです。小型でデータの記録が容易なので、産業用に利用されています。

湿度計の使用用途

湿度計は公共の気象観測等で、昔から利用されてきました。毛髪湿度計は電力を必要としないので、美術館や博物館で利用されています。

工業用の湿度計としては、農業のビニールハウス栽培やキノコ類の栽培、その他医療や薬品工場など、湿度が影響を受けやすい場所で利用されています。

最近は熱中症予防に、温湿度計が利用されることも多いです。大型の体育館、教室や老人ホームといった、人が活動する室内で配備されている場所もあります。エアコンや加湿器にも搭載されていて、機器の自動制御を担っています。

湿度計の原理

湿度の測定には、様々な原理が用いられています。まずアナログ式かデジタル式かで原理が大きく分かれます。

1. アナログ式湿度計

アナログ式は、日用品として使われる湿度計に多く用いられています。

乾湿球形湿度計
乾湿球形湿度計は2本のガラス製の温度計が並んでおり、一方に水分を含んだガーゼが巻かれています。温度計の下に水を蓄える容器があり、ガーゼはこの容器の水分を吸収し、巻かれた温度計の部分で水分を蒸発させます。

水分が蒸発すると気化熱が奪われるので、ガーゼが巻かれた温度計の表示温度 (湿球温度) は低くなります。この温度差から湿度を算出します。製品によっては2本の温度計の間に、湿球温度換算表がついて、ガーゼがついていない温度計 (乾球温度) と、湿球温度との差から湿度を読み取ることが可能です。

2つの温度計が同じ数字であれば、濡れた布も乾かず気化熱が発生しない状態、つまり湿度100%ということになります。

毛髪湿度計
毛髪湿度計は、ナイロンの糸や人の毛髪が湿気により伸縮性が変化する性質を利用して針を動かします。針はてこの原理で大きくし、その動きをロール紙に記録していきます。

電力を使用せずに測定することから火災の心配もないため、美術館などで使用されています。

バイメタル式湿度計
バイメタル式湿度計は、ベースになる金属製のぜんまいばねに、湿気を吸収しやすい収縮率の異なる乾湿剤を貼り合わせ、湿度によってぜんまいの形状が変化することを利用したものです。壁掛けの指針タイプの湿度計で使われています。

2. デジタル式湿度計

デジタル式湿度計は、工業用として広く使われています。

電気抵抗式
電気抵抗式は、相対湿度によって電気抵抗が変化する湿度素子を使っています。20%rh以下の低湿度は誤差が大きく測定不能、素子は高温により劣化する点に注意が必要です。

静電容量式
静電容量式は、コンデンサに蓄えられる電気容量の変化を利用しています。コンデンサの中にある高分子膜が吸着、または放出する水分量は空気中の相対湿度と比例します。電気抵抗式とは異なり、相対湿度0%から測定できます。

露点湿度計 (光学式)
測定する空気を冷やした鏡に当てて、鏡のくもりを光の反射から検出します。鏡が曇り始める温度が露点温度です。さらに、別途空気の温度とあわせて、相対湿度を算出することもできます。現在、湿度を最も正確に測定できる方法です。

湿度計のその他情報

湿度測定の注意点

湿度計の種類によって、誤差範囲が異なる点に注意が必要です。測定は正確さも重要ですが、簡単に測れるかどうかも欠かせないポイントになります。日常生活ならば正確性よりも、容易さが重視されますし、工業用であれば目的を満たせる誤差範囲の測定方法を選択する必要があります。

そのため、湿度計を選定する際には、測定可能範囲や誤差範囲を十分に確認しましょう。

参考文献
https://hakari-shouten.com/html/wp/column/2145/#i-6
https://www.chino.co.jp/support/technique/humidity_index/

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です