ジップチェーンアクチュエータとは
ジップチェーンアクチュエータ®は株式会社椿本チエインの登録商標で、ジップチェーンと呼ばれる直動機構を利用したアクチュエータです。
ジップチェーンは椿本チエインが独自開発した機構であり、互いに押し付けられた2本の鎖状構造(チェーン)が洋服のチャック部のように噛み合うことで、噛み合った鎖状構造が押し付け力と直角方向に直動します。
新しいタイプの直動機構であるため使用実績は少ないですが、従来の直動アクチュエータと比較して多くの長所があります。
ジップチェーンアクチュエータの使用用途
ジップチェーンアクチュエータは従来の直動アクチュエータと比較して、ストロークに対して最大90%の高さ方向の省スペース化が可能である点、最大1000mm/secの高速動作が可能である点、任意の中間点で停止可能な点など多くの利点があります。
したがってこの駆動システムは、大きなストロークが必要だがスペースが確保できない場合や、リフタや台車を高速で昇降あるいは移動させたい場合、複数の停止位置を設けたい場合などに使用されます。
また据え付け方向にも制限がなく、押上げ・吊り下げのどちらの方向でも使用することができます。
ジップチェーンアクチュエータの原理
このアクチュエータは、2本の鎖状構造と鎖状構造先端に取り付けられた先端金具、鎖状構造の収納部と動力伝達用の歯車と軸で構成されています。
2本の鎖状構造は先端部で先端金具により噛み合わされており、収納部の開口部も鎖状構造が噛み合った状態で送り出されるように設計されているため、洋服のチャック部と同様の原理で収納部から出ている部分の鎖状構造は噛み合って1本になっています。
鎖状構造の収納時は収納部内で鎖状構造が渦を巻くように収納されるため、ストロークに対して非常に小さい高さの収納部に鎖状構造を格納することができます。
駆動伝達部は回転軸に固定された歯車がチェーンを送り出す構造であるため、空気圧シリンダなどと比較して位置決め精度も比較的良好です。また、モーターによって駆動することができるため減速比を機外で自由に設定することができ、フィードバック制御など複雑な制御を行うことも可能です。
以上のような利点により、従来のシステムでは困難であった電動の高速直動動作が可能となります。
参考文献
https://www.tsubakimoto.jp/power-transmission/linear-actuator/zip-chain-actuator/zca/