電磁開閉器

電磁開閉器とは

電磁開閉器

電磁開閉器 (英語: electromagnetic switch) は、電磁石の作用で電気回路を開閉する電磁接触器と、過負荷時に回路を遮断するサーマルリレーとを組み合わせた開閉器を言います。マグネットスイッチとも呼ばれ、電動機の運転用・遠隔操作用の開閉器などに使われます。

電磁接触器には、多くは三相電源に対応する3個の主接点があります。この他に補助接点がいくつかあり、定格電流が主接点より小さい接点です。開閉状態や過負荷時を知らせるランプやブザーの通電、及び自己保持回路などに使います。

サーマルリレーは過負荷時に流れる過電流を検知して信号を出力するもので、それ自体には回路を遮断する機能がないものです。そのため、回路遮断機能を持つ電磁接触器と組み合わせて使用します。

電磁開閉器の使用用途

電磁開閉器は、回路のスイッチとは異なり、モーターなどの負荷電流が比較的大きい回路のスイッチの機能として使用されます。主に制御盤で利用されます。選定の際には、許容される電流の大きさやスイッチングの耐久性、メンテナンス性などを考慮する必要があります。

用途として多いのは、モーターの開閉回路です。制御盤にオンボタンとオフボタンを設ける方式が多く用いられます。補助接点を使って、自己保持回路・ランプ点燈・過負荷保護などの回路に使用します。

照明用では、ビルの照明を一括で管理する制御盤内にスイッチング機能と過電流の保護機構を組み込みます。

三相誘導モーターは、相順を変えることで、正逆運転ができます。電磁接触器を2個使って正転・逆転を切り替える可逆用電磁開閉器があります。2つの接触器が同時にオンにならないように、機械的インターロックが組み込まれています。正転・逆転が必要な場合に使用します。

電磁開閉器の原理

電磁開閉器は電磁接触器とサーマルリレーとで構成されます。

1. 電磁接触器

電磁接触器は、電磁石・可動接点・固定接点・コイル・ばねなどで構成されます。電源オフの時は、ばねによって可動接点と固定接点は離れています。電源がオンになると、コイルに電流が流れ、磁界が発生します。その磁界によって電磁石が引っ張られ、可動接点と固定接点が接触し、電流が主回路に流れます。

2. サーマルリレー

サーマルリレーは、膨張率が異なる2つの金属を組み合わせたバイメタルと、ヒーター・押し板・2つの接続端子などで構成されます。電流がサーマルリレーに流れると、その電流の大きさに応じてヒーターから熱が発生します。

その熱によって、バイメタルが婉曲し、押し板が押されます。設定した電流量よりも大きな電流が流れた場合、バイメタルの婉曲が大きくなり、回路が遮断されます。この原理によって、過電流から電気機器を保護します。モーター負荷の場合、電流設定値は通常時の1.73倍以下にセットするのが、一般的です。

サーマルリレーが作動すると、電磁接触器の補助接点を流れる操作回路が遮断されます。すると電磁接触器の電磁石コイルを流れる電流がオフになり、主接点回路を遮断してモーターなどを停止させます。

電磁開閉器のその他情報

1. 電磁開閉器とリレーの違い

電磁開閉器とリレーの違いは、接点に流すことができる電流値です。リレーは、一般に制御回路でのみ使用されます。負荷の動作用として用いる場合も、小型のモーターや電磁弁程度です。リレーの接点容量は最大でも5A程度です。

電磁開閉器の構成は、大電流を流すことができる主接点と、制御回路として用いる補助接点です。主接点は電磁開閉器の容量によって流すことができる電流値が異なり、最大400~1,000A程度です。

2. 電磁開閉器の故障

電磁開閉器の故障は大きく分けて2種類あります。1つは接点の故障です。接点の故障は、開閉によるアークで接点が接触不良となる接点不良と、接点に過電流流れて接点が張り付く接点溶着があります。

接点不良は、主に経年による劣化によって発生します。開閉電流が大きく、回数が多いほど発生確率が上がります。接点間の塵埃によっても発生するため、定期的な清掃によって防ぐことが可能です。接点の溶着は、多くは強制劣化によるもので、負荷が大きくなったり、配線が不良でレアショートした場合などに発生します。

2つ目はコイルの故障です。コイルの故障はコイルの断線やショート、固定鉄心の固定が外れる等があります。断線やショートは、設計段階で制御電源電圧を間違うなどして発生します。コイルの故障は経年劣化でも発生するため、定期交換等で回避することができます。

参考文献
https://www.mitsubishielectric.co.jp/fa/learn/semi/school/haiden/tex_tei_gaisetu_pdf/sy_9011h.pdf
https://elec-tech.info/whats-magnetic-switch/

切断機

切断機とは

切断機

切断機とは、金属や木材などを砥石やガス、レーザー、プラズマなどを使って切断するための装置のことです。

砥石を高速回転させて対象を切断する製品が一般的で、切断対象を土台に固定して、決まった位置を切断するタイプや、手で持ち歩けるハンディタイプの製品もあります。

金属などの切断時には、火花が飛び散る場合が多いため、ゴーグルや防具を装着するなど、安全面にも十分配慮が必要です。また、切断機は素早く正確に切断できるため、製造現場や工事現場、DIY愛好家など様々な場面で利用されています。ただし、高度な技術や知識を必要とするため、専門の技術者が操作することが望ましいです。

より精密な切断が求められる場面では、レーザーやプラズマなどを使用した切断機も開発されており、砥石を使用する場合と比べ、切断面の仕上がりが滑らかで綺麗なため、高品質の製品や建築物の製造に利用されます。

切断機は、素材の切断において欠かせない重要な装置であり、利用方法を十分に理解し、安全に取り扱うことが必要になります。

切断機の使用用途

切断機は鉄やステンレス、アルミ材などの鉄鋼材料、木材、樹脂材料を切断するために使用されます。切断機の選定の際には、切断対象の材料に切断機が対応しているかどうか、使用する電力量、持ち運びできるかなどの考慮が必要です。

切断によって飛び散った粉塵を回収する機構や、切断部のけがき線が見やすい様にライトで照らす機構など、製品によって様々な工夫がされており、用途に適切な製品を選定すれば、作業の効率化を図れます。

切断機の種類としては、砥石を高速回転させて対象を切断するタイプが一般的です。切断対象を土台に固定して、決まった位置を切断するタイプや、手で持ち歩けるハンディタイプの製品もあり、使用用途は多種多様です。

切断機の原理

一般的に使用される高速回転切断機は、砥石を高速回転させて、対象物に接触させることで切断を行います。

砥石は摩擦力によって切削力を発生させ、対象物を切断するために使用されます。一方、ガス切断機は、燃焼ガスの炎を使って対象物を加熱し、熱反応によって酸化反応を起こし、対象物を切削する原理が用いられます。

また、レーザー切断機は、レーザー光線を対象物に照射することで、対象物を溶かすことによって切削を行います。

適切な原理を選定し、対象物の特性に合わせて使用することで、より効率的かつ正確な切削が可能です。ただし、いずれの使用用途でも火花が飛び散るなどの現象が起きるため、ゴーグルや防具を装着するなど、取り扱いには細心の注意が必要です。

切断機の種類

切断機の原理を、砥石を高速回転させる高速回転切断機、ガス切断機レーザー切断機の3種類があります。それぞれの切断機は切断方法が異なるため、使用用途に合わせて、切断機を選定する必要があります。正しい取り扱い方法を守って使用することで、効率的な作業や安全な作業が可能です。

1. 高速回転切断機

高速回転切断機は径が約300mm以上の円形の砥石、モータ、バイスで構成されています。バイスで切断対象の木材や金属、パイプなどを挟んで、高速回転している砥石で切断します。手動で行う切断の中では、高精度に切断できることが特徴です。

2. ガス切断機

ガス切断機は、鉄と酸素の化学反応を利用して鉄鋼を切断する切断機です。ガスは主にアセチレンを使用します。切断対象の母材をあらかじめ熱しておき、酸素とアセチレンを吹きかけることで、母材を溶かし、切断します。用いる機材が少なく、電気を使わず切断できることが特徴ですが、切断速度や母材を熱しておく必要があることが難点です。

3. レーザー切断機

レーザー切断機は、レンズなどで集光されたレーザービームを切断対象の母材に当て、その部分に酸素などの反応ガスを吹きつきて、母材を溶かすことによって切断します。母材が熱せられる部分を非常に小さくすることができるので、高精度に切断できることが特徴です。

参考文献
https://repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspe1933/44/528/44_528_1489/_pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/qjjws1943/26/2/26_2_96/_pdf

ロータリーエンコーダ

ロータリーエンコーダとは

ロータリーエンコーダ

ロータリーエンコーダとは、測定対象の回転による移動量や回転角を測定する装置です。

一般的には、モータや減速機の軸に取り付けて使用します。サーボモータステッピングモータに付属している場合もあります。主に、精密制御が必要な回転機器に使用される装置です。

ロータリーエンコーダの使用用途

ロータリーエンコーダはモータで駆動するさまざまな製品で幅広く利用されます。以下はロータリーエンコーダの使用用途一例です。

  • 産業用ロボットのフィードバック制御
  • 半導体製造装置のステージ装置の制御
  • エレベーターの位置制御
  • 自走式クレーンの速度制御や位置制御

回転位置制御や回転速度制御を行う場合に、ロータリーエンコーダを用います。簡単な速度制御の場合は、インバータのみで実現可能です。精密な速度制御や回転途中のモータを制御したい場合などに、エンコーダは有用です。

ロータリーエンコーダの原理

一般的なロータリーエンコーダは、光を用いて測定を行います。発光ダイオード、スリット円盤、フォトトランジスタなどの部品で構成されます。

1. 発光ダイオード

発光ダイオードは電源を受電して常時発光します。その光はレンズで集光された後、スリット円盤へ当てられます。

2. スリット円盤

スリット円盤は等間隔に穴の空いた回転円盤で、エンコーダの回転軸と固定されています。

3. フォトトランジスタ

穴を通過する光の先にはフォトトランジスタが設置されており、受光と共にパルス波を発信します。このパルス波を計測することで回転数を測定します。測定には光以外にも、磁力や静電容量の変化量を用いて測定する製品も販売されています。

ロータリーエンコーダの種類

光学式のロータリーエンコーダは、インクルメンタル式とアブソリュート式の2種類の測定方法に分かれています。前者は回転位置の相対値を測定し、後者は回転位置の絶対値を測定します。

1. インクルメンタル式

インクルメンタル式のロータリーエンコーダは上記原理と同様で、回転円盤のスリットを通過する光をパルス信号へ変換して発信します。信号はスリットを通った光を検出する2種類の信号を用います。

A相とB相と呼ばれるのが一般的です。また、原点位置検出用にZ相の信号を搭載しているエンコーダも販売されています。波形取り込みに誤動作があればカウントがミスされ、誤差が発生する特徴があります。

この方式のデメリットは、絶対位置がわからないことです。ただし、2相の信号を内蔵しているため、回転方向を判別することは可能です。

2. アブソリュート式

アブソリュート式のロータリーエンコーダは、回転円盤に位置情報判別用の溝があります。この溝を光が通過すると受光素子で検出し、絶対位置の計測が可能です。したがって、絶対位置を検出するため、その並び順により回転方向を検出できます。

アブソリュート式では、各位置の符号にグレイコードを用いるのが一般的です。グレイコードは交番二進符号ともよばれ、隣り合うビットの変化が1ビットしかないようにした符号方法です。グレイコードを利用することで位置の誤検出が少なくなるため、ノイズや誤差に強く精度が高くなります。

ロータリーエンコーダの選び方

ロータリーエンコーダを選定する際には、測定方式や分解能、負荷荷重などを考慮する必要があります。

1. 磁気式・光学式

磁気式と光学式が存在します。磁気式は対候性に優れる一方、光学式は測定精度が高い特徴があります。光学式の中でもアブソリュート式の方が測定精度が高く、絶対位置を検出可能です。

2. 分解能

分解能は、測定可能な最小位相です。分解能が高いほど測定精度が高くなりますが、高価となる上に信号が複雑となったりノイズに弱くなったりすることがあります。ロータリーエンコーダを取り付ける機械の制御に必要なだけの分解能を選定します。

3. 負荷荷重

負荷荷重は、回転軸に掛けることができる重量です。許容負荷荷重以上の荷重をかけると、ロータリーエンコーダの軸や軸受が破損します。したがって、想定される最大荷重以上の許容負荷荷重の製品を選定します。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspe1986/67/7/67_7_1091/_pdf
https://www.onosokki.co.jp/HP-WK/products/category/encoder2.htm
https://www.fa.omron.co.jp/guide/technicalguide/34/24/index.html

ソレノイドバルブ

ソレノイドバルブとは

ソレノイドバルブ

ソレノイドバルブとは、電磁コイルによって開閉動作するバルブのことです。

日本語では電磁弁と呼ばれており、日常生活から産業用途までなくてはならない機器です。

ソレノイドバルブの使用用途

ソレノイドバルブを使用することによって幅広い流体の流れを制御できますが、代表例は油、水、蒸気、圧縮空気、燃料などです。

1. 機械油

油圧ユニットの流れ制御にソレノイドバルブが使用されます。強い圧力を必要とする機械は油圧によって動かすことが多く、代表例は自動車や油圧プレスです。自動車ではパワーステアリングに油圧を使用されてきましたが、近年は電動式が主流になりつつあります。

2. 水

上水や工業用水の流れ制御にソレノイドバルブを使用します。代表的な例としては、貯水タンクの水位制御で、ボールタップの他に電磁弁が使用される場合があります。また、農業における自動散水にも電磁弁が使用されます。

3. 蒸気

ソレノイドバルブは製品によっては蒸気を流通させることが可能です。蒸気を使用する大型衣類乾燥機などで流れ制御に使用されます。凍結防止用のスチームトレース制御用にも使用される場合があります。

4. 圧縮空気

空圧機器の制御には主にソレノイドバルブが使用されます。空圧バルブや空圧シリンダーの制御には圧縮空気が使用されますが、圧縮空気をソレノイドバルブで制御します。圧縮空気のドレン自動排出にも使用される場合があります。

5. 燃料

気体燃料や液体燃料の噴霧量をソレノイドバルブで制御します。給湯器用の都市ガス (プロパンガス) 流れ制御などに使用されます。ガスエンジンや軽油バーナーに使用され、蒸気や電気を作り出すのに使用される場合もあります。

ソレノイドバルブの原理

ソレノイドバブルはソレノイド部とバルブ部に大分されます。

ソレノイド部の主要部品は電磁コイルであり、電圧を掛けることで固定鉄心が励磁して可動鉄心を動かします。可動鉄心はバルブ部と連動しており、バルブの開閉動作に変換されます。バルブ部は弁体と弁座に分かれており、弁体が動作することで流体の流れを制御します。弁体は可動鉄心に連動して動きます。

ソレノイドバルブの種類

ソレノイドバルブには以下3種類があります。

1.  2方向電磁弁

入り口と出口の2ポートを持つ電磁弁です。流体が止まるか流すかの2動作を制御します。

2. 3方向電磁弁

供給、シリンダ、排気の3つのポートを持つ電磁弁です。シリンダポートは供給ポートか排気ポートのどちらかに接続されます。流体の流れを変えたい場合や、単動シリンダーの動作に使用されます。

3. 4方向電磁弁

4方向電磁弁は4または5つのポートを持つ電磁弁です。供給ポートが1つとシリンダが2つ、排気ポートが1つまたは2つあります。複動シリンダーの制御などに使用されます。センターポジションに応じてクローズドセンター、エグゾーストセンター、プレッシャーセンターに分けられます。

ソレノイドバルブの選び方

以下はソレノイドバルブを選ぶ際の選定基準の一例です。

1. 対象流体・温度

ソレノイドバルブは流通できる流体の種類が製品によって決まっています。代表的な流体は使用用途の項にある通りで、対象流体に応じて選定します。また、ソレノイドバルブの使用可能な温度も製品によって決まっているため、対象となる流体の温度に応じて選定します。

2. ポート数

ソレノイドバルブのポート数を選定します。流体の流れ制御には2ポートまたは3ポートを選定します。シリンダー動作制御の場合は3ポートまたは4,5ポートを選定するのが一般的です。

3. 使用圧力・接続方式

使用する圧力を選定します。使用圧力よりも耐圧力の低い製品を選定した場合は破裂するため大変危険です。したがって、使用圧力よりも高い耐圧性能の製品を選定します。

使用圧力が決定したら、接続方法と口径を選定します。接続方法はフランジ接続またはねじ込み接続が一般的です。また、大口径の場合はフランジ接続の製品が多く、小口径の場合はほとんどがねじ込み接続です。

4. 電源電圧

電源に使用する電圧を選定します。一般的にはDC5V~24VまたはAC100V~200Vなどの電圧が使用され、制御電圧に応じて選定します。AC100V/200V共用の製品も存在し、その場合は結線方法によってどちらかを選択します。

参考文献
https://kurashi-no.jp/I0015572

ツェナーダイオード

ツェナーダイオードとは

ツェナーダイオード

ツェナーダイオードは、n型半導体とp型半導体をつなげたダイオードの中でも、逆方向電圧が比較的小さく、電圧値が安定性している素子です。定電圧ダイオードとも呼ばれています。

通常のダイオードでは、両端に印加するバイアスの極性に応じて導通の度合いが変化する整流作用を示し、非常に高い逆バイアス電圧をかけても電流は流れません。しかし、ツェナーダイオードと呼ばれる特殊なダイオードは、ある閾値以上の比較的小さな逆バイアス電圧をかけると急激に大量の電流が流れるダイオード特性を示します。

ツェナーダイオードならではの整流特性を利用することによって、回路内で一定の電圧を保つことができます。

ツェナーダイオードの使用用途

ツェナーダイオードは、ある値以上の逆バイアスが加わったときに急激に電流を流し、それ以上電圧が上昇するのを抑えられることが特徴です。そのため、不安定な電源の電圧を一定に保つ時やサージ電流から回路守る時に用いられています。

例えば、安定的ではない電源と並列に、ツェナーダイオードを逆バイアスになるように接続します。その結果、電源の電圧がツェナーダイオードの降伏値よりも高くなれば、ツェナーダイオードに大きな電流が流れるため、電圧を下げて回路にかかる電圧を一定に保つことが可能です。

ツェナーダイオードの原理

ツェナーダイオードが示す独特の特性の起源については、ツェナー効果とアバランシェ効果の2つが関わっていると言われています。前者は、(ツェナーダイオードに固有である)意図的に混入不純物濃度の高い半導体を用いてpn接合を作る事で逆バイアスがかかった際に発生する空乏層が薄くなり、ある閾値上の値において電子がトンネル効果が生じ空乏層を飛び越えて電気伝導を生じるという現象です。

後者は、高いバイアスより強く加速された電子が半導体原子に衝突する事により多くのキャリアを叩き出し、叩き出された電子が半導体原子に衝突して更に多くのキャリアを叩き出すということを繰り返して電子雪崩を起こし、大量の電流が流れるという現象です。

バイアスが閾値を超えると、ツェナー効果で空乏層を飛び越えた電子が高い逆バイアスで大電流を起こすアバランシェ効果が発生し、それが電圧降下を引き起こすため電圧を閾値にまで下げることになります。

すると、回路にかかる電圧を一定に保つことになり、不安定な電源の安定化や外部からのサージから回路を守ります。現在は不純物濃度の割合と半導体プロセスの処理により、このツェナーダイオードの逆方向の降伏電圧は極めて制御性良く作製することが可能です。

種類や公差も広範囲のものが市場には出ており、1V台から数百Vといった広いレンジで選択でき、電圧値によっては狭公差±0.05%のものも出回っています。

ツェナーダイオードのその他情報

1. ツェナーダイオードの直列・並列接続

直列接続
ツェナーダイオードを直列接続する場合、流すツェナー電流lzの値に注意します。全体の最大許容電流値は、接続するツェナーダイオードの許容電流の小さい方に該当します。そのため、許容損失の小さい方の範囲内で使用しましょう。

また、ツェナー電圧規定のツェナー電流がそれぞれのダイオードで異なる場合は、求めたいツェナー電圧と異なる電圧値になりますので注意が必要です。どちらか一方のツェナーダイオードが規定のツェナー電流値にならないことが理由として挙げられます。

並列接続
ツェナーダイオードの並列接続は、ツェナーダイオードの許容損失を増加させるため接続することができません。並列接続の際、どちらかのツェナー電圧が低い方にツェナー電流が集中し許容損失を超える場合があるので注意が必要です。

2. ツェナーダイオードの特性

温度特性
温度特性は、温度によって特性を変えるという意味を持ちます。ツェナーダイオードの場合、ツェナー電圧によってこの温度特性が変わります。その理由は、「トンネル効果」と「アバランシェ効果」にあります。

トンネル効果の温度計数は負で、アバランシェ効果の温度係数は正です。そのため、ツェナー電圧が低いものは周囲温度が上昇するとツェナー電圧が低下します。その一方で、ツェナー電圧が高いものは周囲温度が上昇するとツェナー電圧が増加するという特徴を持ちます。

ここでいうツェナー電圧が低いものは一般的に5Vより小さい電圧を指し、ツェナー電圧が高いものは一般的に5Vより大きい電圧を指します。5V程度のツェナーダイオードになると、トンネル効果とアバランシェ効果がともに作用し、ツェナー現象が起こります。この時、温度特性も同じぐらいになり、周囲の温度によってツェナー電圧が影響を受け難くなります。

ノイズ
ツェナーダイオードでは、ツェナー電圧が高いほどノイズが大きくなり、電流量が大きいほどノイズは小さくなります。ノイズを防ぐためには、ツェナー電圧が低い複数の素子を直列接続することが必要になります。また、ツェナーダイオードにコンデンサを並列接続する方法でノイズを取り除くこともできます。

3. 【用途別】ダイオードの選定方法

ツェナーダイオードの特性や使用方法を説明してきましたが、半導体ダイオードには他 にも様々なデバイスがあります。ここでは、他のダイオードとの違いや特徴などを補足説明します。

逆方向特性を用いるデバイスにTVS(Transient Voltage Suppressors)ダイオードがあります。これもツェナーダイオード同様に過電圧防止の機能を有する目的で使われますが、違いはTVSの場合はツェナーダイオードと異なり、通常オフ時でサージ電圧印加時のみON動作をします。

金属と半導体のショットキーバリアを活用するショットキーバリアダイオードはさらに低い電圧値で、スイッチング速度が速い整流作用の用途に使われる場合が多いです。pn半導体素子からなる高速スイッチング用途用のスイッチングダイオードも存在します。また、RF(高周波数)向けの端子間容量を下げたPINダイオードも使われています。

参考文献
https://www.rohm.co.jp/electronics-basics/diodes/di_what6
https://contents.zaikostore.com/semiconductor/4616/

ロードセル

ロードセルとは

ロードセル

ロードセル(英語:Load cell)とは、荷重変換器のことで、荷重又は力を検知して電気信号に変換し、出力するセンサーです。荷重や力に対応した出力は、荷重表示や記録に使用し、さらに制御に使うこともあります。

荷重・力の検知方法は、物体の変形歪を測定するひずみゲージ式のほか、ピエゾ圧電式、金属薄膜式、静電容量式、光ファイバー式、振動式、磁歪式などがあります。

ロードセルの出力は、荷重に対応した電圧や電流のアナログ信号かデジタル信号です。はかりなどの荷重表示・記録や、積載量などの測定、材料試験機での荷重測定などに使い、プラントなどの制御にも使用されます。

ロードセルの使用用途

ロードセルは、電子はかり、試験機、流量計、産業用はかり、各種測定器などで使用されます。例えば、家庭用の製品では、体重計・デジタル式のはかり・シャワートイレの便座などがあります。

産業用では、重量物用のはかりのほかにも、引張試験機、粘弾性測定装置、プレス機、糸やフィルムの巻き取り装置などに使用されることも多いです。また、ジェットエンジンの推進力試験、船のもやい綱の張力モニター、エンジンのトルク測定、車軸負荷のモニター、エレベーターではワイヤーの張力測定、ホッパー・サイロなどの重量測定に使われています。

これら以外にも一部の航空機の操縦桿にロードセルが使われています。パイロットが操縦桿に力を入れると、コンピュータが荷重の大きさを検知して飛行機をコントロールします。

産業界において、品質向上や生産性向上、コストダウンのために生産物の重さを測定し、そのデータを電子化してモニタ表示、良否判断、印刷、データの保管などを行うのに欠かせない装置です。

ロードセルの原理

ロードセルは、荷重を受けると変形する部材の形状により、ビーム型、コラム型、S字型及びダイアフラム型の主に4つの種類があります。

1. ビーム型

ビーム型は、片持ち梁の先端に荷重を受けて発生するビームの変形量を測定します。台はかりなどに使用されます。

2. コラム型

コラム型は、円柱形の部材に荷重を受けて、円柱表面の圧縮方向の変形ひずみを測定します。タンクやホッパーなど産業用に使われます。複数のロードセルを使うことが多いが、その場合は各セルに均等に荷重をかける必要があります。

3. S字型

S字型は、S字形状の部材の両端に荷重を受け、S字部材の変形量を測って荷重に換算します。引張試験機などで引張力の測定に多く使用されます。

4. ダイアフラム型

ダイアフラム型は、ダイアフラムの中心に荷重をかけ、ダイアフラムの変形量を測定します。荷重計一般に使われます。

使用するセル部材のサイズや材質を変えることで、測定する荷重のスケールを大きくしたり小さくすることができます。これにより、数グラムからトン単位の巨大な力まで、幅広い範囲で荷重の測定が可能です。微小荷重の測定では、mNオーダーの測定が可能な高精度のロードセルが開発され、人工筋肉の研究開発などに使用されています。

荷重を受けると変形する部材の変形量を検出する方法には、ひずみゲージ式、ピエゾ圧電式、金属薄膜式、静電容量式、及び光ファイバー式、振動式、磁歪式などがあります。

特にひずみゲージ式が使用されることが多く、起歪体と呼ばれる弾性体にひずみゲージを貼り付け、微小な変形により伸縮して断面積が変化することによりゲージの抵抗値が変化します。この変化は荷重に比例するため、抵抗値の変化から起歪体に加わった荷重を算出します。

ロードセルのその他情報

1. ロードセルの単位

ロードセルは測定値を「力」のSI単位「N」ニュートンで表示します。ロードセルの容量により「mN」「kN」などが使われる場合もあります。

「N」ニュートンは質量に重力加速度を掛けた値です。測定場所の重力加速度が分かっている場合は、ロードセルで質量(㎏)を測定できます。

2. ロードセルの精度

ロードセルの仕様書には「精度」という項目の記載をしないのが一般的です。ロードセル単体の精度は 仕様に記されている 直線性、ヒステリシス、再現性、温度影響などから総合的に判断します。

ロードセルへ既定の電圧を印加した場合に、荷重に比例した電圧を出力しますが、その電圧は大きくても20mVほどの微小なものです。この小さな電圧をさらに数万分の一にまで分割して計測するため、 使用する計測器は安定性が高く、高精度の必要があります。

ロ ードセルを使った計測装置の精度は、ロードセルや表示計のそれぞれの、個体の誤差、温度条件、取り付け状態、振動などによって発生する誤差を含めて総合的に判断する必要があります。それには検出部であるロードセルの精度と、表示器の精度をそれぞれ求め、それらの二乗の和の平方根で総合精度を計算します。

参考文献
https://www.unipulse.tokyo/techinfo/loadcetthowto/
https://www.unipulse.tokyo/techinfo/loadcetthowto/
https://www.aandd.co.jp/products/loadcell/introduction/

バリ取り機

バリ取り機とは

バリ取り機

バリ取り機とは、金属や樹脂などの材料を成型した際に生じるバリを取り除くための機械のことです。

成型品はステンレス、銅、アルミ、鉄、チタンなどの金属や、プラスチックなどの樹脂がありますが、材料によってバリ取りの方法が異なります。一般的なバリ取り機は、ブラシでこするタイプや小石に似たビーズを照射するタイプ、レーザーで除去するタイプなどです。

これらの方法はバリを取り除くだけでなく、表面を滑らかに仕上げることができます。コンベアベルトを持つバリ取り機は、成型品を運び、自動的にバリ取りを行うことが可能なため、作業が簡単で効率が良い構造です。

バリ取りは、見た目の美しさだけでなく、製品の品質や機能性にも影響を与えます。バリがあると、加工品の寿命が短くなったり、機能が低下したりする可能性があります。

バリ取り機の使用用途

バリ取り機は、切削加工、プレス、射出成型などの加工が施された金属やプラスチックなどの樹脂の成型品において、バリを取り除くために使用されます。バリとは、加工時に生じる不要な突起物で、見た目が悪く、触ったときにけがをする恐れがあり、製品の品質向上や安全性確保のために必要な処理です。

工場で生産される成型品には、ほとんどの製品にバリ取りが施されています。また、バリ取り機は小型の部品から、板金やパイプ、アングルなどの大型の金属に対しても必要とされます。さらに、バリ取り機は、酸化被膜除去やヘアライン加工など、他の加工処理と同時に行うことも可能です。

一般的に、自動車や航空機、家電製品などの産業製品において、バリ取り機が広く利用されています。産業製品には、大量の部品が必要であり、バリ取り機を使うことで、大量生産に対応できるだけでなく、高い品質を保ちつつ生産効率の向上が期待できます。

航空宇宙産業や医療機器産業では、航空機や医療機器は高い品質と精度が求められるため、バリ取り機を使って製品を仕上げると、高い品質と精度を実現することが可能です。

バリ取り機の原理

バリ取り機は、ブラシタイプとカッタータイプで原理が異なります。

1. ブラシタイプ

ブラシタイプのバリ取り機は、スチールワイヤーやステンレスワイヤー、真鍮線などでできたブラシが回転しながら成型品を研磨する仕組みです。成型品に付着したバリをブラシで削り取ることで、バリを除去できます。また、ブラシには天然素材の馬毛や豚毛、植物繊維などを使用する場合もあります。

成型品の形状や材質に応じて、研磨するブラシの形状、長さ、毛の材質などを変えることで、バリ取りを行います。ブラシの形状は、平面の研磨やエッジのバリ取りに適しているホイルブラシ、底やコーナーの磨きが得意なエンドブラシ、ねじ穴など細かい穴の洗浄とバリ取りに使用できるコンデンサブラシ、小型の部品や宝石などに向くミニチュアブラシなどさまざまです。

ブラシによるバリ取りは、基本的には寸法を変化させるために削り取るものではありませんが、バリだけでなく錆や汚れを取り、表面に磨きをかけることが可能です。また、バリ取りだけでなく、酸化被膜除去やヘアライン加工なども同時に行えます。

2. カッタータイプ

カッタータイプのバリ取り機は、回転するカッター刃によってバリを切り取る仕組みです。ブラシタイプと比べると、より高速に作業を行え、大型の成型品や金属の加工品にも対応できます。

カッタータイプのバリ取り機には、直線的に切り取るストレートカッター、角を丸くカットするラウンドカッター、角を斜めに切り取るチャンファーなど、さまざまな種類の刃があります。そのため、成型品の形状やバリの場所によって、適したカッターを選択することが大切です。

また、カッターの選択に加えて、カッターの回転速度や進行速度、切れ味なども調整が必要となります。

バリ取り機のその他情報

バリ取り機と併用される機械

バリ取り機と一緒に使われる機械として、コンプレッサー、サンドブラスト機、ウエットブラスト機の3種類の機械があります。

1.コンプレッサー
バリ取り機は、空気圧を利用して動作することが多いため、コンプレッサーと一緒に使用されます。コンプレッサーは、空気を圧縮してためる機械であり、バリ取り機を始めとする多くの機械が空気圧を利用して動作します。

2.サンドブラスト機
バリ取り機と同じように、表面処理を行うために使用される機械がサンドブラスト機です。サンドブラスト機は、高速で噴射される研磨材を使用して、金属表面を磨き、汚れや錆を除去します。

3.ウエットブラスト機
ウエットブラスト機は、水を噴射しながら研磨材を使用して成型品を表面処理する機械です。バリ取り機と同じように、成型品の表面を磨くことが可能です。

また、ウエットブラスト機は、サンドブラスト機と比べて粉塵が発生しないため、作業環境が改善されるという利点があります。

湿度計

湿度計とは

湿度計には、アナログ式とデジタル式があります。

アナログ式は乾湿式湿度計、毛髪性湿度計、露点式湿度計などがあり、古いものでは1500年頃から利用されています。基本的には電力を使用しません。誤差が出やすいのでメンテナンスや測定条件を整えることが必要です。

デジタル式の電子式湿度計は半導体を用いたセンサーで、温度センサーとセットで温湿度計になっている場合が多いです。小型で、データの記録が容易なので産業用に利用されています。

湿度計の使用用途

湿度計は公共の気象観測等で昔から利用されてきました。また、毛髪式湿度計は電力を必要としないので、美術館や博物館で利用されています。工業用の湿度計としては、農業のビニールハウス栽培やキノコ類の栽培等、その他医療や薬品工場など湿度が影響を受けやすい場所で利用されています。

熱中症予防に温湿度計が利用されることも増えており、大型の体育館や教室、老人ホームといった人が活動する室内で配備されている場所もあります。エアコンに搭載されていて自動制御に用いられています。

湿度計の原理

湿度計はアナログ式かデジタル式かで原理が大きく分かれます。また、絶対湿度を測定するタイプと相対湿度を測定するタイプがあります。絶対湿度には、1㎥の乾いた空気に対する水蒸気の重量を示す容積絶対湿度と、1kgの乾いた空気に対する水蒸気の重量を示す重量絶対湿度があります。

それに対して相対湿度とは、その温度における飽和水蒸気量に対してどれほどの水分を含んでいるかを%で表しています。

アナログ式の湿度計としてよく利用されるものに毛髪式湿度計があります。ナイロンの糸や人の毛髪が湿気により伸縮性が変化する性質を利用して針を動かします。電力を使用せずに測定することができます。相対湿度を測定していますが、器具による差や誤差が大きいです。

デジタル式の湿度計は、半導体センサーを用いて湿度を測定しています。多孔質のセラミックや吸湿性の高分子を吸湿体として半導体内部に組み込み、吸湿体の水分量が増えると半導体の抵抗や容量が変化するため、その変化を観測し湿度を測定しています。静電容量を測定する方式と電気抵抗を測定する方式があります。

参考文献

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B9%BF%E5%BA%A6%E8%A8%88

https://hakari-shouten.com/html/wp/column/2145/#i-6

https://www.chino.co.jp/support/technique/humidity_index/

湿度計

湿度計とは

湿度計

湿度計とは、空気中の湿度を計測して表示する機器のことです。

湿度を表す指標にはいくつかありますが、私たちが日常使っているものは相対湿度 (%RH) です。相対湿度とは、測定する空気中に含まれる水蒸気の量と、その温度の空気が含むことができる最大の水蒸気量との比率を指します。

相対湿度以外には、混合比 (kg/kg) 、絶対湿度 (g/m^3) 、水蒸気圧 (Pa) 、露点温度 (℃) 、モル分率 (mol/mol) などがあります。 湿度計は、アナログ式とデジタル式に大別されます。アナログ式は、乾湿式湿度計、毛髪湿度計、バイメタル式湿度計などがあり、古いものでは1500年頃から利用されています。基本的には電力を使用しません。誤差が出やすいので、メンテナンスや測定条件を整える必要があります。

デジタル式の電子式湿度計は、半導体を用いたセンサーで、温度センサーとセットで温湿度計になっている場合が多いです。小型でデータの記録が容易なので、産業用に利用されています。

湿度計の使用用途

湿度計は公共の気象観測等で、昔から利用されてきました。毛髪湿度計は電力を必要としないので、美術館や博物館で利用されています。

工業用の湿度計としては、農業のビニールハウス栽培やキノコ類の栽培、その他医療や薬品工場など、湿度が影響を受けやすい場所で利用されています。

最近は熱中症予防に、温湿度計が利用されることも多いです。大型の体育館、教室や老人ホームといった、人が活動する室内で配備されている場所もあります。エアコンや加湿器にも搭載されていて、機器の自動制御を担っています。

湿度計の原理

湿度の測定には、様々な原理が用いられています。まずアナログ式かデジタル式かで原理が大きく分かれます。

1. アナログ式湿度計

アナログ式は、日用品として使われる湿度計に多く用いられています。

乾湿球形湿度計
乾湿球形湿度計は2本のガラス製の温度計が並んでおり、一方に水分を含んだガーゼが巻かれています。温度計の下に水を蓄える容器があり、ガーゼはこの容器の水分を吸収し、巻かれた温度計の部分で水分を蒸発させます。

水分が蒸発すると気化熱が奪われるので、ガーゼが巻かれた温度計の表示温度 (湿球温度) は低くなります。この温度差から湿度を算出します。製品によっては2本の温度計の間に、湿球温度換算表がついて、ガーゼがついていない温度計 (乾球温度) と、湿球温度との差から湿度を読み取ることが可能です。

2つの温度計が同じ数字であれば、濡れた布も乾かず気化熱が発生しない状態、つまり湿度100%ということになります。

毛髪湿度計
毛髪湿度計は、ナイロンの糸や人の毛髪が湿気により伸縮性が変化する性質を利用して針を動かします。針はてこの原理で大きくし、その動きをロール紙に記録していきます。

電力を使用せずに測定することから火災の心配もないため、美術館などで使用されています。

バイメタル式湿度計
バイメタル式湿度計は、ベースになる金属製のぜんまいばねに、湿気を吸収しやすい収縮率の異なる乾湿剤を貼り合わせ、湿度によってぜんまいの形状が変化することを利用したものです。壁掛けの指針タイプの湿度計で使われています。

2. デジタル式湿度計

デジタル式湿度計は、工業用として広く使われています。

電気抵抗式
電気抵抗式は、相対湿度によって電気抵抗が変化する湿度素子を使っています。20%rh以下の低湿度は誤差が大きく測定不能、素子は高温により劣化する点に注意が必要です。

静電容量式
静電容量式は、コンデンサに蓄えられる電気容量の変化を利用しています。コンデンサの中にある高分子膜が吸着、または放出する水分量は空気中の相対湿度と比例します。電気抵抗式とは異なり、相対湿度0%から測定できます。

露点湿度計 (光学式)
測定する空気を冷やした鏡に当てて、鏡のくもりを光の反射から検出します。鏡が曇り始める温度が露点温度です。さらに、別途空気の温度とあわせて、相対湿度を算出することもできます。現在、湿度を最も正確に測定できる方法です。

湿度計のその他情報

湿度測定の注意点

湿度計の種類によって、誤差範囲が異なる点に注意が必要です。測定は正確さも重要ですが、簡単に測れるかどうかも欠かせないポイントになります。日常生活ならば正確性よりも、容易さが重視されますし、工業用であれば目的を満たせる誤差範囲の測定方法を選択する必要があります。

そのため、湿度計を選定する際には、測定可能範囲や誤差範囲を十分に確認しましょう。

参考文献
https://hakari-shouten.com/html/wp/column/2145/#i-6
https://www.chino.co.jp/support/technique/humidity_index/

飛沫防止パネル

飛沫防止パネルとは

飛沫防止パネル

新型コロナウィルスの流行に伴い、コロナウィルス感染症対策として飛沫防止パネルの利用が進んでいます。
コロナウィルスの感染が唾液の飛沫によるものだという認識から、主に人間の咳や会話の際に飛ぶ唾液の飛沫を飛沫防止パネルを立てることで遮断しています。したがって、飛沫防止パネルは、人と人が対面で接する窓口やレジ等で利用され、人が集まるオフィスのパーテーションとしても使用されています。

物理的に飛沫を遮断することができるので、マスクのみの感染症対策よりも高い飛沫抑制効果と安心感が得られます。現在販売されている飛沫防止パネルは透明の製品が多く、パーテーションとして区切ってもお互いの顔や様子がわかり、スムーズに会話をすることができるのも利点です。

飛沫パネルの利用が望ましい場所

飛沫防止パネルは感染症対策のために導入されており、多くの人と対面する機会の多い事務所、各種販売店、銀行や役所の窓口等での利用が多く見られ、主に机の上に設置して使用されています。

また、飛沫防止パネルは、マスクを外す機会が多く、飲食に伴う飛沫の拡散が懸念される飲食店での利用が推奨されています。特にカウンタなど密接しやすい箇所での使用は効果的です。

飛沫パネルとしては全面パネルとなっているもののほか、切符やお金等の受け渡しのため、窓が一部空いているものもあります。

飛沫防止パネルの形状

飛沫防止パネル

飛沫防止パネルには、折り畳み式や組み立て式があります。
折り畳み式は、図1のように、プラスチック素材などの板に折り目を入れた製品であり、折り目を開くことで自立させる製品です。

また上記のように折り目があることから、立たせていた部材を折り畳み、コンパクトにして運べるのが利点です。

組み立て式は下記に示すように、中央にパネルを差し込む溝部を有するスタンドとパネルをセットにしたものなどがあり、このスタンドによりパネルを自立させる形状のものが多く、スタンドとしては、プラスチック製のものやステンレス製のものが挙げられます。この組み立て式は、組み立てが簡単な上に、軽量であり、移動も簡単です。

飛沫防止パネル

飛沫防止パネルの使用上の注意

利用後のパネルには飛沫がついていますので、利用した後にはウェットティッシュで拭くなど、こまめに消毒を実施することが望ましく、飛沫が付着したウェットティッシュなどは廃棄してください。

なお、プラスチック製の飛沫防止パネルの材質には、アクリルやPET樹脂、硬質塩化ビニルなどが利用されています。PET樹脂、硬質塩化ビニルは消毒に使用されるアルコールや次亜塩素酸ナトリウムに耐性がありますが、アクリルは濃度の高いアルコールで拭くと、微小なクラックが発生する可能性がありますので注意してください。

また、可燃性のプラスチックが使用されている場合があるので、注意書きを読み、コンロの周辺やたばこの喫煙など火気がある場所では使用しないようにしてください。

飛沫防止パネルの効果

人間の咳や会話の際の唾液は、マスクや飛沫防止パネルが何もない場合、平均で1 ~2 m程飛ぶとされているほど広い範囲に飛沫します。

飛沫防止パネルを置くことでどの程度の飛沫を防ぐことができるのかを検証したところ、床から120 センチ(椅子に座った人の口ほどの高さ)のパネルがある状態でせきをした場合、一部の細かいしぶきが仕切り板を超えて、正面や斜め前、横にいる方へ広がっていることが確認できました。また140 センチほど(座った人の頭がほぼ隠れるほどの高さ)のパネルでは、周りの方へはほぼかかっていない状態でした。

すなわち、飛沫防止のためには最低でも頭の位置ぐらいの高さのパネルを置く必要があります。

飛沫防止パネルの素材別の特徴

先程、飛沫防止パネルの形状としては、折り畳み式と組み立て式があることを述べました。飛沫防止パネルのパネル部分の素材によっても、その特徴は大きく異なります。

代表的な飛沫防止パネルの素材とそれぞれの特徴は以下のようなものがあげられます。

建材ボードや、魚箱などに使用されている発砲ポリスチレン素材は、非常に安価で、軽くかつ丈夫で、アルコール消毒も可能なためとても衛生的で、飛沫防止パネルに向いている素材です。しかし、基本的に白や黒などの色がついており、透明ではありません。視界が遮られてしまうので、対面での対話が必要な場所での使用には向いていません。

段ボール素材も発砲スチレン素材と同じく安価で軽量です。他の素材よりは廃棄し易いという特徴があります。一方で、発砲スチレンと同様、視界が遮られてしまうため、対面での対話が必要な場所での使用には向いていません。

元々、アクリルガラスやアクリルケースなどとして用いられているアクリル素材は、厚みや重要感があり、一番強固な素材です。透過性も高く高級感もあるため対面での接客シーンに適しています。

PETなどのプラスチック素材は、比較的透過性もあり軽量で、アクリル素材よりは割れにくく、扱いが容易であるという特徴があります。

その一方で、飛沫防止パネルと同じ用途でビニールカーテンなどを用いられる場合もあります。設置が簡易なことから、利用する場所やシーンなどによって使い分けができます。

まとめ「飛沫防止パネルを選ぶ基準と今後の展望」

これまで飛沫防止パネルについて述べてきましたが、飛沫防止パネルを選ぶ基準としては以下の5点が挙げられます。

  1. 使用する場所やシーン
  2. 飛沫防止パネルの形状
  3. 使用上の注意
  4. パネルのサイズ
  5. 飛沫防止パネルの素材

飛沫防止パネルは、感染症拡大防止グッズとして今後も需要が高まる傾向にあると思われます。現状でも、プラスチックやアクリル素材のパネルの販売額が2 倍以上となっている企業や、5 割ほど増産している企業もあり、原料メーカーにもその需要の影響があります。とある展示会でのアンケートでは6 割ほどの会社が飛沫防止パネルを導入している結果が出ているなど、多くの企業で飛沫防止パネルの必要性を感じていることがうかがえ、今後のさらなる需要の高まりを示しています。したがって、飛沫防止パネルに関わる原材料メーカー、製造メーカー、販売物流企業などにその影響があると予想されます。購入する側にとっても製造販売する側にとってもビジネスチャンスとなり得る商品です。

参考文献
https://www.tenpokagushop.com/wism/special/acrylic.html
https://www.office-com.jp/products/list7004.html
https://www.asahi.com/articles/ASN636TPJN63PLBJ003.html
https://www.fjtex.co.jp/hansoku/blog/partition-comparison/#i-5
https://www.hansoku-express.com/display//c-4_922/c-925/p-4293?cPath=922_925
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000045.000032175.html