PVCシート

PVCシートとは

PVCシート

PVCシートはポリ塩化ビニル(PVC)に可塑剤を加えた軟質PVCをシート状に加工した製品です。耐久性や軽さ、安さなど様々な利点があることから様々な用途で用いられます。

PVCシートは基本的に透明で、農業用のビニールハウスのシートなどに使われます。一方で色をつけたりプリント加工することも可能で、このようなPVCシートは装飾に用いられます。PVCシートは空気中の酸素による酸化反応には耐性がありますが、低温下では硬化するため割れやすくなる点には注意が必要です。

PVCシートの特徴

PVCとはポリ塩化ビニル、通称「塩ビ」と呼ばれる合成樹脂の一つです。軽い、安価、高耐久などの様々な利点から幅広く利用されています。PVCは可塑剤を添加することで柔らかさを制御することが可能で、可塑剤を含んだ柔らかい樹脂を「軟質PVC」、可塑剤が含まれない硬い樹脂を「硬質PVC」と呼びます。

PVCシートは軟質PVCをシート状に加工したものです。着色やプリント加工が容易であることから住宅の装飾に用いられたり、透明で耐候性に優れることから農業用ビニールハウスのシートに使われます。その他、導電性カーボンを印刷した導電性のPVCシートも使われています。

PVCシートの製法

PVCは塩化ビニルと呼ばれるモノマーを重合することで作られます。モノマーに塩素原子が入っているため、構成原子が炭素と水素のみのポリプロピレンポリエチレンに比べて難燃であるなど、他の樹脂と異なる性質を示します。重合によって得られたPVCに可塑剤を添加して軟化させた後、薄く加工してPVCシートは作られます。

PVCシートの製法

最近では一度加工されたPVCを再利用するマテリアルリサイクルも進んでいます。例えば農業用のPVCシートは洗浄、破砕処理後に再生樹脂に変換され、床材として使用されています。

なお、リサイクルの方法としては化学的な手法でPVCを再利用するケミカルリサイクル、PVCを燃焼させたときの熱エネルギーを有効活用するサーマルリサイクルと呼ばれる方法もあります。

PVCシートの耐久性

PVCはポリプロピレンやポリエチレンなどの樹脂に比べて耐久性に優れます。大気中の酸素による酸化反応がほとんど起こらず、理想的には半永久的に使用することができます。

一方でPVCシートは低温下で急激に硬化して曲げることができなくなる他、硬化したことで割れやすくなることもあります。また、可塑剤が徐々に樹脂の表面に現れてきて、柔らかさが失われる可能性もあります。その他、有機溶媒の種類によってはシートを溶解させるものもあります。PVCシートが薬品と接触する可能性がある場合、薬品への耐性を予め確認することを推奨します。

参考文献
https://www.tatsutachemical.co.jp/jp/?cat=products&p=softPVC
https://maruyoshi-fc.co.jp/beginner/kind-of-vinyl-film
https://www.shihkuen.com/ja/page/About_PVC.html
https://www.yumoto.jp/material-onepoint/plastic-pvc
https://www.achilles.jp/product/manufacturing-facility/film/general-purpose-pvc/
https://www.tatsuno-chem.co.jp/products/index.html
https://www.shihkuen.com/ja/applications/Construction_Industrial-Applications.html
https://www.sunplastic.jp/?cn=100023
https://www.tanimura.biz/catalog/pdf/conductive_pvcsheet(all).pdf
https://www.mc-agri.co.jp/agri_div/vinyl/out_vinyl/
https://www.vec.gr.jp/lib/pdf/factbook.pdf
https://www.vec.gr.jp/recycle/recycle2_2.html

PTFEチューブ

PTFEチューブとは

PTFEチューブ

PTFEチューブとは、ポリテトラフルオロエチレン (英: Polytetrafluoroethylene) という素材で作られたチューブです。

PTFE自体はテフロン (英: Teflon、デュポン社の商標名) とも呼ばれており、フライパン表面のコーティング剤として有名です。PTFEチューブには耐薬品性があり、ガスや液体を移送する用途で使用されます。チューブ自体に含まれる添加物が少なく、清潔な環境が求められる工場ラインや食品ラインで使用されます。

PTFEチューブの使用用途

PTFEチューブには耐薬品性があり、ガラスやプラスチックなどでは腐食してしまうような薬液や燃料の移送に使用されます。様々な化学薬品を使用する分析装置では多く使用され、チューブ自体に含まれる添加物の量が少ないため送液する際の不純物の溶出を抑えることが可能です。

非粘着性にも優れており、汚れやスケールの付着を低減することもできます。これらの性質を利用して食品工場や半導体製造装置の送液チューブとして多用されます。

PTFEチューブの原理

PTFEは炭素とフッ素が結合してできた高分子化合物です。正式名称はポリテトラフルオロエチレン (英: Polytetrafluoroethylene) で、テフロン (英: Teflon、デュポン社の商標名) として有名です。モノマーであるTFE (テトラフルオロエチレン) を重合することで合成が可能となります。

PTFEには、炭素とフッ素が結合したC-F結合が数多く含まれます。C-F結合は非常に強く安定した結合であるため、PTFEも熱や腐食などに強く安定的な性質になります。

PTFEチューブは耐熱性、耐薬品性、耐摩耗性、非粘着性、絶縁性、耐候性などに優れています。フッ化水素酸にも溶けないため、フッ化水素酸の輸送などに使用されます。また、自動車のエンジン周りなどの高温箇所でも使用可能です。一方で、高温になりすぎると分解してしまうので、耐熱温度を考慮して使用する必要があります。

PTFEチューブのその他情報

1. PTFEチューブの耐熱温度

PTFEチューブの耐熱温度は商品により異なりますが、範囲としては約-40~260℃です。破壊圧力値は温度によって異なり、温度が高いほど破壊圧力値が低下します。

2. PTFEチューブの曲げ半径

PTFEチューブの最小曲げ範囲はチューブの内径・外径の値と関係しています。一例として、内径1mm・外径2mmのPTFEチューブの最小曲げ半径は約5mmで内径23mm・外径25mmのPTFEチューブの最小曲げ半径は425mmです。

曲げる際は推奨使用値より大きい曲げ半径が推奨されます。推奨使用値よりも小さい値で使用するとチューブが折れる可能性があります。

最小曲げ半径の測定方法は以下の通りです。

  1. 温度20℃の条件下でチューブをU字の形の曲げます
  2. 片方の端を固定し、もう一方の端を徐々に近づけます
  3. 曲がった部分の外見変化率が5%となったときの2Rを測定します

3. PTFEチューブの継手の種類

フレア式
チューブの先端にシール部品を入れ込む種類です。事前にフランジ上に成形された部品をチューブ先端に入れ込みます。

フランジ式
チューブ先端をフランジ状に加工している種類です。工具を用いてチューブをフランジ状に広げ、バルブポートの底に押し付けてシールします。

管用テーパねじ用の継手
ストレートタイプ・エルボータイプのものがあります。PTFEチューブの内径を広げ、シールジョイントを接続して組み立てます。取り付けにはシナプス組み立て工具を用います。

4. シナプス組立工具の使用方法

シナプス組み立て工具は、下記のような手順で使用します。

  1. PTFEチューブの先端を6~12mm程度を透明になるまで加熱します。
  2. 適切なサイズの組み立て工具を入れ込んで、内径を広げます。
  3. 水などでPTFEチューブを冷やして、工具を抜きます。
  4. 先端1mmを刃物で直角に切り落とします。

加熱温度は280℃~380℃が適切で、430℃を超えるとPTFEチューブから毒性物質を含む気体が発生するため危険性です。換気をしながら加熱をすることが推奨されます。

参考文献
https://www.packing.co.jp/PTFE/ptfe_tokusei1.htm
http://www.kyoritsuka.co.jp/fluorine_resin/index.html
https://www.meikou.jp/fluororesin-2.html
https://www.chukoh.co.jp/products/tube/ptfe/
http://www.smcworld.com/upfiles/item/207/pdf1-TD-TID.pdf
https://takasago-elec.co.jp/products/products_fittings/ptfe_tube/

PETフィルム

PETフィルムとはPETフィルム

図1. フィルムの種類と特徴

PETフィルムとは、耐熱性や強度に優れた高分子フィルムです。

工業分野から包装用などの生活分野まで、幅広く活躍しています。正式名称は、ポリエチレンテレフタレートです。ペットボトルの材料でもあります。

高分子フィルムはPETフィルム以外に、PP (ポリプロピレン) フィルムやPVC (ポリ塩化ビニル) フィルムなどがあります。これら2つのフィルムと比較すると、柔軟性は劣りますが、平滑性や耐熱性、耐熱膨張性、耐溶剤性、対候性などで優れています。

PETフィルムの使用用途

PETフィルムの使用用途は、工業用や包装用、液晶テレビ向けの機能フィルムなど多岐にわたります。PETフィルムは高性能な高分子である一方、安価なため汎用性が非常に高いです。

例えば、耐熱性を活かしたレトルト食品用の包装材や高い平滑性を活かしたラミネート基材など様々な特性を利用しています。また、光学特性に優れていることからディスプレイの保護フィルムなど活躍の場を広げています。

製造方法や添加剤、特殊な加工を施すことにより、フィルムの光学特性が変化するため、様々なグレードの製品が存在します。

PETフィルムの特徴

図2PETの重合

図2. PETの重合

PETフィルムの性質は、PETの構造によるものです。PETとは、エチレングリコールテレフタル酸を重縮合反応することによって得られる熱可塑性ポリエステルです。

分子が直鎖状のため、分子の再配向が可能となり、強度の向上に寄与します。フィルムの製造方法はいくつかありますが、PETフィルムの場合は、Tダイ法やインフレーション法、延伸法などが採用されています。

図3フィルムの製造方法

図3. フィルムの製造方法

1. Tダイ法

押し出し機の先端に設置されたTダイと言われる直線状の金型から、材料を押し出してフィルム状にします。押し出されたPET樹脂は、冷却ローラーにより冷却され、フィルムが完成します。

2. インフレーション法

リング状の金型から樹脂をフィルム状に押し出した後、冷たい空気を吹きかけ成形します。インフレーション法はフィルム用途よりも袋状に加工したい場合に用いられます。

3. 延伸法

フィルムを一軸方向または二軸方向に引っ張り、分子を一定方向にそろえる製造方法です。分子がきれいに再配列し、強度が向上するため、PETフィルムの製造に最適です。

PETフィルムのその他情報

PETフィルムの加工方法

PETフィルムに加工を施すことで、通常にはない機能を付与したり、特性を大きく向上させたりすることが可能です。加工方法としては、下記の方法が挙げられます。

ウェットコーティング法 液体を塗布した後乾燥させる。
ドライコーティング法 蒸着やスパッタリングを用いて膜を形成する。
サンドブラスト法 サンドブラストを用いて物理的に凹凸を形成する。
ラミネート法 ほかのフィルムに熱や力を加えて接着させる。

 

なお、付加する機能は以下の通りです。

離型性 フィルムが剝がれる性質
粘着性 フィルムが粘着する性質
帯電防止 (AS性 Anti static性)  はがしたりした際にフィルムが静電気を帯びない能力
防眩性 (アンチグレア性) 表面の反射を減らし、光が映り込まなくする性質
光拡散性 光を拡散させたり集光させたりする性質
反射防止性 光が反射するのを防止する性質
アンチニュートン性  2層以上のフィルムにおいて光が干渉しづらくする性質
遮光性 フィルムが光を遮る性質
光・熱線選択透過性 波長によってフィルムが光 (色や光沢などが変化) や熱線 (例えば光は通して輻射熱は通さないなど) を選択的に透過させたり反射させたりする性質

 

ただし、加工を施すことによってコストが増大するため、使用目的にあわせて品質・物性の管理をすることが重要です。

参考文献
http://kagakucafe.org/ouchi080301.pdf
https://www.futamura.co.jp/products/film/pet.php

PEEKチューブ

PEEKチューブとは

PEEKチューブとは、化学分析や医療で使われるチューブの1種です。

PEEKとは、高機能であることを示すスーパーエンジニアリング・プラスチックの名称であり、機械的強度、耐圧性、耐熱性、耐加水分解性、絶縁性に優れた材料です。PEEKの特性を極細チューブとして製品化されたものが、化学分析や医療分野で多く利用されています。

PEEKチューブの使用用途

PEEKチューブは、まず医療用チューブとして、カテーテルや薬液の配管として使用されています。科学分析の分野では、高速液体クロマトグラフ (HPLC) の配管チューブとして利用されています。HPLCとは「High Performance Liquid Chromatography」の略であり、液体中に溶解している化合物の成分を分離することによって、定性・定量分析を行うための分析方法です。

化合物を分離する過程において、PEEKチューブの耐圧性能や科学的特性が活かされています。その他、半導体保護用ラックワイヤー保護チューブ、光ファイバ保護チューブ、冷却媒体配管チューブ、理化学用金属管、ガラス管の代替チューブなども用途として挙げられます。

PEEKチューブの原理

PEEKチューブは、PEEK材料の特性をそのまま活かしています。PEEKの正式名称は、Poly Ether Ether Ketone (ポリ・エーテル・エーテル・ケトン) です。エーテル結合-エーテル結合-ケトン結合を基本単位とした分子団の重合により合成される、直鎖状ポリマー構造を持つスーパー・エンジニアリング・プラスチックです。

機械的特性が高く、高温条件下においても高い引張強度や耐衝撃性、耐クリープ性を有します。連続使用可能温度が260℃で、耐圧性、耐摩耗性、耐加水分解性、耐薬品性、および力学特性、電気特性に優れているのが特徴です。

食品安全性も認められているため、PEEKは食品や飲料の加工装置でも広く用いられています。PEEKは優れた特性がある一方で、コストが高く、また高強度であることから切断加工や切削加工性には劣るのがデメリットです。

PEEKチューブの特徴

PEEKチューブは、PEEK材料の特徴がそのまま活かされています。まず高い機械的強度があるため、チューブに高い内圧が生じる環境にも対応可能です。耐疲労強度が高いことも、高圧環境での使用に適しています。

さらに、高温条件、耐薬品性にも優れており、かつ高温時でも耐酸、耐アルカリ性を維持することが可能です。耐スチーム性、難燃性ではアメリカのUL規格に適合している製品もあります。また食品衛生にも優れており、食品の添加物等の良品要件を定めた、食品安全衛生法第370号に適合した製品もあります。

PEEKチューブの種類

PEEKチューブは用途にあわせて、内径、長さ、色わけされた製品が用意されています。内径は0.025mmから1mm程度まで、非常に多くのサイズが販売されており、使用する機器にあわせて選択可能です。色付きのものは複数のチューブを用いる際に、経路の識別や類似した内径の製品の識別として使うことができます。長さは1mから10mほどの長さで販売されています。

PEEKチューブのその他情報

1. PEEKチューブの製造方法

PEEKチューブは一般的に押し出し製法で製造されます。押出製法により、内径25μmという極細のものから数cmという太さまで様々なサイズのものが入手可能です。長い製品はコイル状に巻かれて販売されていますが、直管や曲げ形状で成形できる製品もあります。

2. PEEKチューブの今後

さまざまな特性を持つPEEKチューブですが、新たな開発も行われています。最近ではシリコンゴムや他の柔らかい合成樹脂によって被覆されたチューブも開発・製造されており、高い干渉性が必要な場合やチューブ内を流れる液体の温度を正確に管理したい場合など特殊な条件下での利用も可能です。

参考文献
https://arc.asahi-kasei.co.jp/report/arc_report/pdf/rs-1001.pdfhttps://www.hagitec.co.jp/hagi05/peek01.htm

OPPテープ

OPPテープとは

OPPテープとは、フィルムに粘着剤を塗布して作られた透明の粘着テープです。

Oriented Polypropyleneテープの略称であり、クラフトテープや布テープと共に、段ボールを使った梱包の際には欠かせない、いわゆるガムテープの一種です。透明であることが一般的で、非常に薄く柔軟性があり、高い耐久性を持つため多くの人々から支持されています。OPPテープを貼り付ける部分に書かれている文字を隠したくないといった場合にも用いることができます。

またOPPテープは安価であることが特徴です。フィルム素材ということから防水性・防湿性にも優れていて、ポスターなどの屋外掲示物や伝票の上から貼り付けて水濡れ防止に用いることもできます。

OPPテープの使用用途

OPPテープは、包装用材料として使用されるのが一般的です。OPPテープは、食品や飲料、文房具、衣類、電化製品、自動車部品などの様々な商品をダンボールなどの容器に包装するために使用されています。

また、OPPテープは、修繕用途としても使用されています。例えば、書籍や紙製品の修繕、破れた布地の修繕、家具の修繕などに使用されます。さらに、OPPテープは、アート用具としても使用されています。紙、布、プラスチックなどの表面に貼ることができ、手軽にデザインや装飾をすることができます。

基本的に手で切ることができないので、切る際はハンドカッターやハサミなど何らかの道具が必要になります。クラフトテープや布テープに比べて作業性が劣ります。

逆にOPPテープをはがすという時は、途中で切れにくく剥がしやすいので、途中で切れやすいクラフトテープと比べて作業性が良好です。

OPPテープの原理

OPPテープの原理は、粘着剤が貼り付く面に密着し、基材を引きつけることで粘着することです。基材がポリプロピレン樹脂であるため、耐久性が高く、まっすぐではない箇所にも柔軟に粘着します。

粘着剤は、一般的にアクリル系、ゴム系、ホットメルト系などがあります。接着力の強さや剥がしやすさ、耐水性、耐久性なども異なりますので、使用用途に合わせて選択することが重要です。

アクリル系粘着剤は耐候性に強いのがメリットですが、プラスチックには貼りつき難いといったデメリットが見られます。ゴム系粘着剤は低温でも粘着力を発揮できることと、おおよそどんな素材にも貼り付け易いのがメリットですが、高温だと粘着剤が柔らかくなるために剥がれ易くなるといったデメリットもあり、一長一短の特性があります。

OPPテープのその他情報

OPPテープの製造方法

OPPテープの製造方法について以下に説明します。

1. OPPフィルム成形
OPPフィルムを延伸押出成形により製造します。OPPフィルムは、ポリプロピレンを原料とし、フィルム状に成形されたものです。OPPフィルムは、高温下で成形されるため、非常に高い強度と柔軟性を持ちます。

フィルム成形の際に、成形方向と垂直方向の2方向に延伸をして分子をそろえて配向させることにより強度を高めています。このためOPPフィルムは既に延伸させているので、そこからさらには伸びにくく、ある方向に引っ張った場合に裂けやすいという欠点があります。

2. 粘着剤塗布
OPPフィルムに粘着剤を塗布します。粘着剤は、アクリル系、ラバー系、ホットメルト系など、種類があります。アクリル系の接着剤は、耐候性や透明度が高いため、透明なテープに使用されることが多く、ラバー系の接着剤は、弾力性が高く、湿度が高い環境でも使用できるため、包装用テープなどに使用されます。

OPPテープの粘着剤が付いていない面には、テープの巻き戻し力を低減させて作業性を向上させるために背面処理剤が塗布されていますが、それと引き換えに油性インクのペンで文字が書けないという欠点があります。

3. 巻取り、カット
粘着剤が塗布されたOPPフィルムを巻き取り、必要な幅に切断して製品となります。製品は、自動巻取機で巻き取られ、必要な長さにカットされます。製品には、テープ幅や色、印刷内容によってさまざまな種類があります。

参考文献
https://tape-omakase-navi.com/column/post-262/
http://www.endo-shokai.com/packing-tape/opptape/

OAフロア

OAフロアとは

OAフロア

OAフロア(英語:Raised floor)とは、床下に一定の高さの空間を設け、床を二重化したフロアのことです。乱雑になりがちなネットワーク配線などを床下空間に通すことを目的としています。フリーアクセスフロアや二重床とも呼ばれています。

OAとはオフィスオートメーションという意味を持ち、オフィスのほか商業施設、工場、学校などで使われるコンピュータをはじめ、各種OA機器を使用することを言います。

OAフロアは机やキャビネットなどの配置に影響がないため、後からでも配線変更が容易になります。また、人の通行や椅子の移動による配線類の損傷や危険性を未然に防ぐことができます。さらに、美観の向上や清掃がしやすくなるなど、OAフロアのメリットは多いです。

OAフロアの使用用途

OAフロアは、事務所などのオフィスをはじめ、工場・商業施設・学校などにおける、多数のパソコンやサーバー、プリンター、ネットワーク機器、電話、映像機器などの電子機器が使用される場所に設置されます。

かつては、大企業などの大きな組織における大型コンピュータを設置するコンピュータルームでOAフロアは用いられていました。しかし昨今では、パソコン・それに付随するその他OA機器の増加、LANやイーサネットといったネットワーク環境の普及により、オフィスの規模に関わらず一般的に用いられています。

設置にあたっては必要とする配線の本数や荷重についての事前見積もりが重要です。 また設置後は床を開かないと配線の経路を目で追えないため、配線末端に整理番号や行き先を付けたタグ等を取り付け、図面や管理簿に記録しておく必要があります。

OAフロアの原理

OAフロアは、構造により「置き敷き型」と「支柱分離型」の2種類に大別できます。また、配線方式は「パネル下配線方式」と「溝配線方式」の2種類に大別できます。

1. 置き敷き型

置き敷き型は、支柱とパネルが一体となったブロックを敷き詰めるタイプです。樹脂製が主流で現場での加工も比較的容易に行えて、部材そのものも安価なのでコスト面で有利です。このタイプは床の高さが固定となるため、後で変更することはできません。

高さ調整の自由度が制限されることから、建物の床スラブに高低差があり平面になっていない場所への設置は本来不向きですが、スペーサを用いて高さを調整できる製品も存在します。素材由来である耐荷重の問題から、重量物の設置に不向きであると言えます。

2. 支柱分離型

支柱分離型は、床の上に支柱を立てその上に板状のパネルを乗せるタイプです。高さを自在に調整でき耐荷重に優れています。床を構成するパネルと、高さを決める脚にあたる支柱が、それぞれ独立した部材になっており、また支柱の高さが調整できるので床の高さ調整が自在にできます。

したがって、建物の床に段差や高低差がある場所への対応に適しています。そしてパネルに用いる素材は金属製品が主流なので、重量物の設置に向いています。また、パネルの中にモルタルが充填されている製品もあり、これにより遮熱性や遮音性を高めることができます。

3. パネル下配線方式

パネル下配線方式は、支柱や脚の間の空洞部分に収納する方法で、配線収納容量が大きく、配線の自由度が高いというメリットがあります。支柱分離型の場合は、支柱高さを高くすれば、さらに収納容量を増やせます。デメリットは混触が発生する可能性があることです。

4. 溝配線方式

溝配線方式は、パネルの溝に沿って配線をし、上からカバーをかぶせて配線を保護する方法です。配線の変更や増設がしやすいメリットがあります。配線収納容量は小さいが、溝に沿って整然と配線するため混触を防止することができます。配線数が少ない場合や、レイアウト変更・増床の予定がある場合には、溝配線方式が適しています。

OAフロアのその他情報

OAフロアのメリット・デメリット

メリット

  1. 見た目がすっきりし、仕事の効率が上がります。
  2. 配線の取り出し口を変更できるので机やパソコンのレイアウト変更も自由にできます。
  3. 足が配線に引っかかって転倒したり、配線の断線などでデータエラーになるトラブルが減少します。
  4. 床の掃除が容易になります。

デメリット

  1. 置き敷き型のOAフロアは、耐荷重に制限があり、重量機器に制約があります。また、高さ調節ができないので、傾斜がある床には不向きです。
  2. 支柱分離型のOAフロアは、金属製部品の重量が重く、施工性や建物の耐荷重に問題が出る可能性があります。
  3. 使用する機材によっては、耐久性や歩行感が不良になる可能性があります。試験などでの確認が重要です。

参考文献
https://stepline.co.jp/knowledge-oa.html
https://www.inoac-juukan.co.jp/product/product_spec?pageid=1080102

NTPサーバ

NTPサーバとは

NTPサーバ

NTPサーバとは、インターネット上で現在時刻を送信するサーバのことです。

NTP (Network Time Protocol) は、ネットワーク上のサーバ間で時刻データを取得・補正したり、クライアントのPCに正確な現在時刻を提供したりするプロトコルを指します。PCやルータなどのネットワーク機器は、このプロトコルを利用してNTPサーバから現在時刻を取得します。

仮にNTPサーバを利用せずネットワーク機器が通信を行った場合、互いの時刻のずれによりトラブルを引き起こす可能性があるからです。現在、NTPサーバは原子時計を基準として極めて高精度の時刻を提供しています。

NTPサーバの使用用途

NTPサーバは先述の通り、あらゆるPCやネットワーク機器が利用しています。家庭用PCやオフィスPCもNTPサーバより時刻を取得します。

また、NTPサーバはさまざまな法人で利用されます。NTPサーバの具体的な法人における使用用途は以下の通りです。

  • 国立大学、私立大学
  • 大手通信プロバイダ
  • 大手企業
  • 国立天文台などの天体観測場所
  • 情報関係の独立行政法人

NTPサーバの原理

従来1秒の定義は地球の自転速度を基に決めていましたが、現在ではセシウムを用いた電子時計により定義されています。概略するとセシウム133の原子が、2点間で放射する周期を1秒と定めています。

現時点で最大精度である秒の測定方法です。国際単位系 (SI) における基本単位として定義されています。日本の場合は、NICT (国立研究開発法人情報通信研究機構) の保有するものを標準として使われています。

NTPの階層構造

NTPは負荷分散の目的から階層構造となっており、これをStratum (ストラタム) と呼ばれます。Stratumは0から順次採番され、数字が大きいほど大元のNTPサーバから離れて誤差が大きいという関係にあります。

Stratum0は原子時計で、Stratum1はNICTのNTPサーバです。Stratum1では原子時計から取得した高精度時刻を使ってサーバ上で刻時した時刻に補正をかけて運用しています。

Stratum1であるNTPサーバは、100万リクエスト/秒以上の処理能力を有し、現状は日本中からアクセスしても問題ありません。ただし、Stratum1にアクセスが集中して正常な処理が行われなくなる可能性が危惧されています。

これを回避するために、Stratum2以降を階層として設定して運用中ですが、Stratum2以降階層が下がるたびに微少な誤差が蓄積されるのが懸念点です。そのため、階層が下にいくほど誤差が大きくなります。

NTPサーバのその他情報

1. NTPサーバと水晶振動子

正確な時刻を刻む素子として、従来からあるのが水晶振動子です。この素子に電圧を加えると一定周期の振動が得られます。この振動を利用してPCのハードウェアボードは時刻を刻みます。

ただし、水晶振動子は100万秒あたり1回のずれが生じます。コンピュータ間の通信は互いの時刻データで同期を取りながら動作するため、このような誤差は問題となります。

そこで、より正確な時刻を維持管理するNTPサーバが使われるようになりました。NTPサーバは原子時計から正確な時刻を取得し、このデータをネットワーク機器に提供します。この仕組みにより各PCが正確な時刻を取得し、それぞれの処理を高精度に実行することが可能となりました。

2. 主要なPublic NTPサーバ

多数の公的機関がNTPサーバを一般公開しています。ユーザーはこれらのNTPサーバを自由に利用することが可能です。このように、一般公開されているNTPサーバをPublic NTPサーバと呼びます。

もっとも有名なPublic NTPサーバは、NICTが運営するPublic NTPサーバです。NTPサーバのアドレスは”ntp.nict.jp”となります。CDNサービスを提供する会社として知られるCloudflare社もPublic NTPサーバを提供しています。Cloudflare社は東京と大阪にサーバを設置しており、通信も低遅延で行うことができます。NTPサーバのアドレスは”time.cloudflare.com”です。

GoogleもPublic NTPサーバを提供しています。Googleが自社で保有する原子時計を基に時間設定を行っており、精度に問題はありません。NTPサーバのアドレスは”time.google.com”です。

3. NTPサーバの設定方法

NTPサーバの利用には設定作業が必要ですが、容易に行うことが可能です。設定方法はOSによって異なりますが、Windowsでは以下のように行います。

  1. コントロールパネルから「日付と時刻」を選択
  2. その中にある「インターネット時刻」のタブを選択
  3. 「サーバ」欄に利用するNTPサーバのアドレスを設定

OSの時刻表示が不正確である場合、NTPサーバの設定に失敗した可能性があります。NTPサーバの設定を変更することで、時刻表示が正確になります。

参考文献
https://www.idcf.jp/words/ntp.html
https://liginc.co.jp/464201
https://jjy.nict.go.jp/ntp
https://www.gigabile.com/

LINUXサーバー

LINUXサーバーとはLINUXサーバー

LINUXサーバーとは、Linux OSを利用したサーバです。

Linux OSは1991年にフィンランドの大学生リーナス・トーバルズがプロジェクトにおいて開発したのが始まりです。オープンソースの思想であったことから有料のWindowsOSを利用する場合に比較して投資を低くできるメリットがあります。Linux OSを対象としたウィルスソフトウェアがあまり存在しないため、セキュリティ面も比較的有利です。

OS自体がWindowsと比べて軽いため低速CPUでも快適に動作しますが、オープンソースであるため進化のスピードが早く最新の情報を入手することが難しいという側面もあります。また、操作においてはCUI (英:Character-based User Interface) が必須となることが運用のハードルを上げている要因ともなっています。

LINUXサーバの使用用途

LINUXサーバは以下のような幅広い分野で使用されています。

1. WEBサーバ
2. ファイルサーバ
3. メールサーバ
4. プリンターサーバ
5. プロキシサーバ
6. DNSサーバ

Linuxサーバの原理

LINUXサーバではさまざまなサービスを提供するサーバとして利用することができます。サーバーとはネットワーク経由でクライアントコンピュータに対してさまざまなサービスを提供するコンピュータです。ネットワークを介して提供されたクライアントの要求に応じてレスポンスします。

専用のPCが割り当てることもありますが、1台のPCの中でクライアント用ソフトウェアとサーバ用ソフトウェアを同居させることも可能です。この場合、状況に合わせてサーバとして機能させたりクライアントとして動作させることができます。複数の種類のサービスを1台のサーバ上で提供することが可能です。

Linuxサーバの種類

LINUXサーバーは、自分で書き換えが可能なため、用途別にアレンジすることができます。まずディストリビューションとソフトウェアを決めてインストールしてから構築や書き換えを始めます。商用のパッケージでもディストリビューションを何にするかによって使い方や特徴が変わってきます。以下にディストリビューションを紹介します。

下記以外にも、LINUXサーバーをレンタルするサービスもあります。データの容量が限られたりするため、個人のホームページなどデータの少ないホームページを作成する場合等には効率的です。

1. Slackware

最も歴史の長いディストリビューションです。他のディストリビューションより動作が早く、パッケージが作りやすい利点がありますが、ほぼ英語のみの説明になりますので、抵抗がない方には向いています。有料ですが、3,000円程度とそれほど高くはありません。

2. Debian

ボランティアによって開発されたため、無償で利用できます。ソフトウェアパッケージが豊富で、日本語表示も対応しています。DebianをベースにしたUbuntuなども人気のディストリビューションです。

3. Red Hat

Red Hat Enterprise Linux (RHEL) と呼ばれるソースを公開しています。このRHELと互換性のあるCent OSは日本でも人気のディストリビューションです。Cent OSはフリーですが、RHELは有料です。有料でもその分10年のサポートがあるので安定した運用が望めます。Cent OSのサポートが終了するため、機能の近いAlmaLinuxなどが台頭してきています。

Linuxサーバのその他情報

1. サーバの種類

Linux OSに限らず、サーバはさまざまなサービスを提供するものがあります。代表例としては以下のものが挙げられます。

Webサーバ
WeBページを内部に保有し、クライアントから要求があった場合に所定のページやデータをクライアントに送出するサービスです。クライアント側はWEBブラウザを介してサーバとのデータのやり取りを行います。

FTPサーバ
ネットワークを介してクライアントからの要求に応じてデータをアップロードしたりダウンロードしたりするサービスです。FTPはFile Transfer Protocolの略です。

データベース
他のサーバアプリケーションからの要求に応じて内部に保有するデータにアクセスし、データを格納する管理サービスです。

メールサーバ
PCやタブレット、スマホなどから送信されたメールを受信して、指定されたメールサーバ宛に届けます。一方でこのメールを受信したメールサーバは届けられたメールが格納されているメールボックスから取り出して受信します。その他はファイルサーバ、プリンタサーバ、DNSサーバ、SSHサーバ、プロキシサーバなどがあります。

2. Linuxサーバのバックアップ

特に商業利用などデータ紛失リスクが高いLinuxサーバについては、定期的にバックアップの取得が必要です。バックアップの方法は下記の2種類があります。

システムバックアップ
システムバックアップとはOSを含めてシステムのすべてをバックアップすることです。ハードウェア故障が発生してもバックアップイメージを新しいハードウェアにインストールすることで手軽に復旧できます。これにより障害発生時の障害復旧時間 (MTTR) を短縮することができます。

データバックアップ
データバックアップはデータのみをバックアップする方法です。障害発生時のリストアのためには、OSやソフトウェアを個別にインストールしてデータを戻す必要がありますが、バックアップの取得にかかる時間は短いです。一般的には1か月など一定の間隔でシステムバックアップを取得し、日頃はデータバックアップを取得するという手法を取ることが多いです。これによりバックアップ自体にかかるコストを削減しつつ、障害発生時のMTTRを短縮することができます。

3. Linuxサーバの価格

Linux OSはオープンソースと呼ばれる形式で提供されており基本的に料金は無料ですが、商用利用などでサポートが必要な場合は有償の商用Linux OSを選ぶ必要があります。最も有名なのはRed Hat Enterprise Linux OSです。Red Hat Enterprise Linux OSは利用のために費用が発生するものの、セキュリティ対策とサポートを受けることができます。その他、Oracle Enterprise LinuxやSUSE LINUX Enterprise Serverなども商用Linuxとして有名です。 

参考文献
https://www.kenschool.jp/dictionary/network/linux_server.php
https://eng-entrance.com/linux_seven_features
https://www.kagoya.jp/howto/rentalserver/basic-06/
https://thinkit.co.jp/article/980/1

LCDディスプレイ

LCDディスプレイとは

LCDディスプレイ

LCDディスプレイとは、液晶ディスプレイ (英: Liquid Crystal Display) の略称で、現代の電子機器に広く使用されているディスプレイ技術の1つです。

その名の通り、液晶の性質を利用して画像を表示します。液晶は固体と液体の中間的な性質を持ち、電気信号によってその配向を変えることが可能です。この特性を利用して、光の透過量を制御し、画像を生成します。

LCDディスプレイは、その薄さ、軽さ、省エネ性に優れ、さまざまな製品に採用されています。また、色の再現性や視野角などの視覚的な品質も高いレベルで提供できるため、プロフェッショナルな映像制作やゲーム、映画鑑賞などにも好適です。

LCDディスプレイの使用用途

LCDディスプレイの代表的な用途はテレビです。それ以外にも下記に示すように様々な用途で使用されています。

1. パソコンモニターとテレビ

LCDディスプレイは、パソコンモニターやテレビの画面として広く使用されています。その薄さと軽さ、省エネ性、そして高い色の再現性から、これらの製品には最適な選択肢となっています。

また、大画面化が進むテレビでも、LCDディスプレイはその高い解像度と視野角の広さから好まれています。

2. スマートフォンとタブレット

スマートフォンやタブレットも、LCDディスプレイの主要な使用場所です。これらのデバイスでは、ディスプレイの薄さと軽さ、そしてバッテリー寿命への影響が最小限であることが求められます。LCDディスプレイはこれらの要求を満たすため、多くのデバイスで採用されています。

3. 車載ディスプレイ

近年、自動車のダッシュボードやインフォテインメントシステムにもLCDディスプレイが採用されています。ドライバーに必要な情報を明確に伝えるためには、高い視認性と色の再現性が必要となります。

また、車内の限られたスペースを有効に活用するためには、ディスプレイの薄さと軽さも重要です。これらの要求を満たすLCDディスプレイは、自動車業界でも広く採用されています。

4. デジタルサイネージ

デジタルサイネージは、商業施設や公共交通機関などで見かけるデジタル広告表示板のことを指します。これらの表示板では、明るい環境下でも視認性が高く、大きな画面で鮮やかな色を表示できることが求められます。LCDディスプレイはこれらの要求を満たし、デジタルサイネージの主要なディスプレイ技術となっています。

LCDディスプレイの原理

LCDディスプレイの動作原理を理解するためには、まず液晶の特性の理解が重要です。液晶はその名の通り、固体と液体の中間的な性質を持つ物質で、電気信号によってその配向を変えることができます。この特性を利用して、LCDディスプレイは画像を生成します。

1. 液晶セル

LCDディスプレイの中心的な部分は液晶セルと呼ばれる構造です。液晶セルは、2つのガラス板の間に液晶層を挟んだもので、その両側には偏光板が配置されています。液晶セルの各ピクセルは、電極によって電気信号を受け取り、その信号に応じて液晶の配向を変えます。

2. 光の制御

液晶セルの動作原理は、光の偏光と液晶の配向の変化を利用した光の制御に基づいています。液晶セルに電気信号がない状態では、液晶の配向は偏光板に合わせて整列しており、バックライトからの光は液晶セルを通過して画面に出力されます。

しかし、電気信号が液晶セルに送られると、液晶の配向が変わり、光の進行方向が変化します。これにより、光の通過量が制御され、画像を生成可能です。

3. カラーフィルター

LCDディスプレイでカラー画像を表示するためには、カラーフィルターが必要です。各ピクセルは赤、緑、青の3つのサブピクセルに分かれており、それぞれに対応する色のフィルターが配置されています。これにより、バックライトからの白色光が各サブピクセルで適切な色に変換され、カラー画像が生成されます。

 

以上がLCDディスプレイの基本的な動作原理です。このように、液晶の特性と光の物理的性質を巧みに利用して、LCDディスプレイは高品質な画像を生成します。

LCDディスプレイの選び方

LCDディスプレイには、その性能を表す様々なスペックが存在します。LCDディスプレイを選ぶ際には、解像度、画面の形状、画面の見え方、応答速度などで比較します。

1. 解像度

解像度は、ディスプレイが出力できるドット数を示します。1920×1080であれば、1920ドット×1080ドットの画面表示能力があることになります。多くのドットの表示をできる方が性能的に優れていますが、コストも高くなります。

2. 形状

画面の形状は、現在では多くのLCDディスプレイはワイド型となっています。過去は正方形のスクエア型も多く販売されていました。

最近では、ウルトラワイドと呼ばれるような、ワイドモニターよりさらに横幅を伸ばしたモニタも販売されています。ウルトラワイドのモニタは、見やすいように湾曲している製品もあります。

3. 画面の見え方

画面の見え方は、大きく光沢が強いグレアと、光沢を抑えたノングレアがあります。グレアのほうが明るく鮮やかな見え方をしますが、目に負担もかかります。

4. 応答速度

応答速度は入力値を画面表示するまでの時間を示した値で、近年では8ms未満の製品が一般的です。ゲーミング目的などでは、低遅延のモニタが適しています。

LCDディスプレイのその他情報

電子工作におけるLCDディスプレイ

LCDディスプレイは、電子工作では画面表示を実現するために利用されます。文字表示のみを実現するLCDディスプレイをキャラクタディスプレイなどと呼びます。キャラクタディスプレイは一定数の文字列を表示できます。例えば、24×2行のキャラクタディスプレイであれば、24×2文字の文字列を一度に表示可能です。

このようなキャラクタディスプレイは、5V程度の低電圧で動作します。キャラクタディスプレイの内部に文字列の表示を行うモジュールも備わっているため、外部からは文字コードを送るだけで自動的に文字表示を実現してくれます。

参考文献
https://jp.sharp/products/lcd/tech/s2_1.html
https://led.led-tokyo.co.jp/news/lcdleddifference/
https://www.jp.tdk.com/tech-mag/knowledge/063
https://kakaku.com/pc/lcd-monitor/guide_0085/
http://happy-arduino.blogspot.com/2012/02/lcd.html

KVMスイッチ

KVMスイッチとは

KVMスイッチ

KVMスイッチとは、1組のキーボード(Keyboard)・ディスプレイ(Video/VisualUnit)・マウス(Mouse)で複数台のコンピュータを操作するためのハードウェアです。それぞれの頭文字を取ってKVMスイッチと呼びます。CPU切替器やPC切替器という名称でも呼ばれることもあります。

基本的には1組のKVMから複数台のコンピュータを制御しますが、複数台のKVMで1台のコンピュータを制御できる製品もあります。多機能なKVMスイッチでは、USBデバイスやスピーカーの共有機能も備えています。また、コンピュータのみではなく、データサーバに対して使用することも可能です。

KVMスイッチの使用用途

KVMスイッチは家庭でも使用可能ですが、産業・商業用に利用されるケースがほとんどです。以下に使用例を列挙します。

  • 多数のサーバーが稼働しているデータセンター
  • 複数台のPCを使用している工場・オフィス・研究所
  • PC本体へのアクセスが困難な構造・レイアウトのある工場

広大な敷地での使用や、複数台のPCを設置する場所で使用されます。

KVMスイッチの原理

KVMスイッチは各機器からのケーブルをKVMスイッチに接続し、USBとVGAを組み合わせた専用ケーブルでコンピュータへ出力します。

KVMスイッチには受動型と能動型があり、それぞれ原理が異なります。PCやOSの特性によってKVMスイッチとの相性もあるため、適切なKVMスイッチを選定する必要があります。

1. 受動型KVMスイッチ

受動型KVMスイッチは機械式KVMスイッチとも呼ばれ、物理的に電気回路を切り替える仕組みです。セレクトスイッチや押ボタンによってPCの切替を行います。

構造が簡便で安価な反面、PCを接続可能台数は多くて12台が上限となります。また、選択外のPCからは物理的にインターフェイス機器が切り離されたように感知するため、PCやOSによっては起動に失敗したりマウスレス状態で起動する場合があります。

2. 能動型KVMスイッチ

能動KVMスイッチは電子式KVMスイッチとも呼ばれ、模擬信号で周辺機器を切り替えています。機械式KVMスイッチとは異なり、選択外PCに対してもインターフェイス機器が接続されたようにエミュレーションします。これにより、選択外PCの起動失敗を防止します。

能動的KVMスイッチは、継続的にインターフェイス機器の接続状態を監視するPCやOSにも有効に働きます。PC切り替えは特定のキーを素早く押下することによって切り替え可能です。KVMスイッチ本体に触れる必要がないため、利便性にも優れます。

KVMスイッチの遠距離通信

KVMスイッチには長距離から操作可能な「リモートKVM機器」があります。リモートKVMには制御方式によってアナログKVM、デジタルKVMというタイプが存在します。

1. アナログKVM

最大300m程度の距離での操作を想定したKVMスイッチです。接続にはLANケーブルを使用しますが、通信プロトコルは製品独自のものであるため他のLAN機器に接続することはできません。

独自プロトコルで制御するため、通信遅延時間があまり発生しないのが特徴です。256台以上のアクセスポイントを設定することが可能であり、8,000台以上のPCを制御できます。

2. デジタルKVM

KVM Over IPとも呼ばれ、インターネット上でイーサネット通信によって信号を送受信できます。インターネットを使用するためにわずかな操作遅延が発生しますが、アナログKVMよりもさらに長距離操作が可能です。その特性から、リモートワークなどにも活用されます。

多くのデジタルKVMはブラウザや専用ビューアソフトによってPCを遠隔操作します。インターネット上でPCを遠隔操作できるリモートソフトには、VNCやターミナルサービスなどがあります。デジタルKVMスイッチはそれらと比較して、リモートソフトウェアのインストールが不要なのが利点です。