XYステージ

XYステージとは

XYステージ

XYステージとは、左右方向の移動を行うX軸と縦方向の移動を行うY軸の2つの軸を持った位置決めステージのことです。これを使用することにより、位置決めがしやすくなるという利点があります。装置構成としては、それぞれの軸方向に動くステージを重ねる形で構成されることが一般的です。
ステージのガイド方式や送りの機構の違いなどで、精度や特長が異なるため、用途に合わせた選定が必要となります。

XYステージの使用用途

主な使用用途は、位置決めが必要となる作業を伴う、半導体装置の製造や顕微鏡での観察などです。ガイド方式や送り機構の違いによって、低精度なものから高精度なものまで様々な位置決め精度のステージが存在し、特長も異なるため、使用用途によって適切な精度と特徴を持ったステージを選択する必要があります。

XYステージの原理

XYステージは、ステージの「ガイド機構」と「送り機構」によって構成されます。それぞれの機構の方式により特徴が異なるため、代表的なものを説明します。

〇ガイド機構

  • アリ溝方式
    オスとメスの台形溝を摺動させてガイドする方式の機構で、摩擦係数が高いため、精度の高い位置決めには不向きですが、コストが抑えられるため、簡単な位置決めを行う用途においては最適です。
  • クロスローラー方式
    ローラーとV溝のレールによる線接触で移動する方式の機構で、高い剛性が得られます。また、低摩擦で微小な送りが可能なため、正確な位置決めにも適しています。
  • ボール方式
    円弧に沿った加工を施したR溝とボールの接触による移動方式の機構で、R溝とボールとの接触がよく、あらゆる方向の荷重に対し、安定した負荷能力があります。
    移動精度もクロスローラー方式と大きな差はなく、正確な位置決めにも適しています。

〇送り機構

  • ラック&ピニオン
    ラックギア」と呼ばれる歯を切ったレールと、「ピニオン」と呼ばれる歯車を組み合わせた送り機構です。素早くステージを送ることができるのが特長ですが、高精度な位置決めには不向きです。
  • 送りねじ
    おねじとめねじの関係を利用した、ねじ方式の送り機構です。ねじのピッチの分解能でステージを送ることができるので、細かな送りが可能ですが、送りの速度は遅く、長いストロークでの位置決めには不向きです。
  • マイクロメータ
    送りねじよりも細かな精度での送りが可能な機構です。内部の構造としては送りねじとほとんど同じですが、目盛りもついているため、正確な移動量を把握することができます。こちらも送りの速度は遅いため、長いストロークでの位置決めには不向きです。

上記のようなガイド機構と送り機構の選択肢から、用途に合わせた組み合わせを選択し、XYステージを構成します。
また、XYステージの操作は手動での位置決めに限らず、各軸の駆動をモーターで行い、自動で位置決め可能なXYステージとして使用することもあります。この場合、位置決めの精度は送り機構の種類と駆動用モーターの分解能によって決まるため、モーターの仕様選定も重要になります。
一般的には、精密な位置決めが必要となる場合には、サーボモーターもしくはステッピングモーターを使用することが多いです。

参考文献
https://jp.misumi-ec.com/maker/misumi/mech/product/xy/faq/faq01.html
https://www.shodensha-inc.co.jp/solution/what-is-xy-stage/

X線発生装置

X線発生装置とはX線発生装置

X線発生装置とは、放射線の一種であるX線を発生させる装置のことです。

X線は1895年にヴィルヘルム・コンバート・レントゲン博士によって発見されました。物質を透過する特性を持っていたことから世紀の大発見となり、X線は当時の人々を驚愕させました。

現在では、透過性を利用して医療用や工業用の機械などの産業用途のほか、物理・化学研究用途にも用いられており、X線発生装置は様々な場所に広がっています。特にレントゲンとして医療用で利用されているため、広く知られている技術と言えます。

X線発生装置の使用用途

X線発生装置は医療用として広く使われています。誰もが耳にしたことのあるレントゲン検査もX線を利用した技術の一つです。

人体にX線を照射すると、皮膚や肺などの密度が低い部分はX線が透過し、骨や歯などの密度が高い部分はX線が透過せず、吸収されます。X線の透過率によって画像にコントラストが付き、人体の内部を検査することができます。

他にも、製品を破壊せずに内部を確認することができるため、製品のチェックとして工業用でも使用されています。また、空港の手荷物検査など身近な場所にも利用されている技術です。

X線発生装置の原理

X線を発生させる装置は、X線管とも呼ばれます。X線管の内部は真空になっており、陽極となるターゲットと、陰極となるフィラメントで構成されています。

  1. 電極間に高電圧 (数万~数十万ボルト) を印加すると、陰極のフィラメントから熱電子が飛び出し、陽極のターゲットへ高速で移動します。
  2. ターゲットにぶつかることでX線が発生します。
  3. ターゲットに電子がぶつかり原子内に入り込むと、そのエネルギーのほとんどは熱に変わります。
  4. 一部の電子は原子内の電子に衝突し、これにより不安定な状態 (励起状態) が形成されます。
  5. 原子は励起状態になると、エネルギーを放出して安定な状態に戻ろうとします。
  6. 励起状態から安定状態に遷移する際に、エネルギーとしてX線が発生します。

発生するX線は大きく分けて以下の2つがあります。

1. 特性X線

励起された電子が安定状態に遷移する際に発生するX線です。電子軌道のエネルギー差に等しいX線が発生するため、単一波長で強いエネルギーを持ちます。元素によって、電子軌道間のエネルギーは固有であるため、その元素特有のX線を発生させるのも特徴です。この性質を利用して、蛍光X線分析法 (XRF: X-ray Fluorescence) では、物質の成分分析に利用されています。

2. 連続X線

熱電子がターゲットに衝突し、急速に減速する際に生じるX線のことです。制動時に生じるX線のため、制動X線とも呼ばれます。生じるX線の波長は、ターゲットのどこに衝突するかによって異なるため、複合波長となります。透視検査などに利用されています。放出されるX線の大部分が連続X線です。

X線発生装置のその他情報

1. X線発生装置の管球

X線発生装置の管球は、主としてガラス製からなる真空管であり、管内にプラスの電極 (陽極) とマイナスの電極 (陰極) とが組み込まれた構造を有しています。管球は、陰極においてフィラメント (収束電極) が配置され、陽極においてターゲットが配置されています。

高圧トランス等の高圧供給電源を用いて両電極に高電圧を負荷すると、フィラメントからターゲットに熱電子が放出されます。フィラメントにはタングステンが使用されており、ターゲットにはタングステンやモリブデンなどが使用されています。

管球には、陽極が回転構造になっていない固定陽極X線管と、陽極が回転構造になっている回転陽極X線管があります。回転型のものは、ターゲット面の局部過熱を防ぐために傘状のターゲットを高速で回転させます。これによって管電流が大きくなり、X線強度を上げることが可能です。

回転陽極X線管においては、経年使用によって回転軸がずれたり、ベアリングの歪みなどから異音を発することがあります。このような状態で継続使用するとX線管壁がガラスでできている場合、陽極の溶融や陽極の軸が曲がるなどして、X線管そのものが破壊される場合があるため、日常的に状態変化をチェックすることが重要です。

2. X線発生装置に関する使用届出

工業用のX線発生装置を導入する場合には、以下の対応が必要となります。

  • 中央省庁: 設置から30日以内に人事院への届出
  • 公立機関: 設置予定の30日前までに各都道府県の人事委員会への届出
  • 民間企業: 設置予定の30日前までに所轄の労働基準監督署への届出

また、装置の設置場所の変更や装置を廃棄する場合も、自治体への届出が必要となることがあるため、自治体のエックス線装置に関する届出のルールをよく確認することが重要です。なお、外部放射線による1cm線量当量率が20μSv/hを超える装置は、放射線装置室内に設置する必要があります。一方20μSv/h以下に遮へいされた構造の装置においては、放射線装置室を設ける必要はありません。

また、X線発生装置の使用に際しては、原則「エックス線作業主任者免許」を取得した者のうちから、管理区域ごとにエックス線作業主任者を選任しなければなりません。ただし、照射領域が扉によって外部と隔絶されなければX線が照射されない構造であり、なおかつ装置外部における線量が基準値以下の場合、装置外部には管理区域が存在しないと解釈され、エックス線作業主任者を選任しないケースも存在します。

X線CT装置

X線CT装置とは

X線CT装置

X線CT装置とは、X線を照射して物体内部の材質や構造を調べる装置です。

大きく医療用と産業用に分けられます。医療用のX線CT装置では、頭から足までの骨や筋肉・血管などの組織や内臓を診ることができます。

X線CT装置の使用用途

X線CT装置は、大きく医療用と産業用の2種類です。順番に解説します。

1. 医療用X線CT装置

医療用X線CT装置は、人体を透過したX線を検出して人体内部の情報を得ており、病状を判断するために使用されます。なお、医療用X線CT装置には、人体をそのまま観察する単純CTと、血管内に造影剤を投入して観察する造影CTがあり、目的に応じて選択します。

2. 産業用X線CT装置

産業用X線CT装置は、物質の非破壊検査で多く利用されており、このような産業用X線CT装置は「観察用CT」と呼ばれています。非破壊検査の具体例としては、半導体パッケージなどの形状評価および欠陥調査、錠剤の内部構造評価、炭素繊維強化プラスチックの形状や繊維配向評価などです。

近年、産業用X線CT装置では「測定用CT」も多く開発されています。「測定用CT」は、「観察用CT」と同様に非破壊検査が行えるとともに、サイズの測定やCADによるデータ解析ができるのが特徴です。

この「測定用CT」を利用すれば、対象物の三次元形状の全取得や高精度な形状測定、高速検査および測定などが可能です。

X線CT装置の原理

X線CT装置には、医療用と産業用があります。物体に360度全方向からX線を照射して透過および吸収X線量を調べるという点ではどちらも同じですが、医療用と産業用では撮影方法が異なります。

1. 医療用X線CT装置

医療用X線CT装置は、ドーナツ状のガントリと、ガントリの中心穴に入り込み人体が寝た状態で中心穴内をゆっくりと移動するベッドをもつのが特徴です。ガントリの内部には中心穴を挟んで、X線を照射するX線管と、X線管から照射されたX線を検出する検出器が配されています。

ガントリの中心穴内にベッドに乗った人体が入ると、X線管から照射されたX線は一部人体に吸収され、残りは透過して検出器により検出される仕組みです。このとき、ガントリはベッドの周りを回転し、360度方向からX線を照射して透過したX線を検出しています。

そのため、人体を横方向に輪切りにした360度方向のデータが得られ、このデータからコンピューターが人体の断面像を構成しています。この医療用X線CT装置ではヘリカルスキャンが一般的です。

ヘリカルスキャンとは、ベッドがガントリの中心穴内をゆっくりと移動しながら連続してX線照射と検出を行う撮影方法です。これにより、人体の横方向の輪切り画像が身長方向の縦方向に連続して得られます。

2. 産業用X線CT装置

産業用X線CT装置では医療用X線CTとは異なり、X線管と検出器を固定する代わりに調査対象である物質が回転するのが特徴です。産業用X線CT装置には横照射型と縦照射型があります。

横照射型はX線管、物質、検出器を横に並べた構成をもち、縦照射型ではこれらを縦に並べています。調査対象物質や調査する場所に応じて、適した方を選択します。

X線CT装置のその他情報

1. マルチスライス医療用X線CT装置

医療用X線CT装置には、検出器がベッドの移動方向に複数列配されたマルチスライス医療用X線CT装置があります。X線CT装置の原理で解説した医療用X線CT装置は、シングルスライスと呼ばれています。

このシングルスライスX線CT装置では、検出器がベッドの移動方向と直交する方向、すなわち人間にとっての横方向に複数個配列されており、ベッドの移動方向には一列分配されている構造です。このため、ガントリが1回転すると、1枚の断面図のみ構成されます。

これに対し、マルチスライス医療用X線CT装置では、検出器がベッドの移動方向に複数列配されておりガントリの1回転により複数枚の断面図の取得が可能です。そのため、短時間で撮影が可能となり、人体への負担を減らせます。また、これとヘリカルスキャンを組み合わせることで3D画像も構成できます。

2. X線CT装置の3次元画像処理方法

X線CT装置の技術として注目されている3次元画像処理の方法としては、以下の3種類が用いられています。

多断面再構成法 (MPR) 
多断面再構成法 (MPR) は、三次元のデータから人間の横方向の断面以外に、人間の身長方向の断面である冠状断面・矢状断面などの画像を構築できるのが特徴です。この方法は現在のCT三次元処理で最も使用されています。

最大値投影法 (MIP)
最大値投影法 (MIP) では、三次元のデータに対して、任意の視点を設定します。そして、その視点と投影面を結ぶ経路にある最大値を2次元面に投影します。

画像ノイズの影響が小さいことや低コントラストの画像であってもコントラストよく出力ができるのが特徴です。しかしながら、最大値以外は画像に反映されないため、前後の位置を正しく把握したい場合は何種類かの角度が異なる観察が必要です。

ボリュームレンダリング法 (VR)
ボリュームレンダリング法 (VR) では、目的とする領域のCT値の上限/下限を設定します。そして、設定した範囲に不透明に対応するパラメータを追加して陰影処理を行い、画像を構成しています。血管などの3D画像に好適な方法です。

参考文献
https://www.matsusada.co.jp/column/xxct1.html
https://www.nims.go.jp/personal/XrayCT/about/index.html
https://www.mst.or.jp/method/tabid/1341/Default.aspx
https://jp.medical.canon/general/CT_construction
https://www.innervision.co.jp/ressources/pdf/innervision2013/iv201311_028.pdf
https://tokyoh.johas.go.jp/medical/b_chuohousyasen/b_chuohousyasen_01.html
http://www.ysh.pref.yamagata.jp/section/radiation03.html
https://www.an.shimadzu.co.jp/ndi/first_x/first03.htm
https://www.jstage.jst.go.jp/article/mit/27/4/27_258/_pdf

VPNルータ

VPNルータとは

VPNルータ

VPNルータとは、VPN (Virtual Private Network) 機能を搭載したルータです。

VPNとは、インターネット上に仮想の専用線を設定して特定の人のみが利用できる専用ネットワークを構築する機能です。接続したい人はVPNルータを設置してアクセスします。

VPN接続を行うとセキュリティが強化され、安全に通信を行うことができます。そのため、リモートワークの需要に伴って急速に社会に浸透しました。その反面、正しい知識を持ちつつ情報漏洩のリスクに備えることも肝要です。VPNを導入した企業の中には、専用の技術者を配置して通信状態を管理するところもあります。

VPNルータの使用用途

VPNルーターは主に企業において、地方支社や自宅などの離れた場所から本社のデータにアクセスするために導入されます。共通のLANに接続しているような状態なので、ファイルを共有して作業することが可能です。

セキュリティ対策として必須である暗号化はVPN専用ルータがすべて行うので、個人の負担は大きくありません。また、既存のインターネットを利用するため導入コストが安く、リモートワークを推進する企業ではVPNルータの需要が高まっています。

VPNルータの原理

VPNルータの基本原理はトンネルングと暗号化 (+認証) です。情報漏洩防止の観点からも、最重要項目であることがわかります。

トンネリングとはカプセル化という処理を行い、このカプセル化したデータを送ることを指します。カプセル化によって単純なキャプチャでは読み取れなくなりますが、これだけで十分なセキュリティとは言えません。

暗号化技術にはいくつか種類があり、現在も安全かつ機能的に優れた方式・ソフトウェアの開発が盛んに行われます。以下は暗号化技術の一例です。

1. IPsec-VPN

ネットワーク層で暗号化・認証を行います。高セキュリティな反面、ファイヤーウォールとの相性を考慮する必要があります。

2. SSL-VPN

セッション層であるSSL暗号通信で暗号化・認証を行います。リモートワーク導入の際に多く用いられますが、セキュリティ面では他の方式と比べてやや劣ります。

3. L2VPN

SSLで暗号化と認証は行い、データリンク層でカプセル化して通信を行います。低コストで導入可能で、windowsOS向けです。

これらに加えてポートフォワーディング方式など、ファイヤーウォールとの相性を克服する手法も出てきています。さらに二段階認証 (ID/パスワード入力後、メールにセキュリティコード送信) を導入すれば、リスクの大幅な減少が期待できます。

VPNルータのその他情報

1. VPNルータの設定方法

VPNルータを利用してVPN接続を行うためには、事前に設定が必要です。適切に設定されていないVPNルータはセキュリティホールとなり、不正アクセスの原因となります。

VPNで利用する暗号化の種類を設定する
一般的にはIPSecとPPTPから選定します。家庭用であれば、オープンソースのOpenVPNなども選択肢になります。商業利用であれば、セキュリティレベルの高いIPSecを用いると好ましいです。さらにIPSecの場合は、事前共有キーとして32文字以上の文字列を設定します。

VPN接続ができるユーザを設定する
アクセスさせる人数分のユーザ名とパスワードを登録します。必要に応じて、マトリクス認証や二要素認証などより複雑な認証方式を検討します。

接続試験を行う
VPNルータの設定が完了したら、クライアントから接続試験が必要です。Windowsであれば、「ネットワークとインターネット」からVPN接続を追加することができます。この際に、ルータのIPアドレスまたはサーバー名の登録が必要となります。無事にVPNルータへアクセスができることを確認したら、設定は完了です。

2. VPNルータの価格

VPNルータはスペックにより様々な製品が発売されています。価格は、セキュリティ機能の充実性やプロトコルへの対応数によって異なります。

VPNルータの価格帯としては、家庭用のVPNルータであれば数万円程度です。オフィス向けの用途であれば、数十万円~50万円以下くらいの価格帯が主流となります。

データセンターなどで利用する大規模なVPNネットワーク用ルータであれば、50万円~100万円程度が主な価格帯となります。このようなVPNルータは、安い製品と比較して通信帯域が大きく確保されているなど、ハイスペックに設計されています。 

参考文献
https://www.furukawa.co.jp/network/vpn/about_vpn/about_vpn_top.html
https://www.infraexpert.com/info/5.4adsl.htm

UV硬化樹脂

UV硬化樹脂とは

UV硬化樹脂とは、波長200~400nmの紫外線を照射することによりモノマーやオリゴマーが重合し、液体から固体へ硬化する樹脂の総称です。

UV硬化樹脂は紫外線が照射されると、瞬時に重合が始まり、数秒で硬化します。そのため、作業効率が良く、熱を加える必要が無いため、省エネルギーです。

従来、有機溶剤を用いたものが主流でしたが、近年無溶剤型や水系UV硬化樹脂が開発され、より人と地球にやさしい材料になってきています。また、紫外線を照射するだけで硬化する簡便さと、硬化後の光沢の美しさから、DIYや自作のアクセサリー、雑貨などの用途で、一般向けにも利用されています。

UV硬化樹脂の使用用途

UV硬化樹脂は、日常生活から工業用途に至るまで幅広い分野で活用されています。身近なところでは、POPやDM、食品ラベルやクリアファイルへの印刷用途が挙げられます。熱で乾燥させるインクが適さないプラスチックフィルムや厚紙の印刷には、UV硬化樹脂が好適です。

また、木材用の塗料やプラスチック用のコーティング材としても使われています。近年は、スマートフォンやタブレット端末や自動車外装材の傷つき防止のために使用される場合が多いです。工業分野では、電子部品用の接着剤、液晶パネルの封止材、基盤形成のためのレジスト材として活用されています。

UV硬化樹脂の原理

UV硬化樹脂には、紫外線の照射によりラジカルやカチオンが発生する光重合開始剤が1~5重量%含まれています。光重合開始剤の種類によって反応機構が異なることから、UV硬化性樹脂はラジカル硬化型とカチオン硬化型の2つに大分されます。

1. ラジカル硬化型

紫外線のエネルギーにより開始剤からラジカルが生成し、アクリレートやメタクリレート、ビニルエーテルなどの不飽和基がラジカル重合し硬化します。使用可能な樹脂やモノマーが数多く存在するため、塗料設計により、硬度や耐薬品性、耐汚染性など様々な特性の付与が可能です。

硬化のスピードが速く、コストも比較的安価なことから、UV硬化樹脂の大半はラジカル硬化型です。

2. カチオン硬化型

カチオン硬化型には、ヨードニウム塩やスルホニウム塩を開始剤として使います。開始剤に紫外線を照射すると酸が発生し、それが触媒となり環状エーテル、ビニルエーテルなどがカチオン重合し硬化します。

硬化収縮を小さくできるため、コーティングの密着性を向上させることができます。ただし、設計自由度が高くないため特性のコントロールが難しくなります。

UV硬化樹脂の種類

UV硬化樹脂には、溶剤の有無、溶剤の種類によって大きく3つに分類されます。最も一般的なのは溶剤系UV硬化型樹脂です。近年、VOC (揮発性有機化合物) 規制などの時代のニーズを受け、溶剤を含まない無溶剤型、溶媒に水を用いた水性UV硬化型樹脂が注目を集めています。

1. 溶剤系UV硬化型樹脂

溶剤系UV硬化型樹脂は取り扱いや容易で、得られる塗膜の厚みが均一であることが特長です。屋外での使用に耐え得るためにシリコン系の無機成分を含むグレードも販売されています。

2. 無溶剤型UV硬化型樹脂

有機溶剤を含んでいないため、臭気がほとんどなく、VOCの発生を抑制ができる作業者と地球環境に優しいUV硬化型樹脂です。また、有機溶剤を揮発させる必要が無く、生産ラインをシンプルにできるのも利点です。

基材によっては溶剤によって変性してしまうものもあるため、無溶剤型が選ばれています。

3. 水性UV硬化型樹脂

無溶剤型と同様に有機溶剤を含んでいません。主だった用途は建築分野で、床面の現場施工や、塩化ビニル床材のコーティングなど、VOCの発生が大きなデメリットとなるところで用いられています。従来使われていたワックスよりも、強度や耐薬品性が強いという利点もあります。

UV硬化樹脂のその他情報

UV硬化樹脂用の添加剤

UV硬化樹脂はモノマー、オリゴマー、光重合開始剤、溶剤などを混合して製造します。これら以外にも、各種添加剤を加えることによって、UV硬化による反応性、塗膜と基材の密着性、樹脂の硬度を向上させたり、防汚性、防水性、分散性などを付与することができます。

添加剤の例としては、重合禁⽌剤、顔料、レべリング剤などがあり、目的や用途に合わせて樹脂の組成を調整します。

参考文献
http://www.djklab.com/parts/service/pdf/hikari-radical-1.pdf
https://www.orizuru.co.jp/media/technical_information/a20
https://www.klv.co.jp/technology/uv-curing-mechanism.html
https://www.jstage.jst.go.jp/article/yukigoseikyokaishi1943/33/8/33_8_634/_pdf
http://www.daicel-allnex.com/products/product07.html
https://www.kusumoto.co.jp/product/coating-sol/additives/leveling.html
https://www.jstage.jst.go.jp/article/networkpolymer/34/5/34_245/_pdf/-char/ja
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspe/76/2/76_2_161/_pdf

UVプリンター

UVプリンターとは

UVプリンター

UVプリンターとは、紫外線を照射させることで硬化するUVインクを使用したプリンターです。

UVプリンターではインクを硬化させて定着させるので、インクの浸透が不要です。そのため、樹脂素材や皮脂などに印刷することもできます。また、インクジェットプリンタと比較して速乾性が高い利点もあります。

ただし、高価である点と専用インクが必要な点が短所として挙げられます。

UVプリンターの使用用途

UVプリンターは、さまざまな素材に印刷できる点が最大の特徴です。木材や一般的な樹脂、皮革など硬度の高い素材から柔軟性の高い素材まで幅広く印刷可能です。この特徴を活かして以下の用途で使用されます。

  • スマートフォンケース
  • キーホルダーやブックカバー
  • スイッチ用銘板や看板
  • ボールなどの曲面への印刷

UVプリンターの原理

UVプリンターは、UV硬化樹脂が硬化する原理を応用しています。UVインクに紫外線を照射するとラジカル重合が開始し、瞬時に硬化します。

インクジェットプリンターはインクを浸透させた後に乾燥させて固定化しますが、UVプリンターはインクを浸透させる必要がないためあらゆる素材に対応可能です。ただし、UVインクの硬化時に特有のにおいが発生するため、脱臭装置の併用が推奨されます。

UVプリンターのその他情報

1. UVプリンターの歴史と市場

UVプリンターは2000年以降に、インクジェットプリンターに次ぐ次世代技術として各社で研究・開発が進められてきました。その結果、多くのUVプリンターがマーケットに導入されてきました。

開発当初はメタルハライドランプで紫外線を照射しており、高い消費電力や短寿命などのデメリットがありました。2008年頃になるとLEDランプをUV光源とする製品が登場し、性能が劇的に向上したことからUVプリンターの需要は増加しています。

印刷処理の高速化・印刷メディアの多様化・環境適合のメリットなどから、UVプリンター市場は今後も伸長していくと考えられています。近年では、立体印刷技術の研究・開発も盛んです。小型立体メディアへの印刷が可能な小型UVプリンターも販売されています。

2. UVプリンターの課題

UVプリンターとインクジェットプリンターを比較した際、UVプリンターの市場拡大には下記の課題解決が必要です。

価格
水性・溶剤系インクと比較した際にUVインクは高価であり、UV-LED専用のインクはさらに高価です。そのため、溶剤系インクと比較してランニングコストが高くなる点は課題と言えます。UVプリンターは本体価格も高く設定されており、導入するには金銭面でのハードルが高い製品です。

光沢性
水性・溶剤系インクと比較した際、光沢感のないマットな印象を与えます。ただし、本来の印刷の上から透明なクリアインクで印刷すると光沢を表現できます。クリアインクの硬化タイミングを変えることで光沢度合いも変更可能です。

3. UVプリンターの苦手な素材

UVプリンターにも、プリントが困難な条件がいくつかあります。

撥水性の高い素材
硬化前のインクは液体のため、撥水性が高い素材はインク塗布時に弾かれます。素材との密着性が非常に低くプリントは困難です。

油分や添加剤の多い素材
材料表面に油分が存在するとインクの密着性が低下します。特に樹脂では可塑剤や添加剤がインクの密着性を阻害するため注意が必要です。多くはアルコールで脱脂することにより改善します。

平滑性の高い素材
平滑性が極めて高い素材のプリントは困難です。微小な凹凸があるほどインクの密着性が高くなります。そのためサンドペーパーなどで意図的に凹凸をつける場合もあります。

 

また、UVプリンターではインクを硬化させる性質上、印刷箇所がひび割れを起こす可能性があります。特に柔軟な素材への印刷時に発生しやすく、変形させると印刷がぼろぼろになる場合もあります。

参考文献
https://www.large-format-printer.jp/blog/uv-business/ink_structure/
https://www.rolanddg.co.jp/products/printers/how-uv-printer-works
https://www.ushio.co.jp/jp/technology/lightedge/201206/100442.html

USBアナライザ

USBアナライザとは

USBアナライザとは、USBバス上で通信を行うホストと周辺デバイス間に挿入してバス上を流れるデータパケットをキャプチャすることにより、USBプロトコルに従ってバスの解析を行うために使用する機器です。

USBバスが規格化されるまではPCと周辺デバイスとのインターフェースは機器ごとに異なり、キーボード、マウス、プリンタ等、別々に用意する必要があったため非常に煩雑かつ高額でした。なぜなら、それぞれのインターフェース規格に合わせてバスを駆動する回路並びに、ドライバソフトウェアを用意する必要があったからです。

USBバスのプロトコルがリリースされたことにより、周辺機器はインターフェースとしてUSBバスプロトコルにのみ対応すれば良いようになりました。

USBアナライザの使用用途

USBはPCやタブレット端末、スマートフォン、携帯電話をはじめデジカメやプリンタ、PC周辺機器、さらに最近では車にも使用されるようになりました。また、1台の機器でも数個のUSB端子を有するものもあります。

それぞれの機器に装備されたUSB端子は、機器のサイズやその制約から複数の形状が用意されています。

1. Type-A

Type-Aは、コネクタの挿入口が、外から覗き込んだときに長方形をしています。このタイプは標準的なコネクタで通常PC用として利用されています。

2. Type-C

差し込む方向を気にせずに利用可能で、高速転送をサポートしたUSB3.1規格に対応しているのがType-Cです。最近では、ノートPCやスマートフォンの小型化に伴い、軽量化され小型化も進んでいるこのタイプのコネクタも増えてきています。

3. Type-B・MicroUSB

プリンタ等の比較的大きな機器に利用されているのがType-Bです。その他、スマートフォン等に使用されているMicroUSBやデジカメ等に利用されているMiniUSBがあります。

USBアナライザは以上の様なUSB端子を有する機器におけるUSBバス上のデータ通信の解析を行うための機器です。

USBアナライザの原理

USBバスでは、1台のホストに対して、最大5台の中継器 (ハブ) を従属的に接続可能で、最大127台の周辺機器を接続することができます。

USBアナライザは、以上のUSBバスにおいて定められたプロトコルに従いバスの解析を行います。USBにおいてはビット列のかたまりを最小の単位としたパケットにより、ホストと周辺デバイスの間で通信を行います。

このパケットを複数集めたデータ列の通信が、トランザクションと呼ばれるものです。これがデータ通信の基本となり、この物理的な通信の上で行われる通信の転送モードとして、コントロール転送、インタラプト転送、バルク転送、アイソクロナス転送の4種類が存在します。

USBアナライザの種類

USBアナライザは、大きさから機能まで多種多様なものがあります。一般的な据え置きで常時PCと接続しているタイプのほかに、以下に紹介する2種類が代表的なタイプのものです。

1. PCレスタイプ

PC無しで測定結果を確認できるタイプです。表示用モニタが付いているので目視確認できるほか、結果をプリントアウトする簡易プリント機能や後でPCにデータを移せるようSDカードなどのストレージがさせるようになっているものもあります。

2. 小型タイプ

胸ポケットにはいる軽量超小型サイズのものです。携帯に便利で、USBバスパワー駆動のためAC電源やアダプタも不要です。どのような環境下でも使用できることを考慮し、バンドルソフトもWindows、Linux、MacOSXなどの各種OS対応のものを用意してある場合が多くあります。

USBアナライザのその他情報

通信プロトコルのメリット

USB周辺デバイスとして、マウスが接続された場合を考えます。一般的に新たなデバイスとしてマウスがPCに接続されても、デバイスドライバのインストールを求められることはありません。

USB周辺デバイスが、自分が何者であるかをPCに接続して、通信が開始された直後にホストに知らせるという手続きを取るからです。この周辺デバイスからの情報をもとにホストは、内部に保持している標準のデバイスドライバを取り出して設定します。

これにより、USB周辺デバイスが新たに接続されるたびにデバイスドライバのインストールを要求されることがなくなります。

参考文献
http://www.kumikomi.net/archives/2011/06/usb_guide.php
https://www.pro.logitec.co.jp/about_hdd/hddssd/20191018/
https://www.sanwa.co.jp/product/cable/howto/usb.html
https://mypage.otsuka-shokai.co.jp/contents/business-oyakudachi/pc-techo/2014/201403.html

Uボルト

Uボルトとは

Uボルト

Uボルト(英語:U-Bolt)は、配管施工のパイプ布設の際に、パイプを架台、ブラケットステーなどに固定するために使用するボルトです。

ボルトはU字形で両端部にネジ加工が施されていて、Uボルト1本でパイプを容易で確実に固定することができます。

Uボルトのイメージ図

図1. Uボルトのイメージ図

従来Uボルトの規格として JIS F3022 船用鋼管取付Uボルト で規定されていましたが、使用実績が少なく利用頻度も低いことから2006年08月10日に廃止されています。JIS F3022には、A形、B形、C形がありました。しかしいま現在も旧規格で製作されているものもあります。今現在は、各メーカーにより仕様や寸法が規定されています。

Uボルトの構造

図2. Uボルトの構造

Uボルトの使用用途

Uボルトは主にパイプ(配管)を固定する用途で使用されます。Uボルトはパイプ外径ごとにサイズ分けされており、パイプ外径にきれいに沿うようにボルトが丸く曲げられていて、曲面がなじみやすく相性が良いという特徴があります。
また配管用以外にも、トラックやバスなど重量の重い自動車のリア足回りのリーフスプリングと車軸の締結にも、使用されています。

固定したい対象物が角パイプやチャンネのような矩形の場合は、U字形ではなくコの字型Uボルト(コ型ボルト、コの字ボルト)を使用します。

コの字形Uボルト

図3. コの字型Uボルト

Uボルトの原理

Uボルトも通常のボルトと同じくナットを用いて対象物を固定しますが、U字で対象物を挟み込みため、対象物の径を正しく計測してそれに適合するボルトを選択することが重要です。

配管用でパイプを固定する場合には、Uボルトの「呼び寸法」はパイプ外径(呼び径もしくは外径)で示されているため、パイプ外径と同じ「呼び寸法」のUボルトを選定します。
角パイプにコの字形Uボルトを使用する場合も、必要な角パイプサイズが示されているUボルトの「呼び寸法」を選定します。

また、パイプを固定する部材が厚い場合は、全長の長い足長Uボルトを使用します。
UボルトのJIS規格は廃止されているため、メーカーにより細かな寸法にバラツキがあることがありますので注意が必要になります。

Uボルトの一般的な材質は、軟鋼、オーステナイト系ステンレス鋼(SU304、SUS316、SUS316L)などがあり、軟鋼にユニクロメッキ、溶融亜鉛メッキなどの防食対策としての表面処理を施したものがあります。用途や使用環境に適した材質を選定します。

RO装置

RO装置とは

RO装置

RO装置とは、水中に含まれる有機塩素化合物などの不純物や重金属イオンを逆浸透膜で除去し、高純度の水を精製する装置です。

RO装置で精製した水はRO水と呼ばれます。また、日本語表記では逆浸透膜濾過装置と示されます。

*逆浸透膜: 2nm以下の孔を持つ濾過膜で、水のみを透過し、それ以外の不純物は阻止します。

主な除去対象物質は、重金属イオンや細菌類、有機塩素化合物などで、これらを99.9%除去できます。具体的な原理は後述しますが、簡潔に示すと非純水に圧力を加えて、逆浸透膜で不純物を阻止し、高純度な水のみを透過させているのです。

RO装置の使用用途

使用用途は多岐にわたりますが、海水淡水化への利用が多くを占めています。日本のように川をはじめとした水資源が豊富な国では、海水淡水化装置は必要ありませんが、東南・中東アジアでは大きな需要があります。日本では、海水を淡水化する用途ではなく、水道水の浄水処理に使用されることが多いです。RO装置は浄水分野だけでなく、医療分野にも必要不可欠な存在です。透析医療で透析液原液の希釈などの透析用水として使用されています。

RO装置の原理

RO装置は、逆浸透圧を応用して純水を精製しています。水しか通さない浸透膜で容器を仕切り、片側に純水、もう一方に非純水を入れると両者の濃度を等しくしようと、純水側から非純水側に水が移動していきます。この圧力を浸透圧と呼びます。一方で、逆浸透圧とは非純水側に圧力を加え、水のみを移動させる現象を指します。これにより不純物を含まない純水を精製できます。こうした原理のため、純水精製には逆浸透膜の選定が重要になります。逆浸透膜の孔径を小さくすれば、より高純度の水を精製できますが、その分精製速度が遅くなり、また高い圧力が必要になります。そのため、非純水の不純物量やどの程度の純度が必要かなどを考慮しなければなりません。

また、RO装置を用いる注意点として前処理を行うことが挙げられます。逆浸透膜の孔径は非常に小さいため、工業用水や井戸水のような不純物が多い水を使用すると、すぐに目詰まりを起こし故障の原因になります。そのため、事前に目の粗い濾過膜で濾過してから使用する必要があります。一般的には、水道水レベルの純度であれば、そのまま使用しても問題ありません。

RO装置のメリット

RO装置の最大のメリットは、廃液処理の心配がない点です。RO装置はきれいな水を得るために濃縮水が発生します。原水が工業用水などであれば有害物質が含まれないので、濃縮水はそのまま廃棄できます。イオン交換樹脂では樹脂の再生に酸やアルカリを使用しますが、pH調整など手を加えないと排水基準に適合しません。

RO装置導入例

RO装置は、省スペースでそして容易に、超純水に近い水質の水を得ることができます。導入例は以下の通りです。

1. 研究施設

小規模の研究施設の場合は、生成された水を瓶やキュービテナーで購入していますが、使用量によるコスト比較から、小型のRO装置を導入しているケースがあります。

2. プリント基板製造

プリント基板製造工程では、各種表面処理の工程間で付着している薬液の洗浄が必要です。非常に精密な工程であり、次工程への不純物を持ち込まないためにきれいな水の供給を求められ、RO水を利用する事例が多くあります。

3. メッキ等の表面処理工程

メッキ等の表面処理工程では、次工程に処理液を持ち込まないために、工程毎に水洗する必要があります。特に精密メッキの場合は、品質維持のために水洗水はRO水以上の水質を求める場合があります。

4. イオン交換システムの前処理

超純水を製造するイオン交換システムでは、イオン交換樹脂への負荷を軽減するため、前段にRO装置を組み込む場合があります。使用する原水に不純物が多い場合はイオン交換樹脂だけでは対応できず、また樹脂の寿命が短くなります。工業用水などの場合は、砂ろ過設備や活性炭による不純物の除去を経て、ミネラル分をRO装置による前処理するなどの組み合わせになります。

5. 透析用水

人工透析に使用する透析用水は、原水として水道水を使用しますが、水道水には各種ミネラル分として透析の障害となる不純物が含まれています。このミネラル分を除く手段としてRO装置が利用されています。

6. ボイラ用水

ボイラとは、燃料の燃焼により水に熱を加えて湯や水蒸気にする熱交換器です。水蒸気になると水に溶け込んでいるミネラル分が析出し、配管等の内壁に付着して熱効率を妨げることになります。そのため熱媒として循環する水には、不純物が取り除かれたRO水を使用する場合があります。 

 

参考文献
https://waterstand.jp/filter_ro.html
http://www.top-water.co.jp/technical.htm

RCサーボモータ

RCサーボモータとは

RCサーボモーター

RCサーボモータとは、サーボモータはラジコン等の制御で使用される比較的小さなサーボモータのことです。

サーボモータとは、位置や速度の指令をモーターに出してモーターが指令値通りの動作を実行する機構の装置です。RCサーボモーターは、ラジコンではステアリングの制御等で使用されており、指令した値に対して正確に制御できます。

RCサーボモータの使用用途

従来のRCサーボモータは、ラジコンの制御を目的に使用されていました。近年は用途の幅が広がっており、ロボットの動作が新しい用途の一例です。

サーボモータと似た動きとして、ステッピングモータがあります。ステッピングモータも与えた指令値に対して動作するモータです。サーボモータは、これに加えてフィードバック機構を内部に持っており、エンコーダから取得した速度値を元により指令値に近い制御が可能です。

そのため、RCサーボモータが使われる場面としてはステッピングモータよりも正確な挙動が要求される場面で使用されています。

RCサーボモータの原理

RCサーボモータには、各サーボモーターによって、パルスに対する回転位置と回転方向が定められています。この仕様に応じたパルス状の信号を入力することで、任意の角度にモータを操作可能です。

一般的に、15〜20ms周期かつ0.5〜2.5ms幅のHIGHパルスを加える仕様が多いです。パルスの幅によって回転する位置が変わるため、仕様に合わせた信号を入力する必要があります。RCサーボモータへの指令の実行はPWM (Pulse Width Modulation) の形式です。

パルス幅がモータへの指令角度と対応するように定められています。回路基板は入力された指令角度とポテンショメータで測定した角度測定値を受け取り、演算を実行します。演算後に、モータドライバを経由してDCモータに印可する電圧を出力可能です。

RCサーボモータの構造

RCサーボモータはDCモータ、ギヤヘッド、駆動回路と角度指令型のサーボコントローラがパッケージ化されているため、軽量で使用しやすい構成です。ほとんどのRCサーボからは以下の3本の線が接着された3並列線が出ており、この信号線に対してパルス状の信号を入力することで任意の角度にモータを動かすことができるようになっています。

また、コネクタ形状は2.54mmピッチのメスコネクタです。

1. 信号線

パルス状の信号入力に使用する線です。色は「白」「青」「黄色」「オレンジ」の場合が一般的です。

サーボモータの中には、信号入力端子がオープンドレインであるものもあります。この時、マイコンと信号入力端子を接続するためにプルアップ (信号線を抵抗でHIGHに接続) しなければなりません。

ただし、マイコン端子を信号入力端子に繋ぐだけでは、マイコン信号がサーボモータへ反映されないことがあるので注意が必要です。

2. 電源線

電源線にはモータと制御基板の電源+の接続に使用する線と、モータと制御基板のGND線の接続に使用する線の2本があります。電源+線は3並列線の真ん中の線であり、色は「赤」の場合が多いです。

電源-線は「黒」か「茶色」の場合が多く、色の種類をこのように分けることで誤接続を防ぎます。

RCサーボモータのその他情報

1. ポテンショメータ

RCサーボモータでも使用されるポテンショメータとは、回転角や移動量を電圧に変換する機器を指します。ポテンショメーターのサーボモータは、変位センサーとしての役割があります。

サーボモーターの出力軸に直結されていて、回転とともに抵抗が変わる可変抵抗器です。ポテンショメータの出力は電圧ですが、この電圧をマイコンに送ることでマイコンはサーボモーターの位置情報を演算します。

2. PWM

RCサーボモータで使用するPWM制御方式について説明します。

PWM制御方式の1つに、三角波比較方式があります。三角波比較方式では、実現したい周波数の正弦波 (交流) とキャリアと呼ばれる三角形の形をした波の高低をオペアンプに入力して比較します。

正弦波がキャリアよりも大きい値を持つときは、スイッチング制御信号はONを出力します。一方、正弦波がキャリアよりも小さい値を持つときはOFFを出力します。この比較を繰り返すことで、スイッチング制御信号であるパルス波を出力することが可能です。

参考文献
http://www.robotsfx.com/robot/robohow/RoboHow110/RoboHow110.html
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sicetr/46/4/46_4_237/_pdf