熱分析装置についての概要、用途、原理などをご説明します。また、熱分析装置のメーカー13社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。熱分析装置関連企業の2022年4月注目ランキングは1位:ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社、2位:株式会社リガク、3位:株式会社島津製作所となっています。
熱分析は、材料分野の研究開発で多く使用される分析手法の一種です。材料は、温度の変化により物性などの特性が変化することにより機能や効果に影響してくるので、熱物性を調査することは重要になります。試料を連続的に加熱、冷却することで試料の変化を追跡します。
代表的なものは、温度を測定する示差熱分析(Differential Thermal Analysis:DTA)、示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimetry:DSC)、重量変化を測定する熱重量測定(Thermogravimetry:TG)、長さの変化を測定する熱機械分析(Thermomechanical Analysis:TMA)などがあります。
熱分析は、あらゆる材料の熱物性の測定に使用されますが、ここで一例を示します。
一つ目は、高分子材料の研究です。加熱によって生じるガラス転移、結晶化、融解、分解などの現象を、温度変化を横軸、各パラメータ(重量変化や寸法変化など)を縦軸にとってグラフ化し、追跡します。
また、熱分析と光学顕微鏡での測定を組み合わせて形態の変化を観察したり、ガスクロマトグラフィーによるガスの分析を同時に行う研究も実施されています。
熱分析の装置は、検出部、温度制御部、データ処理部から構成されています。検出部は、ヒーター、試料設置部、検出器を備え、試料の加熱冷却と、温度と物性の検出を行います。
温度制御部では、測定前に設定したプログラム通りにヒーターの温度制御を行います。
データ処理部では、検出器からの信号を入力して記録し、得られた測定データを解析します。
熱分析は分析対象の特性に応じて様々な手法が用いられています。
熱分析で一般的に用いられている分析手法は、示差熱分析(DTA)、示差走査熱量測定(DSC)、熱重量測定(TG)、熱機械分析(TMA)、動的粘弾性測定(DMA)の5つです。各分析手法においてどのような測定、分析が可能かは下記の通りです。
温度変化によって、試料自体が転移や何らかの反応を引き起こした時、基準物質との温度差に変化が生じるため、この変化を検出します。そうすることで融解、ガラス転移、結晶化、気化、昇華等の反応現象をとらえる事が出来ます。
融解、ガラス転移、結晶化などの転移や比熱容量の測定が可能です。昇華、蒸発のケースも測定は可能ですが、試料の質量が変化することによって定量性が欠如しているということが理由で一般的にあまり行われません。
温度変化によって、昇華、蒸発、熱分解、脱水などの質量が変化する反応を引き起こす試料が測定対象となります。
温度変化により形が変化する現象である、熱膨張、熱収縮、ガラス転移、硬化反応、熱履歴の検討などが主な測定対象となります。融解、結晶化も形状変化を伴う反応のため、検出可能ですが、場合によっては適切に検出できないので注意が必要です。
分子内の運動や構造変化を伴う反応である、ガラス転移、結晶化、熱履歴の検討を行うために用いられる装置です。融解の初期状態も測定可能ですが、融解が進み形状が変化すると測定が出来なくなります。
上述の通り光学顕微鏡などのデバイスと組み合わせることで様々なリサーチに応用されています。
光学顕微鏡との組み合わせによる形態や色彩の変化をリアルタイムで観察する手法では、結晶化や液晶転移に伴う試料の白濁、状態変化温度付近での試料の変化を観察することを可能にしています。またFT-IR(フーリエ変換赤外分光分析)、MS(質量分析)などのデバイスと組み合わせることで、加熱によって発生したにおい、ガスの分析や熱分解の機構、構造アナリシスに応用されています。そのほか温度発生デバイスとの組み合わせでは、様々なシチュエーションでの熱膨張、熱収縮の観測が可能になります。
参考文献
https://www.jaima.or.jp/jp/analytical/basic/cta/principle/
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jscta1974/7/1/7_1_11/_pdf
https://www.jaima.or.jp/jp/analytical/basic/cta/tga/
https://www.jaima.or.jp/jp/analytical/basic/cta/principle/
https://www.jaima.or.jp/jp/analytical/basic/cta/dta/
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熱分析装置のカタログ一覧はこちら企業
ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社 株式会社アントンパール・ジャパン*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
企業の並び替え
2022年4月の注目ランキングベスト10
順位 | 会社名 | クリックシェア |
---|---|---|
1 | ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社 | 20% |
2 | 株式会社リガク | 12.7% |
3 | 株式会社島津製作所 | 9.3% |
4 | 株式会社日立ハイテクサイエンス | 8.7% |
5 | 株式会社アントンパール・ジャパン | 8% |
6 | ネッチ・ジャパン株式会社 | 6.7% |
7 | ヤマト科学株式会社 | 6% |
8 | 京都電子工業株式会社 | 6% |
9 | 株式会社パーキンエルマージャパン | 6% |
10 | 株式会社日立製作所 | 6% |
注目ランキング導出方法について
注目ランキングは、2022年4月の熱分析装置ページ内でのクリックシェアを基に算出しています。クリックシェアは、対象期間内の全企業の総クリック数を各企業のクリック数で割った値を指します。社員数の規模
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示差走査熱量測定装置(ダブルファーネスDSC)は、試料と標準試料の温度差を無くすことで、熱量変化を直接測定するため、正確な測定が可能な熱分析装置になります。
昇温速度を最高750℃/分までコントロールできることも大きな特徴になります。
1000℃/分までの高速冷却が可能のため、急冷条件下でも熱分析測定を行うことができます。
電気冷凍機を搭載しているため、-110℃までの低温状況化での測定も可能になります。
DTG-60/60Hは、示差熱と熱重量の2種類の同時測定が可能な熱分析装置になります。
DTG-60シリーズでは、独自の流路構成を用いているため、各種雰囲気ガス条件での測定が可能なことが特徴となります。
採用しているロバーバル機構の上皿天秤をでは、試料の重心の変化が生じても測定感度が変わらないため、高精度で測定が可能です。
±500mgの重量(TG)測定が可能かつ、1gまで秤量できるため、様々な測定に適しています。
高圧示差走査熱量測定(HP DSC)は加圧条件下での測定が可能な、熱分析装置になります。
最大10Mpaまでの加圧が可能なのが大きな特徴になります。
高い圧力条件での測定が可能なため、反応速度をあげた状態で、短時間での熱分析が可能になります。
高圧条件では、試料の蒸発を抑制できるため、測定中の事象を分離することが可能になります。
有毒性ガスや、可燃性ガス雰囲気条件での測定が可能なのも特徴の一つになります。
超高熱分析装置シリーズは、最高2400℃まで昇温可能なグラファイト炉を使用しています。
コンパクトなデスクトップサイズであることは大きな特徴になります。
炉内の保護管や温度センサーの変更、組み合わせが可能の為、空気や酸素だけでなく、還元条件の水素雰囲気での測定が可能になります。
MSや、FTIRを接続すれば、発生したガスの分析も可能になります。
検出器を容易に交換できるので、TG-DTA、TG-DSCの測定が可能になります。