GaNパワーデバイスについての概要、用途、原理などをご説明します。また、GaNパワーデバイスのメーカー8社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。GaNパワーデバイス関連企業の2022年4月注目ランキングは1位:サンケン電気株式会社、2位:パナソニック株式会社、3位:インフィニオンテクノロジーズジャパン株式会社となっています。
GaNパワーデバイスは、窒化ガリウムを原料とする次世代半導体パワーデバイスです。従来のシリコンを原料とするパワーデバイスよりも大きい電力を少ない損失で扱えることから近年注目されています。
GaNパワーデバイスは、その構造上信頼性や安全性がシリコンベースのものに比べて低いことが問題でしたが、近年の技術革新によりこうした問題は解決されつつあります。
このような高効率化と信頼性向上の結果として、排熱機構の簡素化なども可能であり、最終的な製品の大幅な小型化に貢献できます。
GaNパワーデバイスは、シリコンベースのパワーデバイスよりも大きな電力を扱えるため、スマートフォンやパソコンの急速充電を可能にする充電器などに採用されています。
また、太陽光発電システムなどのパワーコンディショナーでは極めて高い変換効率を要求されるため、高効率なGaNパワーデバイスを採用するケースが増えています。
さらに、高速なスイッチングも可能なことから、電源の安定性が要求されるサーバー機器などのスイッチグング電源としても利用されています。
GaNパワーデバイスは、HEMT構造と呼ばれる高電子移動度トランジスタ回路を持っています。
このHEMT構造は常に電流が流れるノーマリーONの状態であり、ゲートに負電圧を印加することでOFFにします。そのため、なんらかの不具合でゲート電極へ電圧の印加ができなくなるとOFFにすることができなくなるため非常に危険な状態になります。
GaNパワーデバイスは、こうした信頼性の問題があり、ノーマリーOFFを実現することが課題になっていました。
そこで、ゲート電極にノーマリーOFFのSi-MOSFETを組み込むことでこれを実現しています。
またもう一つの課題として、電流コラプスがあり、これは高電圧のスイッチングにおいてON抵抗が増大する現象で、GaN材料の作製過程の欠陥によるものです。
GaNパワーデバイスは、Siウェハ上にGaN膜を形成させる必要がありますが、成膜技術の革新によって高品質の成膜が可能になっています。
このような課題を克服することで、GaNパワーデバイスは実用化までこぎつけています。
GaNやSiCは、化合物半導体であり、その絶縁破壊強度は大きく、耐圧を上げることが容易なために大電流、高電圧なアプリケーションに向いています。特にSiCは、デバイスの耐圧面からEV自動車や発電システム等の、モーター駆動用途などの大電流用アプリケーションに使用されることが多く、IGBTの置き換えデバイスとして、期待されています。
一方で、GaNパワーデバイスはSiC程の耐圧は確保困難であるものの、特に高周波特性を示すCutoff周波数(fT)が高く、電子の移動度もそのバンドギャップエネルギーの観点から大きくとれるために、基地局向けアンプの増幅用トランジスタ電源用途や、ノートPCやスマートフォン向け等の急速バッテリー充電器等の用途に用いられています。
すなわち、GaNとSiCの棲み分けは高速スイッチング充電や高周波数用途向けの5G基地局向けにはGaNデバイスを、もっと高耐圧、大電流用途には、SiCデバイスを使い分けていると言えます。
GaNデバイスの応用分野としては、光源用アプリケーションが挙げられます。GaNは、化合物半導体の中でも3.39eVと比較的大きなバンドギャップエネルギーを有し、かつ直接遷移型半導体であるため、発光効率の大きなLED光源やレーザーダイオード用材料としての期待が大きいです。
電子デバイスとしても高出力かつ高周波数用のアンプトランジスタとしての応用が期待されます。
GaNパワー半導体には、現在では比較的高い650V以上の電気自動車のオンボード充電を対象としているものと、ハイブリッド電気自動車の48Vから12VへのDC-DCコンバータでの電圧変換を対象としているアプリケーションの大きく二つのものがあります。いずれもGaNパワー半導体として、SiCデバイスと並んで、今後のワイドバンドギャップ(WBG)デバイス市場を牽引していくものと思われます。
実用化への課題は、信頼度や製造歩留まりコストですが、世界中のセミコンダクター企業の努力もあり、実用化への可能性は大きく前進を遂げています。
参考文献
https://eetimes.jp/ee/articles/1604/04/news004.html
https://www.jst.go.jp/lcs/pdf/fy2016-pp-08.pdf
https://eetimes.jp/ee/articles/2006/17/news029.html
https://www.jst.go.jp/lcs/pdf/fy2018-pp-14.pdf
*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
企業の並び替え
2022年4月の注目ランキングベスト8
順位 | 会社名 | クリックシェア |
---|---|---|
1 | サンケン電気株式会社 | 26.9% |
2 | パナソニック株式会社 | 15.1% |
3 | インフィニオンテクノロジーズジャパン株式会社 | 14.1% |
4 | ルネサスエレクトロニクス株式会社 | 14.1% |
5 | 日本テキサス・インスツルメンツ合同会社 | 10.3% |
6 | GaN Systems | 8.7% |
7 | Transphorm | 7.1% |
8 | Efficient Power Conversion Corporation | 3.8% |
注目ランキング導出方法について
注目ランキングは、2022年4月のGaNパワーデバイスページ内でのクリックシェアを基に算出しています。クリックシェアは、対象期間内の全企業の総クリック数を各企業のクリック数で割った値を指します。社員数の規模
設立年の新しい会社
歴史のある会社
TIDA00961は、高周波数を誇り、また臨界を導通するモード(CrM)であり、そのトーテム・ポール力率の補正(PFC)は、GaNを利用することで、高密度である、電源ソリューションを、設計することを目的とした、非常にシンプルな手段であり、TIDA00961のリファレンスのデザインは、TIの600VGaNの出力段、及びLMG3410、そしてTIのPiccolo™ F280049のコントローラを利用しています。
この高密度(165 x 84 x 40mm)である、2段インターリーブ1.6kWの設計は、サーバー及び、テレコムや、産業用電源などの、そのスペースに様々な制約のある、多くの用途に適していて、出力段のインターリーブによって、入力と出力の際の、リップル電流を低減することが可能であり、そのハードウェアは、伝導性電磁波及び、サージと、EFT 要件に十分に対応した設計とすることができ、それ故に設計者は 80+ Titaniumの仕様を満たすことが可能です。
また、TIDA00961の主な特徴としては、小型(65 x 40 x 40mm)の出力段でありながら、250W/in3を超える電力密度を誇り、また全負荷時に230VAC入力で98.7%の効率となっていて、更にドライバと、それの保護機能を、内部に保有した、TIのLMG3410 GaN出力段は、その回路の信頼性を確保して、更に設計の簡易化を実現可能としており、TI の Piccolo™ F280049 コントローラによる、フル・デジタルの制御を可能にしていて、更に最大 55℃までの動作周囲温度であり、 50%の負荷まで外部からの冷却が不要となっています。
ISL73024SEHは、200VNチャネルエンハンスメントモードのGaNパワーデバイスであり、これらのGaNFETは、破壊的なシングルイベント効果(SEE)について特徴付けられていて、総電離線量(TID)放射線についてテストされていて、このデバイスの用途には、商用航空宇宙と、医療、および原子力発電が含まれます。
GaN系の非常に高い電子移動度と、温度係数が非常に低いRのを可能にするDS(ON)、その横方向の素子構造及び多数キャリアダイオードは、非常に低いQを提供しながら、G及びQゼロ近くRRを提供し、その結果、ソリューション全体のサイズを縮小しながら、より高いスイッチング周波数でより効率的に動作できるデバイスが得られるため、密閉された表面実装デバイス(SMD)パッケージのGaN FETの並外れた性能と、MIL-PRF-38535のようなフローでの製造を組み合わせることにより、高信頼性アプリケーションに最適なクラス最高のパワートランジスタが得られます。
特長としては、非常に低いrDS(ON)45mΩ(標準)で、超低総ゲート電荷2.5nC(標準)であり、SEE硬度はSEL / SEB LET TH(V DS = 160V、V GS = 0V):86MeV•CM 2 / MGとなっていて、放射線の受け入れが低線量率(0.01rad(Si)/ s):75krad(Si)で、超小型の密閉された4Ld表面実装デバイス(SMD)パッケージであり、パッケージ面積が42mm 2で、完全な軍事温度範囲の操作でありT A = -55℃〜+125℃、T J = -55℃〜+150℃となっています。
主な用途は、スイッチングレギュレーションや、モータードライブと、リレードライブ及び、突入保護や、ダウンホールドリルだけでなく、高信頼性産業となっています。
TP65H035G4WSは、50V 35mΩ 窒化ガリウム(GaN)FETは、ノーマリーオフのデバイスであり、Transphorm GaN FETは、低ゲート電荷、高速スイッチング、低逆回復電荷による高効率を提供し、従来のシリコン(Si)デバイスに対し大きな優位性を示していて、TP65H035G4WSは、業界標準の3リードTO-247で、コモンソースのパッケージ構成となっています。
そして、主な仕様としては、最小ドレイン電圧VDS(V)minは650で、最大ドレイン・ソース間過渡電圧V(TR)DSS (V) maxが725であり、最大ドレイン・ソース間オン抵抗RDS(on)eff (mΩ) maxは41かつ、逆回復電荷量代表値QRR (nC)typが150となっていて、ゲートチャージ電荷量代表値QG (nC) typは30です。
また、主な特徴としては、駆動が容易であるため、標準ゲートドライバと適合性あることと、導電損失とスイッチング損失が低いことや、150nCという低Qrr値でありながら、フリーホイールダイオードは不要であることと、GSDピンレイアウトによる高速デザイン性の向上が可能であることと、JEDECスタンダードをクリアしたGaNテクノロジーであり、RoHS適合でハロゲンフリーであることが挙げられます。
その上で、主な利点としては、より効率の良いトポロジーが実現可能であり、ブリッジレスのトーテムポール型デザインの実装が容易となっていることと、高速スイッチングによる効率が向上すること、電力密度が向上することと、システムのサイズと重量を低減できることに加え、BOMコストを縮小可能であることが挙げられます。
GS61004Bは、エンハンスメントモードのGaN-on-Siliconパワートランジスタであり、GaNの特性により、高電流及び、高電圧のブレークダウン、そして高スイッチング周波数が可能になっており、GaN Systemsは、特許取得済みのIslandTechnology®やGaNPX®パッケージングなど、業界をリードする進歩で革新を遂げています。
IslandTechnology®セルレイアウトは、大電流ダイと高い歩留まりを実現可能にし、GaNPX®パッケージは、小さなパッケージでありながら、低いインダクタンスと低熱抵抗を可能にしており、GS61004Bは、要求の厳しい高電力アプリケーション向けに非常に低い接合部からケースへの熱抵抗を提供する底部冷却トランジスタであり、これらの機能を組み合わせて、非常に高効率の電源スイッチングを提供可能にします。
その特徴として、超低FOM島テクノロジー®ダイであり、低インダクタンスのGaN PX ®パッケージで、単純なゲートドライブ要件(0 V〜6 V)であり、過渡トレラントゲートドライブ(-20 V / +10 V)かつ、非常に高いスイッチング周波数(> 10MHz)で、高速で制御可能な立ち下がり時間と立ち上がり時間を誇り、逆電流機能及び、ゼロ逆回復損失で、4.6 x 4.4 mm2PCBフットプリントが小さく、RoHS 3(6 + 4)に準拠しています。
主な用途としては、エンタープライズおよびネットワーキングの力になり、無停電電源装置や、産業用モータードライブと、太陽光発電だけでなく、急速充電や、クラスDオーディオアンプと、スマートホームや、ワイヤレス電力伝送などに用いることができます。