塗布装置についての概要、用途、原理などをご説明します。また、塗布装置のメーカー17社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。塗布装置関連企業の2022年12月注目ランキングは1位:コアテック株式会社、2位:株式会社ヒラノテクシード、3位:SSI Japan株式会社となっています。
図1. 塗布装置の種類
塗布装置とは、製品や材料に薬品などを塗布するための装置です。
一般的な塗布装置は、塗布する対象物の形状や塗布する薬品と塗布の目的によって塗布方法が異なるため、さまざまな用途に応じてロールコータやスピンコータ、ディップコーター、スプレー塗布やディスペンス塗布など、さまざまな塗布方法が用いられています。
近年では、半導体製造分野やFPD (フラットパネルディスプレイ) 製造分野、太陽電池や二次電池製造分野などの工業分野においては、精密な塗布精度が求められるため、塗布技術の向上と共に塗布装置が飛躍的に進化しています。
塗布装置は、半導体分野や二次電池など様々な製造工程で対象物に塗液を塗布する用途で使用されています。パソコン、液晶テレビ、スマートフォン、タブレットなど、特に薄型で高機能・高密度化が求められる半導体製造分野やFPD (フラットパネルディスプレイ) 製造分野におけるフォトリソグラフィ工程で、フォトレジストを塗布するスピン塗布装置を利用する場合が多いです。
二次電池や太陽電池、自動車部品から住宅建材・繊維・医療などで使用される機能性フィルムやシート状製品に対しては、シール材や接着剤、電極材をなどの薬品を塗布するロール塗布装置やスプレー塗布装置、ディスペンス塗布装置などが利用されています。
図2. 塗布装置の特徴
塗布装置は、さまざまな生産品材料への対応や薬液などの材料を塗布する装置です。主にロール状塗布、スピン塗布、スプレー塗布、ディスペンス塗布に大別できます。
ロール状塗布装置は、一般的にフィルムやシートなど比較的薄く平面材料に対する塗布に用いられます。
塗布する薬液の液溜まりに接するローラーの回転とフィルムやシートなどの材料の巻取り回転を利用して塗布するグラビアコーター、リバースコーターなどを塗布する薬液の性質や粘度、塗布する膜厚に応じてさまざまな塗布方法が用いられます。
ロールtoロールでの塗布が可能で、最も高速塗布にむいた方法です。これらの方法の特徴は、塗布液と被塗布対象物の間で、ビードを形成し被塗布対象物、または被塗布対象物とロールの両方が移動したり回転したりすることで塗液にせん断力をかけ薄く塗布することです。
このビードを安定化させることが、高品質な塗布に欠かせません。
スピン塗布装置は、半導体製造分野やFPD (フラットパネルディスプレイ) 製造分野におけるフォトリソグラフィ工程で使用するフォトレジストを回転するテーブル上の生産品に吐出後、テーブルが回転する遠心力により薬液の広がる作用を利用して薄膜を形成する塗布方式を採用する装置です。
最も薄く塗布できる手法ですが、複数枚の塗布や連続生産ができないため大量生産には不向きです。
スプレー塗布装置は、自動車や外壁建材などの塗装に対して薬液をスプレーで微細粒子に変換して塗布し、塗布対象物が大型の場合、ロボットの広域可動範囲を利用することで高精度且つ広範囲の塗布方式を採用する装置です。
空気、電気、超音波の3種類の粒状噴霧を生成する方式が存在します。
ディップ塗布装置は、対象物の形状は問わず、ディップコート液に浸けて引き上げる方式です。均一な薄膜を形成することが可能で、光学レンズ、医療系や電子デバイスなどに用いられています。
対象物の形状は問わず、塗布液のロスが少なく均一な薄膜を形成することができる点がディップ塗布装置の特徴です。
ディスペンス塗布装置は、比較的精密な線状塗布が求められる状況で使用されます。塗布量のコントロールが可能なディスペンスー機構を備え、更に精密な塗布が要求される場合には、ロボットを用いることで塗布量の精度と正確性を兼ね備えた塗布方式を採用する装置です。 もちろん塗布速度などは劣りますが、細かいところへのスポット塗布や複雑な形状の塗膜が形成可能です。
図3. 塗布欠落と塗布装置
どんなに高性能な塗布装置にて塗布を行ったとしても、粘度のあわない塗液や塗布速度などの塗布条件によっては綺麗な塗布面が得られないことがあります。コーティングの欠陥の種類とその対処法は、下記の通りです。
1. 塗布によって発生する欠陥
欠陥 | 原因 | 対処法 |
---|---|---|
空気同伴 | 被塗布物に塗液を塗布する際に、空気が逃げ切れないことで発生。 | 塗布速度を低下させることで解決。 |
リブスジ | 塗布部に塗布方向に対して逆圧力勾配ができることで発生。 | 塗液の粘度や塗布速度を低下させることで解決。 |
気泡混入によるスジやホール | 塗液中に泡があることで発生。 | 泡抜き対策を施す。 |
横ダン状のムラ | 主にリバースグラビア方式などで発生。 | 被塗布物の振動抑制やグラビアの回転速度を変えることで解決。 |
ムラ | 塗液が塗膜内で流動をおこすことで発生。 | 塗液を改善することで対応する。 |
異物 | 塗液が凝集したり、ゲル状になることで発生。 | フィルターを導入するなどで対応する。 |
はじき | 塗液の表面張力が高いことで発生。 | 界面活性剤などを添加することで対応する。 |
2. 乾燥によって発生する欠陥
欠陥 | 原因 | 対処法 |
---|---|---|
ゆず肌 (塗面がゆず皮のように凹凸になる) | 乾燥速度が早すぎることで発生。 | 乾燥速度を弱くしたり界面活性剤を添加することで対応。 |
風紋 | 熱風乾燥で発生。 | 吹き付ける熱風の速度を弱めることで対応する。 |
割れ | 塗膜の収縮によって発生。 | 厚塗りをやめることなどによって対応する。 |
コーティングは塗布装置と乾燥と塗液をそれぞれ適切に選択することで、成立する技術です。使いたい塗液の条件や乾燥炉のスペックなども考慮して、適切な塗布装置を選択することが大切です。
参考文献
https://www.keyence.co.jp/ss/products/measure/sealing/coater-type/
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企業の並び替え
2022年12月の注目ランキングベスト10
注目ランキング導出方法順位 | 会社名 | クリックシェア |
---|---|---|
1 | コアテック株式会社 | 19% |
2 | 株式会社ヒラノテクシード | 10.2% |
3 | SSI Japan株式会社 | 7.4% |
4 | エース技研株式会社 | 7.4% |
5 | 株式会社ムサシノキカイ | 6.9% |
6 | 株式会社SDI | 6.9% |
7 | アルファーデザイン株式会社 | 6.5% |
8 | 株式会社川上鉄工所 | 6.5% |
9 | 株式会社都ローラー工業 | 4.6% |
10 | 株式会社SCREENファインテックソリューションズ | 4.2% |
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企業
日本ソセー工業株式会社 株式会社スギイマシナリィ 株式会社イー・スクエア数umオーダーから数10umオーダーの薄膜の塗布(塗工)に対応したマイクログラビア方式の塗布(塗工)装置となっており、テストなどの評価用途としても、準生産機としても使えるマルチな装置になっています。
乾燥工程部やロール巻取り・巻出し部も本体に内蔵したコンパクトな設計になっており、さらに細い径のロールを採用したことで、容易にロールを交換することができ、メンテナンス性も向上しています。
スロットダイヘッドやUV照射機、コロナ処理機などもオプションでカスタマイズすることができ、リチウムイオン電池のセパレータや太陽電池関連部材、ARフィルムやバックライトフィルムなどといった光学部品の製造に用いられるなど幅広い分野での使用が考えられます。
川上鉄工所のパイロットコーター「P5D-GM8」は各種塗布(塗工)方式に対応しており、高精度かつ幅広い粘度の薄膜塗布(塗工)に対応した、オープン型ドクターナイフとクローズドSPナイフの2種のナイフを搭載したデュアルコーターやダイレクトグラビア方式の塗布(塗工)に対応しています。
基材は紙や金属箔をはじめ各種フィルムに対応しており、搬送速度は最大20m/minに対応し、UV照射機やコロナ処理機など多くの各種オプションを搭載することも可能になっており、用途に合わせて自由度の高いシステムを構築することが可能です。
乾燥部にはフローティング式クリーンドライヤーを採用しており、HEPAフィルターやインバータ制御のファンも搭載、またハイフロート式のフローティングノズルを使用することで簡単にメンテナンスをすることが可能なモデルになっています。
株式会社ムサシノコーターではウェブ搬送される基材へのコーターを複数ラインナップしており、塗布部(塗工部)だけでなく、乾燥工程や巻取り工程といった複数の工程を総称してコータと呼んでおり、システムでの提案も可能な商品になっています。
紙やクロス、高分子フィルムから金属や木版の加工など、非常に多くの分野での使用実績があり、塗布(塗工)した基材に対しそのままラミネート加工をすることもできるなど、システムで提案できる利点を活かした、自在な塗布装置を構築することができます。
ローラ上でスロットダイ式の塗布から、ドクターブレードを使った塗布、含浸式の塗布、グラビアロール式の塗布、など20種類もの塗布方式を用意しており、塗工膜厚も2mm近い超厚膜の成膜から、ナノオーダーの長薄膜の成膜まで、多岐にわたる塗布装置をラインナップし、ユーザーの様々なニーズに答えれるものになっています。
ヒラノテクシードのコンマコーターは基材とローラのギャップを使い、その間えお基材が搬送走行して膜の形成を行う塗布(塗工)方式を採用しており、シンプルな構成のため清掃といったメンテナンスがしやすいモデルになっています。
300~100000mPa・s(300~100000cP)の中高粘度の液剤・塗布膜厚はWet状態(乾燥前の状態)で300~2000umに対応したコンマダイレクト、粘度300~50000mPa・s(300~50000cP)・塗布膜厚はWet状態(乾燥前の状態)で50~2000umに対応したBOXタイプのコンマダイレクトがあります。
さらに、上記のコンマ方式に転写ロールを追加搭載した、コンマリバースという商品もラインナップしており、100~50000mPa・s(100~50000cP)の中高粘度の液剤・塗布膜厚はWet状態(乾燥前の状態)で20~500umに対応しています。それぞれ、電子材料の製造や粘接着材料、リチウムイオン電池の電極材料の製造に応用することができます。
ディスプレーの画素駆動を司るTFTアレイ基板を製造するフォトリソグラフィ工程のコーター・デベロッパ装置で世界トップシェアを長年にわたり獲得している、業界随一の連続安定稼働実績がある塗布装置です。
塗布方式はスリットダイコート式を採用しており、塗布基板をステージにチャッキングして塗布を行うリニアコータと、ステージをエア浮上搬送しながら塗布が行えるレビコータの2種類をラインナップしています。
基板サイズはG4(730✕920mm)以上に対応しており、近年では超大型のG10.5(2940✕3370mm)基板を扱える装置も多数納入しており、幅広い基板サイズに対応した装置になっています。
ディスプレーの画素駆動を司るTFTアレイ基板を製造するフォトリソグラフィ工程のコーター・デベロッパ装置で世界トップシェアを長年にわたり獲得している塗布技術を、ガラス基板上にポリイミド膜を形成するのに特化させた塗布装置です。
TFTアレイ分野において確立した塗布技術により、他社に比べ優れた膜厚の均一性を実現しており、さらにポリイミド形成のための高粘度材料塗布に最適化した配管システムと吐出ポンプを採用したものになっています。
フレキシブルディスプレイの基材となるポリイミド基材の装置として、各パネルメーカーに納入実績があり、基板サイズもG4基板(730x920mm)からG6基板(1,500x1,850mm)までラインナップされており、評価試作用のシステムも提供されています。
「Micro Mist Coater(マイクロミストコーター」は静電気力を利用し、精密な塗布を実現する塗布装置となっており、世界最先端の研究開発が行われている米国シリコンバレーの研究施設にも納入されるなど最先端技術の研究開発に使用されています。
ノズル内の液体に高電圧を印可すること生じるエレクトロスプレー現象を利用し、液剤をレイリー分裂させナノスケールの液体微粒子(ミスト)を作り出し、帯電した液粒子は互いに反発しながらより細かくなり、それが静電気力により基材に付着さするという原理を用いた塗布方法になっています。
静電気力による付着を使用しているため、ミスト粒子の飛び散りを抑えることができ、また基材への着弾後の跳ね返りも抑えることができるため、液剤の使用量を抑えることができ、溶剤使用効率は94%と高いテスト結果を得ています。
3万~50万mPa・s(3万~50万cP)の高粘度な液剤を、独自の設計による精密スクリューの回転制御と、ノズル先端の液切り性能によって、高精度かつ高速での吐出を可能にしたスクリューバルブ式のディスペンサーです。
液切り性能を高めており、継ぎ目が出来そうな形状の塗布においても継ぎ目なく塗布ができ、さらに液溜まりが起きやすい、角のある形状のコーナー部においても液溜まりなく綺麗に塗布することが可能です。
シリコン材料、エポキシ材料、グリス材料などの液剤の塗布に適しており、使用できる粘度範囲を加味すると電子基板などへのAgペーストの配線材料の塗布や、接着材の塗布などに活用することができ、ポッティング(点吐出)も安定していることから、クリームはんだ等による配線接合にも精度よく塗布が行えます。