精密空調機についての概要、用途、原理などをご説明します。また、精密空調機のメーカー11社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。
局所的に精度の高い空気調節をおこなう機器です。空気の温度のみ調整するものと、温度と湿度両方を調整するものがあります。
工業設備や医療現場、研究施設などは、室内を一定温度に保つ、若しくは一定温度と一定湿度に保たれた環境を必要としています。
これまで、研究室内や作業室内全体の温度や湿度を一定条件に保つ方法が一般的でした。ところが、近年、精密空調機を使用し、作業環境の中で温度管理および湿度管理が必要な部分だけを局所的に高精度で管理する技術が注目されています。
高精度に管理する空間を限定することで、管理の精度を上げることができ、また室内全体を高精度管理する必要がないことからランニングコストを抑えることが可能です。
また、設備の面から見ても局所的に導入すればよいことから、導入建設費用が抑えられます。機器の変化やレイアウト変更が必要となった場合にも、高精度管理している場所以外は容易に変更可能です。
生産プロセスの中で温度若しくは温湿度を高精度に管理する必要があるプロセスに使用されています。自動車業界や半導体・液晶、ナノ加工が可能な超精密加工機の分野や、太陽電池やバイオマス等のエネルギー関係分野などが対応業種です。
医療・バイオ関連や、大学・民間研究所・各社研究部門などの設備にも使用され、熱を持つ機器が多いデータセンターにも使用されています。
精密空調機では、まず、エアコンの冷房運転と同じように、冷媒を圧縮して高温高圧の気体にしたものを冷却し、冷却された冷媒により空調用の空気を所定温度まで冷却します。そして、この冷却された空気を供給用の所定の温度まで加熱して空調用の空気として供給するため、高精度な制御管理が可能です。
所定温度まで冷却された空気を供給用の温度まで加熱する方式は大きく分けて2つです。
所定温度まで冷却された空気を加熱する手段として加熱ヒーターを用いる方法です。ここの方法では、加熱ヒーターの消費電力が大きくランニングコストが高価になるというデメリットがありました。
そこで、「ヒーターレス」の技術が開発され、搭載される精密空調機も販売されています。ヒーターレスは、エアコンの冷房運転のように空気を冷却するシステムと、エアコンの暖機運転の様に冷媒を加温して空気を加温するシステムの両方を有する構成です。どちらにも同じ冷媒を使用し、冷却側と加温側の冷媒の流量を調整し、冷却側システムで一旦冷却した空気を加温側システムで所定温度まで加温することで高精度な温度制御をおこないます。
空冷式は、冷媒に流入する空気を当てて冷却する方法です。
水冷式は冷媒の冷却を水により行う方式で、空冷式よりも高精度に制御可能です。
水の代わりにグリコールを使用して冷媒を冷却する方式です。グリコール以外の不凍液で冷却する場合もあります。
冷媒として一般的なフロンを使用するもののほか、ノンフロン冷媒R1234yfなどを使用している精密空調機もあります。
ノンフロン冷媒を使用している装置は、地球温暖化係数(GWP)が極めて低くなり、「フロン排出抑制法」の対象外です。このため、指定業者による回収や破壊の必要や定期点検の義務がなく、フロンに関するコストやユーザーの工数負担をなくすことが可能となります。
精密空調機はその特性を生かし、既存の建物における室内の局所精密制御に使用されるだけでなく、アプリケーションとセットでも販売されています。以下の様なアプリケーションが適用例です。
印刷工程では、種々の溶剤やクリーム半田が使用されます。これらは温湿度に敏感な材料です。温湿度により粘度に大きく変化するため、印刷時のにじみ・ダレ・かすれが発生する可能性があります。このため、装置内を高精度に温湿度管理することが有用です。
粉体を押し固めるモールドプレスにおいては、粉体保管庫の温湿度条件によって成形物の品質が変わります。装置内や保管庫内の温湿度を高精度に制御することが必要です。
電子天秤は高い測定精度で質量を測定するため。測定物の温湿度による変化を防止しなければなりません。そのため、精密空調機と組み合わせることは非常に有用です。
*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
企業の並び替え
社員数の規模
設立年の新しい会社
歴史のある会社