恒温恒湿器についての概要、用途、原理などをご説明します。また、恒温恒湿器のメーカー9社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。恒温恒湿器関連企業の2023年11月注目ランキングは1位:株式会社北浜製作所、2位:エスペック株式会社、3位:アドバンテック東洋株式会社となっています。
早稲田大学大学院でMBE法による窒化物半導体成長に関する研究に従事。2016年に大学院を修了後、非鉄金属系メーカーへ入社。金属製錬工場における設備保全・エンジニアリングの業務に従事。2022年に化学系メーカーへ転職。同様の業務に従事。
前田 理也のプロフィール
恒温恒湿器 (英: Thermo-hygrostat) とは、温度と湿度を一定に保つための装置やシステムです。
現代産業の各分野において生産品の耐久性、信頼性実験に必要な装置です。必要条件以上の過度な気候状態を作って一定時間試験することで、正常な条件での耐久性を予測する目的で主に使用されます。
恒温恒湿器はさまざまな使用用途で利用されます。以下に一般的な使用用途の一例です。
科学研究や実験において、特定の温度と湿度条件を制御する必要があります。恒温恒湿器は、生物学や化学などの実験室で使用され、正確な環境条件を提供します。
特定の製品や材料の製造プロセスにおいて、一定の温度と湿度が必要な場合があります。食品加工や医薬品製造、電子部品の製造などで恒温恒湿器が使用されます。
また、製造ラインのみではなく、開発段階や品質保証にも役立つ装置です。具体的には、原材料の品質劣化試験や食品の品質試験に使用されており、自動車産業では部品の劣化試験に使用されることもあります。
特定の商品や物品を保管する際に、温度や湿度の制御が必要な場合があります。恒温恒湿器は製品の品質を維持し、腐敗や劣化を防ぐために使用されます。食品やワインの保管、博物館の展示品の保護などがその一例です。
病院や医療機関では、一定の温度と湿度の環境が必要な場合があります。手術室や室内感染管理など、清潔で安全な環境を確保するために恒温恒湿器が使用されます。また、植物や微生物培に使用される場合もあります。
恒温恒湿器は、加冷温や除加湿を行う機器と系内循環機器、制御機器で構成されています。温度・湿度調節器で必要な設定を入力すると、温湿度センサーが温度・湿度の変化を察知します。
冷凍機やヒーターなどが必要に応じて加湿と除湿をすることによって、微細かつ正確に温度と湿度を制御します。また、内部の温湿度分布が均一に維持できない場合、シロッコファンなどの系内循環機器で空気を循環させて安定した環境を作ることが可能です。
制御機器には、多言語表示によるグローバル対応の製品などが存在します。LANポートに接続して機器内部状態監視や試験終了指令などを実行できる機能がある製品などさまざまです。異常時は警報内容をメール送信することも可能であり、恒温恒湿器と離れた場所にいながら遠隔監視できる機能も採用されています。
恒温恒湿器の温度調整範囲は-20℃~180℃ 、湿度調整範囲は5~98%rh、庫内容量は120~1,000Lなどさまざまなバリエーションが存在します。温度範囲や湿度範囲、庫内容量に応じて選定することが可能です。
また、恒温方法などの違いによっていくつかの種類が存在します。以下は恒温恒湿器の種類一例です。
スチーム恒温恒湿器は、加湿器として最も一般的に使用されるタイプです。水を加熱して蒸気を生成し、空気中に放出することで湿度を上げます。ファンや送風機を使って空気中に拡散させます。
一般的には、加熱要素 (ヒーター) と水タンクが内蔵されています。ヒーターは水を加熱し、水が蒸気に変わるときに発生する熱を利用して蒸気を生成します。水を直接加熱するため、効率的に蒸気を生成します。そのため、比較的短時間で湿度を上げることが可能です。
一部のモデルには安全機能が備わっており、水が不足した場合や過熱した場合に自動的に停止する仕組みがあります。これにより、使用時の安全性が向上します。
湿度を下げるために、冷凍サイクルまたは脱湿材を使用します。冷却サイクルは空気を冷やし、その結果として水分を凝結させます。凝結した水分は取り除かれ、乾燥した空気が放出されます。
脱湿材は湿気を吸収し、湿度を下げるのが役割です。乾燥した脱湿材は定期的に取り外されるか、再生されて湿気を取り除かれます。
一般的な恒温恒湿器とは異なり、乾燥恒温恒湿器は湿度を上げるための加湿機能を持たない場合があります。
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2023年2月8日
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2023年2月8日
大型恒温(恒湿)室 COLONIAは、楠本化成株式会社が製造する大型の恒温恒湿器です。
制御用のタッチパネルが大きく設計され、パネルのコーナーに独自の曲面コーナーが採用されるなど、人間工学に基づいたデザインが採り入れられています。
試験室内のスペースの有効利用のため、試験室内の空調ユニットが壁面に埋め込まれた構造を持ちます。
温度は-10℃~+80℃の範囲で、湿度は20%~95%RHの範囲で制御することができ、温度制御の精度は±0.3℃、湿度制御の精度は±2.5%です。
Futaba ふたば(ステンレス仕様)横長ワイドモデルは、株式会社いすゞ製作所が製造する中型の恒温恒湿器です。
耐食性に優れたSUS443J1ステンレス鋼が外装と内層に採用されており、吸い込みの強靭化・安定化のためシロッコファンが採用されており、熱効率の向上のため3重の断熱層が採用されています。
試料を底面に置いた場合でも温度と湿度が安定に保たれることが確認されています。
温度の制御範囲は-40℃~+150℃であり、湿度の制御範囲は30~98%RHです。
加振機付複合試験恒温恒湿槽 GLMP-Vは、入江株式会社が製造する中~大型の恒温恒湿器です。
加振機を移動させる形式と槽を移動させる形式の両方の設計が可能であり、加振機のメーカー・型式に応じた設計も可能であり、いずれの場合にもプログラム調節計により加振機の運転・停止を制御することが可能です。
温度は-40℃~+180℃の範囲で、湿度は20%~95%RHの範囲で制御することができ、温度制御の精度は±0.5℃、湿度制御の精度は±3%であり、+20℃から180℃までの昇温には約90分を、+20℃から-40℃までの降温には約60分を要します。
IH401は、ヤマト科学株式会社が製造する小型の恒温恒湿器です。
室温~+85℃の範囲で温度を、45~95%RHの範囲で湿度を制御することが可能であり、視認性・操作性の向上を図るため、4.3インチのタッチパネルが搭載されています。
最大12ステップを含むプログラム運転を行うことが可能であり、定値運転のため3パターンの温度・湿度を登録することが可能です。
USB接続を介してパソコンから装置のデータを取り出すことが可能であり、オプションで可搬式給水タンクを取り付けることも可能です。