シリンジフィルタについての概要、用途、原理などをご説明します。また、シリンジフィルタのメーカー21社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。シリンジフィルタ関連企業の2023年11月注目ランキングは1位:日本ポール株式会社、2位:アドバンテック東洋株式会社、3位:シグマアルドリッチジャパン合同会社となっています。
図1. シリンジフィルタ
シリンジフィルタとは、シリンジの先端に取り付けて使用するディスク型のフィルタです。
液体試料から微粒子状の不純物を取り除くために用いられます。シリンジフィルタをシリンジの先端に取り付けると、溶液が押し出される際にフィルタを通過し、不溶物が取り除かれる仕組みです。
フィルタ部分の材質は、PTFE (ポリテトラフルオロエチレン) やPVDF (ポリフッ化ビニリデン) 等です。溶媒や除去対象の特性を考慮して使い分けます。様々な大きさの孔があるため、除去する粒子の大きさによって最適なフィルタを選択する必要があります。シリンジフィルタは、通常使い捨てで使用されます。
シリンジフィルタの主な用途は、試料の精製、各種分析試料の前処理等があります。主な分析手法は、HPLC、イオンクロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、ICPおよび溶出試験等です。また、水溶液や有機溶媒中の細かな不純物を除去する一般的なろ過の際にも使用されます。
その他、フィルタの孔径より小さい細菌をろ過によって除去する、ろ過滅菌という用途でも用います。この場合は、適応する滅菌フィルタを使用することが必要です。
シリンジフィルタ自体はメンブレンフィルタと同様にそれほど大きくなく、表面でしか粒子を捕獲できません。多量の不溶物がある場合には、予め別の前処理を行い、不溶物の大半を取り除いておく必要があります。
図2. シリンジフィルタの仕組み
シリンジフィルタは、ディスク状のフィルタがプラスチックのケースに入った形状です。このプラスチックケースの両端には穴の空いた突起があり、片側にシリンジを取り付けてシリンジのプランジャを押下すると、溶液がフィルタを通ってもう一方の突起から流れ出てきます。溶液がフィルタ内を通過する際、フィルタの孔径よりも大きな粒子は遮られるので、不溶物が取り除かれる仕組みです。
フィルタの孔径は様々な大きさものがあります。製品に記載されている最大孔径以上の粒子をフィルタの表面で捕捉することが可能です。一方で、多量の不溶物によって孔が目詰まりすることもあるので、不溶物の種類、量、粒子径などを確認の上、適切なフィルタを用いる必要があります。
シリンジフィルタの種類は、材質や滅菌性の有無、孔径等の観点から分類することができます。
代表的なシリンジフィルタの材質には、下記のものがあります。
PTFEやPVDFは疎水性素材ですが、中には表面を親水化処理することで極性溶媒、無極性溶媒など幅広く適用適用可能とした製品もあります。
シリンジフィルタの種類には、滅菌/非滅菌もあります。非滅菌シリンジフィルターの用途は、一般的なろ過およびサンプルの精製です。
一方、滅菌シリンジフィルタは溶液の滅菌または滅菌溶液の清澄化のために使用します。一般的な細菌は1~5 μm程度の大きさであるため、孔径0.22μmのフィルタでろ過滅菌を行うことが十分可能です。
ただし、マイコプラズマ属の中には大きさが0.2μm程度のものが存在します。マイコプラズマ属の細菌の除去を目的とする場合、フィルター孔径が0.1μmのものを選択することが必要です。マイコプラズマ属の細菌は、真核生物の細胞に寄生し、細胞培養に影響を与えます。そのため、マイコプラズマ陰性が必須となる細胞培養実験では留意しなければなりません。
図3. 除去粒子サイズの違い
シリンジフィルタの孔径と用途には、主に下記のようなものがあります。
参考文献
https://m-hub.jp/analysis/4230/256
http://www.scc.kyushu-u.ac.jp/reac/old_homepage/iriomote/filtration/index.html
https://www.chem-agilent.com/contents.php?id=1002554
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