ALD装置についての概要、用途、原理などをご説明します。また、ALD装置のメーカー10社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。ALD装置関連企業の2022年6月注目ランキングは1位:東横化学株式会社、2位:サムコ株式会社、3位:株式会社マツボーとなっています。
ALD(成膜)装置とは、原子層堆積法(英語:Atomic Layer Deposition)によりナノスケールの薄膜を形成する装置です。原子層を1層ごと成膜する為、精密な膜厚制御性を有し、緻密で高い段差被膜性を特徴としますが、
成膜速度が遅いという欠点も持ち合わせます。 装置にはステンレス、アルミ等の真空チャンバを備え、材料ガスの供給パートと材料ガスを排出する排気パート、プロセスを制御する制御ユニットで構成されます。
ALD成膜は半導体生産工程やFPD生産工程などで多く用いられ、近年ではDRAM生産で欠かせない技術となっています。また医療や一般産業への活用も見られます。
ALD成膜の原理は真空チャンバへプリカーサ(前駆体、有機金属材料)と酸化源、或いは窒化源、他のプリカーサなどを交互に導入する事により、成膜対象物へプリカーサが吸着した後に酸化或いは窒化等をさせて膜を形成します。
例として酸化膜の形成過程を挙げると、
プリカーサ導入 ⇒ 基板へ表面吸着 ⇒ パージ(排気) ⇒ 酸化源導入 ⇒ 吸着したプリカーサと酸化反応 ⇒ パージ(排気) ⇒ プリカーサ導入 ⇒ ・・・
となります。
このサイクル1回で原子層が1層形成され、これを複数回繰り返す事で所望の膜を堆積させる事が出来ます。 この回数を制御する事で膜厚が変化する為、膜厚制御性が高い事が特徴です。
ALD成膜の工程で重要なのは各パージ工程でプリカーサ、或いは酸化源を高い真空域まで廃棄する事で、一方が残留すると他方を導入した際に気相反応を示し、膜厚の制御性、不純物の残留など膜質に悪い影響を与えます。
このプリカーサと酸化源、或いは窒化源などとの反応エネルギーを補い高い効率で成膜する為に基盤を加熱したり(サーマルALD)、プラズマでアシスト(プラズマALD)する場合があります。
ALD成膜では多数のプリカーサ、有機金属材料を用いますが、人体への悪影響や発火性の高い材料が多い為、取り扱いには専門の知識を要し、細心の注意が必要となります。
CVDはChemical Vapor Deposition(化学的気相成長)、PVDはPhysical Vapor Deposition(物理的気相成長)の頭文字をとって名付けた成膜技術です。
ALDはガスを利用しているため、CVDの一種ともいわれています。しかしながら、ガスが分解することによって生成するSiO2, SiNxといった化合物が塵のように堆積していくCVDとは異なり、ALDは1レイヤーずつ制御しつつ成膜が可能という点がALDとCVD間での大きな違いです。
PVDは成膜に用いる手法がガスではなく、物理的な手法を利用して成膜を行う技術です。PVDでは、真空状態において成膜物質に対して加熱、スパッタリング、イオンビーム照射、レーザー照射を行うことで、成膜物質を粒子状態に蒸発・飛散させ、対象物に付着・堆積をさせる方法です。
ALDを用いて成膜を行う場合、CVDとPVDで成膜をする場合と比較して、アスペクト比(幅が狭く深さがあることを高アスペクト比が高いといいます)の高い構造物に対する成膜を可能としています。特に100nm以下のサイズ孔に対して成膜する際に、ALD技術が優れた被膜能力を発揮します。他にも小さい孔(ポーラス)が多数存在する物体に対してもALDのガスは深く入り込んで成膜できるため、非常に被膜能力が高い技術であるといえます。
ALD(原子層成長法)の世界的なマーケットは、2025年までに30億ドルに達する見込みとされています。
現在の薄膜成型市場は、CVDがマーケットシェアの大部分を占めています。その中で、ALD技術は半導体デバイスの製造プロセス中で非常に重要な役割を担っていることに加え、高蒸着性能、生産速度も比較的に高い技術となっています。そのため、ALD技術は今後も独自の重要性を築きつつ継続して伸長を続けていく市場と考えられています。
参考文献
https://aldjapan.com/%e5%8e%9f%e7%90%86/
http://ex-press.jp/lfwj/lfwj-news/lfwj-biz-market/21629/
https://www.oike-kogyo.co.jp/research/column/pvd/
*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
企業の並び替え
2022年6月の注目ランキングベスト9
順位 | 会社名 | クリックシェア |
---|---|---|
1 | 東横化学株式会社 | 17% |
2 | サムコ株式会社 | 14.8% |
3 | 株式会社マツボー | 12.1% |
4 | 株式会社昭和真空 | 11% |
5 | 株式会社エイチ・ティー・エル | 9.9% |
6 | 株式会社菅製作所 | 9.9% |
7 | ワッティー株式会社 | 9.9% |
8 | 株式会社エイコー | 8.2% |
9 | 株式会社テクノファイン | 7.1% |
注目ランキング導出方法について
注目ランキングは、2022年6月のALD装置ページ内でのクリックシェアを基に算出しています。クリックシェアは、対象期間内の全企業の総クリック数を各企業のクリック数で割った値を指します。社員数の規模
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高いアスペクト比の基板に比べてみると、付き回りよく成膜を析出することが可能です。
単原子層ずつ成膜していくため、膜厚制御性にとても優れています。
基板の温度を抑制し成膜することが可能であり、また基板面の内分布にもとても優れています。
主な用途としては、LED(色度調整とAg硫化防止膜)や電子デバイス(絶縁膜とバリアメタル)、複雑な形状の基板への成膜などさまざまな用途に合わせて使用されています。
成膜チャンバーと制御電源部を一つにして、小型で軽い卓上に設置可能な研究開発用の装置がSAL1000です。
操作の前面がタッチパネルとなっていて、動作の状況や圧力を前面で確認することができます。
プリカーサーの対応基板はφ4までとなり、2系統を搭載しています。
真空排気から成膜まで設定した工程を自動で行い、成膜終了後にはベントボタンを押せばだれでも簡単に基板を取り出すことが可能となっています。
外周の大気を遮断するためのプロセスエリアにはクォーツを用いたチャンバ構造を用いるため、多く作られた成膜物などはステンレス側へはほとんどいきません。
最適温度管理や AlNヒータを採用したヒートステージなどさまざまな温度管理を行っています。
チャンバ内容体積を大幅に低減することが可能となり、デッドスペースの排除と到達時間が短縮します。
ALD装置では、Al2O3やTiO2・HfO2 などの成膜種があります。
原子レベルでの膜厚の制御ができるALD装置のことです。
ガスラインとガスフローの原料を反応室の構造によって、パーティクルを抑制します。
ガスのパージ時間を短縮し、ひとつのサイクルを早くすることが可能とするには、容量結合プラズマ方式で反応室の容積をとても小さくすることです。
低温成膜である窒化膜と酸化膜やパッシベーション膜である半導体と有機ELなど、半導体レーザーの反射面などに応用されています。
CCPプラズマ源の内臓によって、ミリや秒単位で制御することや低いダメージで安定な成膜を可能にすることができました。
膜厚制御性に優れ、高いアスペクト比や難しい3次元構造に原子レベルで膜厚制御された成膜が可能です。
金属前駆体を最大で4種類、反応ガスを最大3種類、試料搬送機構はたくさんのタイプから選択することが可能です。
インターフェースで任意の設定可能なコンフィグ機能があり直感的な操作が可能となっています。