油圧クランプのメーカー5社を一覧でご紹介します。まずは使用用途や原理についてご説明します。
目次
油圧クランプは、油圧を利用して治工具や金型、加工するワークを固定するために使用される装置です。
従来では、ボルトによる締め付け力によってそれらを固定することが一般的でありました。
多種少量生産に対応するため、段取り時間の大幅な短縮が求められることが多くあります。
そこで、自動でクランプできるシステムとして油圧クランプが広く使用されています。
圧縮空気によってクランプ装置を駆動させる、エアクランプもありますが、強固に固定するには油圧クランプが優位になります。
マシニングセンタでは、治工具や加工するワークを直接クランプするためなどに使用されています。
また、プレス機械や射出成型機の金型の固定などにも広く使用されています。
使用するにあたって、油圧クランプ本体と、油圧力を発生させる油圧ユニットを用意する必要があります。
油圧ユニットは、一般的な電動機によって油圧ポンプを駆動し油圧を発生させるタイプや、エアハイドロブースターによって油圧を発生させるタイプが採用されています。
後者のタイプは、空気圧を油圧に変換し、さらに増圧させる装置です。圧縮空気をつなぐだけなのでシステムがコンパクトになります。
あとは、クランプとアンクランプの切り替えをおこなう電磁弁とクランプ時に圧力まで一定のレベルまで上昇したことの確認をおこなう、圧力スイッチを使用するのが通常のシステムです。
油圧クランプは、T溝に取り付けて任意の位置で使用するものや、あらかじめ開けたネジ穴に、ネジ止めによって固定するものなどがあります。
強固なクランプ力と高い剛性を備えながらコンパクトであることが汎用性を高めます。
基本的に、クランプする対象物の厚さやクランプする推力、取り付けるT溝寸法によって使い分けをおこないます。
対象物の厚さに種類があり、油圧クランプのストローク内では吸収できない場合、一番厚いものを基準として、スペーサを入れることで調整することもおこないます。
交換を要する場合には、油圧クランプに繋いだ油圧ホースをワンタッチで外せるようにすることで段取り性を高めます。
圧力スイッチによるクランプ確認とあわせて、油圧クランプに近接スイッチを併設することでクランプ対象物がクランプ位置にあることの確認をおこなう場合もあります。
電気的にインターロックをとれるため安全性が高まります。
油圧クランプは、あくまで対象物の固定に使用し、金型などの位置決めの再現性が必要な場合には別途対策を講じる必要があります。
クランプ力は劣りますが、位置決めと油圧クランプの両方の機能を持つものもあります。
参考文献
https://dtfc.co.jp/qd_clamp.html
https://www.pascaleng.co.jp/jp/products/imm/moldclamp/
www.kosmek.co.jp
社員数の規模
設立年の新しい会社
歴史のある会社
油圧クランプ LTは常用圧力24.5MPaに対してクランプ力が9.8~61.7kNの間にある4タイプから選択可能です。
T溝に対してスライドさせて位置決めし、アームのスイング動作によって固定するタイプの油圧クランプです。
全ストロークは6mmまたは7mmに設定されていて、使用環境の温度は0~40℃です。
汎用タイプのため幅広い用途で利用することができますが、プレス機の金型固定用として使うことで金型交換時間を大幅に削減することができます。
GBBクランプはT溝に沿って手動でスライドさせるタイプの油圧クランプで常用油圧25MPaに対して、発揮するクランプ力が10~500kNの範囲で選択可能な10タイプがラインアップです。
油圧回路の構成はシンプルな単動1回路のため設置やメンテナンスが容易です。
用途に応じてロック確認近接スイッチ付やボディ剛性向上タイプなどの豊富なオプションを追加することができるため、金型押さえに特殊な要求がある場合の使用に適しています。
TYAはT溝装着型手動スライドタイプで、使用油圧が24.5MPaの時クランプ力は9.8~245kNの範囲で選択可能な7タイプがラインアップの油圧クランプです。
全ストロークは6~8mmで使用環境の温度は0~70℃仕様と5~120℃までの高温環境下で使用可能なタイプがあります。
コンパクトボディでありながら、大きなストローク・クランプ力を持ち、高剛性のため衝撃にも強いため、金型押さえをはじめとする、機械加工プラントでの使用に最適です。
上フランジスイングクランプはアームが90°回転する構造になっていて、ワークの装着・取外しを容易に行うことができる油圧クランプです。
クランプの移動が必要ないため、機械加工の自動化ラインでの利用に適しています。
ロッドの直線運動によってワークを固定するタイプで、複動油圧式と単動スプリングリターン式を選択することができます。
クランプ力は2.1~35.0kN、ストロークは旋回と合わせ16.7~30mmの範囲にある24仕様がラインアップです。
JC modelはアームが90°スイングする構造の複動式コンパクト設計の油圧クランプです。
クランプストローク10mm、旋回と同時ストローク10mmを合わせて全ストロークは20mmです。
最大使用油圧35MPaの時、最大クランプ力が4、6、8kNになる3タイプの中から用途に合わせて選択することができます。
アームのスイングにより、クランプを移動させることなくワークの脱着が可能なため、自動化ラインでの使用が最適です。